ねとらぼ
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異物混入を非常に恐れる食品メーカーやスーパー

 今回のテーマは消費者がちりめんじゃこを食べたいと言いつつも、一切れの混入、他の魚の混入も許さないという姿勢について問うものなのだとか。

 実は、フグという魚は自力で毒を作り出すことはできません。植物プランクトンやイソギンチャク、ゴカイやヒトデなどが作った毒を食べ、体の中にため込んでいくのです。ということは、稚魚のうちは生き物を食べる能力も低ければ、体内にたまっている毒も少ないはず。

 しかし、食品衛生法という法律において、フグは処理せずに販売してはいけないということになっています。毒がある内臓や皮膚を除去しなければ絶対に販売してはならないと決まっていて、そこにはサイズの規定や毒の量の規定などはありません。かなり厳しい法律ですが、茸本さんは「その法律を作らせているのは我々の社会なのだ」と話します。

フグめんじゃこが完成しました
フグめんじゃこが完成しました

 日本は安全信仰が強すぎて誰もがその恩恵を受けていますが、その割を食っている人がいるという現状があります。今回の場合はスーパーの人や漁師さんであり、仕分けをすると人件費がかかり、その費用が商品代に乗り、商品が高くなって売れなくなる……という形で魚食文化が追いやられてしまっている。茸本さんは、その象徴がフグの混入だと思っているのだとか。

 ここで十分に火が入ったフグをザルでこすと、海の家で売られている塩ラーメンのような香りがしてきたようです。火を通したフグにドライヤーの温風を当てて乾燥させると、ちょうどシラス干しくらいのサイズになりました。乾燥したフグを炊き上がったごはんの上に全部乗せたら……フグ100%のちりめんじゃこ「フグめんじゃこ」の完成です。

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フグめんじゃこを実食

 まずは、フグを単体で食べてみることにします。味はシラス干しに近いですが、シラス干し特有のほろ苦さはなく、大きな肝がとろける感じがあるとのこと。ごはんと一緒にたくさんのフグめんじゃこを口に入れると……骨は柔らかくて舌に障るものも特になくてクリーミー。シラス干しの方がうまみは強い感じはしましたが、とてもおいしかったそうです。

ごはんとともに、たっぷりのフグめんじゃこをいただきます
ごはんとともに、たっぷりのフグめんじゃこをいただきます

 このくらいのフグは1パックに1匹混ざるかどうかで、今回茸本さんが食べたフグは相当なパック数に相当しますが、それだけ食べても安全とのこと。フグ毒で中毒になると30分後くらいから症状が出て、4時間ほどで重篤な症状となるそうですが、茸本さんの体調には全く問題がなかったそうです。

 ただパックに1匹しか混ざっていなかったとしても、消費者が叫んだらスーパーはそのシラスパック全てを回収し、保健所に報告しなければなりません。そしてニュースが流れて、袋だたきに遭ってしまう……茸本さんはそんなにうるさくする必要はあるのだろうかと問いかけます。

 実は、ちりめんじゃこに混入するサイズ、量のフグを食べても心配はいらないという研究結果があり、論文で発表されているそうです。それにもかかわらず、現状は法律が追い付いておらず、また恐らく法律が変わることはないだろうと思っているのだとか。

 その状況を踏まえ、茸本さんは「1~2匹混入した程度で騒がなくていい」と声を大にして言いたいと話します。フグは機械を使って選別しても混じってしまうものであり、昔は当たり前に混じっていて、それで亡くなった人は恐らくいないはず。フグが混じっていてもその場で捨てるか、怖くないなら食べてしまえばいいし、茸本さんは今後も食べていくそうです。

フグの稚魚が1~2匹混入した程度で騒ぐ必要はない、と断言する茸本さんなのでした
フグの稚魚が1~2匹混入した程度で騒ぐ必要はない、と断言する茸本さんなのでした
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子どもは絶対にマネしないように

 あくまで自分の知識と判断の元、かつ自己責任で食べましたが、致死量が少ない子どもは絶対にマネしないように茸本さんは警告します。また、こういった動画を公開すると大きなフグを内蔵ごと食べようとしたり、明らかに稚魚ではないサイズのフグを「稚魚ですか?」と聞いてきたりする人も出てくるだろうとのこと。

 今回は、あくまでフグの稚魚の毒性は少ないこと、それを普段混入するくらいの量を食べても健康には全く問題がないこと、混入は起きてしまうものであること、混入に対して目くじらを立てる人がいるから価格が下がらないということを知ってもらうために動画を公開したそうです。

 また、魚食普及推進センターが公式サイトで公開している「フグ毒 食中毒を考える しらす干しやチリメンのフグの稚魚は??」という記事も併せて茸本さんは紹介しています。

 フグは種類によるものの1匹で人間が数人死んでしまうほどの強い毒を持った魚であり、その毒は致死率が極めて高く、さらに特効薬もありません。実際に毎年数十人の食中毒が発生し、数年ごとに死者も発生しているため、半端な知識や好奇心でマネすることは絶対にやめてくださいね。

「こういう検証好き」「個人の解釈があるから難しい」と反響

 この動画のコメント欄には「こういう検証好き」「昔はちりめんじゃこの外道はむしろ当たり扱いだったのになぁ」「ちりめんじゃこに入ってるいろんな魚探すの好きだった」「シラスほど異物混入が楽しい食べ物はなかなかない」「ちりめんじゃこ高いなーって思ってたけど、そういう構造があったんですね」「ちりめんじゃこの中から別の生き物を探す楽しみがなくなるのはつらい」「例外を認めちゃうと拡大解釈で悪さする人が出てくるから難しいですよね」「市場に流通するには1%でも可能性があると人によって個人の解釈があるから難しいですね」と、さまざまな声が寄せられています。

 茸本さんは、この他にも全国各地のマニアックな食材を食べる様子をYouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗ch」で公開中です。また、X(@tetsuto_w)でも情報を発信しています。

「野食ハンター茸本朗ch」動画まとめ

岡山の謎の外来魚「カワイワシ」食べたら川のママカリでした。
池のザリガニぜんぶ潰して究極ザリラーメン!
北の海のギャングを刺身で食べてみた

動画提供:YouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗ch

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