ねとらぼ
2025/10/23 20:15(公開)

「いつの間にか外れた」「夜、勝手に開いた」 “スマートロック”の過信は禁物、起こりうる想定外の事態

 スマートロックは「物理鍵いらずで便利」と人気を集めています。しかし、SNSでは「設置したはずのロックが外れていた」「夜中に勝手に開いた」といった不安な報告も。実際にどのようなトラブルが起きているのでしょうか? 対策はあるのでしょうか?

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「勝手に開いた」 SNSに驚きの声

 SNSでは、ときにスマートロックが「知らないうちに外れていた」「家に入れなくなった」といった類いの声が見当たります。

 この他にも「寝ていたら勝手に開いた」「出先から帰ったらロックが外れていた」などの声も見られます。中には、両面テープで固定するタイプのロックが、ドアの振動や温度変化で剥がれてしまったケースもあるようです。

 こうした事例を見ると、「本当に信頼できるのか?」と不安になる人も少なくないかもしれません。

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なぜ起こる? スマートロックのトラブル原因

 スマートロックの不具合や脱落には、いくつか共通した原因があります。製品自体の故障というよりは、環境や使い方に起因するケースが多いようです。

電池切れ
 スマートロックは電池で動作しているため、残量がなくなると制御が効かなくなります。電池切れのまま放置すると、正しく施錠・解錠ができず、誤作動や締め出しの原因になります。

通信エラー
 通信が不安定な環境では、上手く解錠できないことがあります。特に電波の干渉が起きやすい建物は注意が必要です。また、アプリ側の設定ミスやバージョンの不一致なども、トラブルを招く要因となり得ます。

粘着不良・設置ミス
 両面テープで貼り付けるタイプのスマートロックは、粘着力が弱まると劣化し、落下しやすくなります。湿気が多い季節や結露が発生しやすい玄関では、テープの粘着面が劣化しやすいです。その結果、スマートロックの位置が少しずれてしまっただけでも、モーターが正しく動かず誤動作を起こす恐れがあります。

扉との相性
 取り付ける扉の構造が、動作に影響する場合があります。たとえば、センサーが反応しにくかったり、ドア枠との距離が合わず誤認識したりするケースです。製品によっては「対応ドアタイプ」が明記されているため、購入前に必ず確認しておきましょう。

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メーカーも課題意識 強固な“シリンダー部固定型”なども販売

 こうしたトラブルを防ぐため、メーカー各社も改良を進めています。

 たとえば、グラモではドアのシリンダー部に直接固定する方式を採用したスマートロックを販売しています。シリンダーごと交換する構造のため、粘着力の低下による脱落を防ぎ、安定した取り付けが期待できます。

グラモのプレスリリースより

 ただし、シリンダーに固定する方式にも注意点があります。ドアの材質や形状によっては取り付けられない場合があり、賃貸住宅などでは原状回復義務の問題も発生します。製品の特徴をよく理解し、自宅の環境に合ったタイプを選ぶことが重要です。

便利さと引き換えの盲点も 安全に使うためのポイント

 スマートロックは便利な一方で、油断すると思わぬトラブルを招きかねません。安全に使うためには、次のような点を意識する必要があります。

  • 定期的に動作確認とメンテナンス:アプリの更新や電池交換を怠ると、誤作動や通信不良の原因になります。
  • 正しく取り付ける:スマートロックがちゃんと取り付けられるかには、ドアの材質や形状など、さまざまな要因が影響します。取り付け方が不適切だと、固定力不足で落下したり、動作に支障をきたしたりする恐れがあります。
  • スマートロックが壊れても施錠・解錠できる手段を確保しておく:物理鍵でも施錠や解錠ができるようにしておきましょう。物理鍵で開けられれば、最悪スマートロックが故障や電池切れになっても対応できます。

 スマートロックは、正しく使えば暮らしを便利にしてくれる製品です。しかし、前述のような問題も起こり得ます。スマートロックの使用とあわせて、従来の鍵を保険としておくのが、現実的な安全対策といえるでしょう。メーカーの注意事項を守り、物理鍵や定期メンテナンスを組み合わせることが、スマートロックを安心して使い続けるための“カギ”です。

(執筆:そらのすけ、編集:雨輝)

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