「わんだふるぷりきゅあ!」は「子どもを信頼している」からこそ描ける描写が多いように感じられます。
INDEX
子どもたちを信頼し、表現から逃げない
ペットを飼うことは、楽しいことだけではなく「死による別れ」を避けて通ることは出来ません。
プリキュアは子ども向けアニメーションなのだから「ペットを飼うことの楽しさ」だけを伝えることもできるはずなのに、「ペットの死」を真正面から描いたことは、どうぶつを扱う子ども向け作品においてとても真摯な姿勢だと思います。

「わんだふるぷりきゅあ!」は子どもたちを信頼し、表現から逃げません。
「恋愛表現」からも逃げることなく真正面から描き、悟君といろはちゃんは恋人同士となりました。「彼氏として何か出来ることはないか」「付き合って初めてのクリスマス」など、これまでのプリキュアシリーズではなかった恋愛のセリフも描かれます。
そしてペットを飼うことについても「陽」の部分だけではなく「陰」の部分も逃げずに描きます。
「捨てられる犬や猫」「飼い主が高齢になりペットを手放さざるを得なくなること」「犬や猫の譲渡会の現状」「飼い主に恋人ができて関係性が変わっていくペット」「歩けなくなりおむつを着けた老犬」「人間とペットの寿命の差」「ペットの死」「一度ペットと死に別れると、もう悲しい思いをするのは嫌だから二度とペットは飼わない」。
そういった表現から逃げることなく全て描ききったうえで、それでも「大切な存在が遠くにいってしまっても、あなたと過ごした楽しい思い出は“お互いに”残りつづけるから、だからこそ今いっしょに遊ぼう」ということを子どもたちに伝えるのです。
「いっしょに遊ぼ♪」と1年間言い続けてきたキュアワンダフルのセリフが、この終盤にきてさらに深い意味を持つことになったその構成は本当にすごいと思います。

わんぷり製作者の思い
「わんだふるぷりきゅあ!」ABCアニメーションのプロデューサー・多田香奈子さんは番組の開始時に以下のようにコメントを出しています。
現実世界では、動物と人間は言葉を交わし合うことはできません。本作で語られるこむぎのセリフは、どこまでいっても想像の域を超えません。「犬はきっとこんなことを考えている」 これは人間のエゴなのかもと不安になることもあります。
でも、言葉を交わせないからこそ、私達は動物の気持ちをとことんまで考える必要があるのではないでしょうか。大事なのは、相手のことを知ろうと努力すること。その先に、相手の幸せを願う「思いやり」が生まれるのだと思います。そして何より大事なのは、気持ちを押し付けず、理解し合うことです。
プロデューサー(ABCアニメーション)多田香奈子
多田プロデューサーは「現実世界では人間と動物は言葉を交わすことは出来ず、犬はこんな事を考えているだろうと思うことは人間のエゴかもしれないとしつつも、それでも「言葉を交わせないからこそ、相手の気持ちを知ろうとする事が大切であり、理解しあうことが大事」と語っています。
「わんだふるぷりきゅあ!」は、ペットを通して子どもたちに「相手を思いやる気持ちの大切さ」を伝えているのです。

「いっしょに遊ぼ!」
犬飼こむぎは言います。「お天気悪くても、ケンカしても、悲しいことあっても、いっしょに遊べばわんだふる、だよね」。
犬飼いろはは言います。「いっしょに遊べば、それはもう友達だよ」。
そして45話のサブタイトルは「ずっとずっと友達」です。
虹の橋を渡っていった老犬フクちゃんも、お鶴さんと一緒に遊び、たくさんの思い出を作りました。
人間をうらんでいたトラメも、プリキュアたちと一緒に遊んで友達になりました。
「いっしょに遊べば、たとえあなたの大切な存在が目の前からいなくなってしまっても、ずっと、ずっと友達でいられるんだよ」。
だからこそ「いっしょに遊ぼ♪」とキュアワンダフルは子どもたちに言い続けているのではないのかな、と僕は思うのです。
子どもたちとずっと友達でいるために。子どもたちの笑顔のために。
(C)ABC-A・東映アニメーション