ねとらぼ

一連の開示請求を巡り、有償で情報を売る悪質ユーザーも発生。

日本初「コンサートチケットの転売出品は権利侵害」との司法判断

 YC社は「タレント及びコンサートに足を運んでくださるファンの皆様を守るため、長年にわたって様々な転売対策に取り組んでおりました」とし、それらの経験をもとに、今回の発信者情報開示命令申し立てでは、「本人しか利用できないチケットを転売出品することはイベントに入場資格のない人物を入場させようとする行為でありチケットの無効化や本人確認の強化等の負担が生じる業務妨害にあたり、YC社の営業権を侵害する」ことなどを申し立ての理由としていました。

 こうしたYC社の申し立てについて東京地方裁判所は「本人しか利用できないチケットの転売出品がYC社の営業権を侵害するもの」として、16件全ての転売出品に対して2025年3月10日付で発信者情報開示命令が発令されたとのことです。

 今回の裁判所の判断についてSTARTO社は「日本で初めて(当社調べ)コンサートチケットの転売出品が権利侵害にあたると判断された画期的な司法判断であり、YC社の長年の転売対策の努力が結実した結果と言えます。本来入場できない人物をチケット購入者本人あるいは同行者のふりをして入場させようとする行為に繋がる転売出品は、様々な業務妨害を引き起こすものとしてコンサート主催会社に対する権利侵害であることが明らかにされました。YC社の長年の取組によって出された今回の判断は、同じような転売問題を抱えるイベント業界全体にとっても解決策を示すものになったと考えます」とコメントしました。

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今回の司法判断のポイントは

 STARTO社・YC社側で今回の申し立てを行った東京フレックス法律事務所・中島博之弁護士はねとらぼ編集部の取材に対し、チケット不正転売禁止法ではこれまで、本人しか利用できないチケット(特定興行入場券)を、「業として定価を超えて有償譲渡まで行うこと」で初めて取締できることとなっているため、摘発のハードルが高いものだったと説明。

 「今回、本人しか利用できないチケットを転売する出品行為自体が権利侵害と認められた点が画期的な司法判断だと言えます」とコメントしました。

 また、「今まで、チケット転売の違法性が裁判で正面から争われた事例はないと思われますが、(他人名義の定期などを使用して電車に乗車する)キセル乗車と同じで、本人しか利用できないチケットを第三者が使って本人のふりをしてサービスを受ける・イベントに入場すれば、イベント主催者への業務妨害になるだけでなく電子計算機使用詐欺あるいは詐欺罪にもなりかねません。このような犯罪にも繋がりかねない転売出品が主催者への権利侵害と判断されたわけですから、今後は出品行為に着目して各業界の転売撲滅への取組が劇的に進む可能性も期待できます。YC社の長年の転売問題に対する取組がまさにチケット転売問題の闇を照らす事例になったのではと思います」としました。

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