ねとらぼ
2025/11/22 21:00(公開)

【あのVTuberに花束を】「バーチャルさんはみている」狂想曲。みんな頑張っていた2019年…… “様々な影響をVTuber界に与えたすごいアニメ”を振り返る

 現在、アニメイトタイムズにて、2019年に放映されたアニメ「バーチャルさんはみている」の1~12話が、期間限定で無料配信されています。公開期間は12月8日12時までです。

TVアニメ「バーチャルさんはみている」公式サイトより)
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ライター:たまごまご

オタク・サブカル・VTuber系ライター。MoguLive、コンプティーク、PASH!、ねとらぼ、QJwebなどで書いています。女の子が殴りあうゲームが好きです。
X:@tamagomago


 この一報は、昔からのVTuberファンを震撼させました。どうしても「あの」や「伝説の」といった頭がついてしまう、超特殊な作品として語り継がれているからです。なんというかもう、色々な意味で万感の思いがこもるような語られ方で。

 「バーチャルさんはみている」に関しては、2025年10月26日に月ノ美兎が【月ノ美兎のことを知りたい人へ】と題した自己紹介動画の中で、メイン出演者として当時の感想を語っていました。

(「【月ノ美兎のことを知りたい人へ】」より)

「様々な影響をVtuber界に与えた…すごいアニメで…」
「あれはあれで…何物にも代えがたい経験」
「『是非見てください』と強制することはできないがそういうアニメがあってとても業界に貢献した(?)ということは知っていただきたい事象でございますよね…」
【月ノ美兎のことを知りたい人へ】」より引用)

 色々な意味で説明が難しいこのアニメ作品について月ノ美兎が語ったあたりから、SNSでは「バーチャルさんはみている」思い出話を語る声が次々とあがりました。

 たとえば当時からVTuberを続けていて、出演者ヤミクモケリンのマネージャーをやっていたIcotsuのポストは、撮影現場の空気がよく伝わってくるものでした。「なんとか面白くしたいVtuber側と規定台本通りに進めたい番組側でまぁまぁぶつかってた」という点について、本人の思い出話配信でも「なぜかこのタイトル、我々VTuber忘れられないんですよ」「刺激的な現場だったのは今も覚えております」と語られています。

「ゲーム部もそうだし、委員長さんもそうだし、できるかぎりやっぱあがいてた。アドリブとかもそうだし、『脚本うち書きますよ』って交渉するのもそうだし、できるかぎり面白くしようとはしてたよ、私から見た限りだけど」
「マネージャーさん方は頑張ってたよ、マジで。すごくよく頑張ってた、偉いと思う俺は」
「【VTuber老人会】”バーチャルさんはみている”を肴に老人会を開く【Icotsu・元葬儀屋V】」より。引用箇所は2時間8分45秒あたり)

 他のVTuberたちからも、当時を振り返るポストが続々投稿されました。出演者の一人であるときのそら「懐かしいねー(๑╹ᆺ╹) 謎だったなぁ( •́ .̫ •̀ ) 今見ると感覚変わるかな?」と、絶妙なニュアンスを感じさせてくれる感想を述べています。

 2025年にデビューしたVTuber・悠針れい「思い出のアルバムを観ているような懐かしい気持ちに…。当時は色々な反響があったと思いますが、今見るとエモいを強めに感じます😌」と、今だからこそ感じられる思い出をぽそりと語っています。

 VTuber・馬犬は「バーチャルさんはみている」にしかない味わいを説明しています。「とりあえずやってみようで終始ふわふわしたまま進んでたまに光るものがあったりして。めちゃめちゃ貴重だし凄まじいライブ感の面白さ。二度と出来ない」という、作品の挑戦と当時の勢いに対しての高い評価を述べていました。

 Amazonプライムでの評価は2.9(記事執筆時点)。とても高い評価とは言えません。賛否を論じ合うにもどういう切り口から語ればいいのか、当時のアニメ・VTuberファンの間に混乱を招いた作品だったのが思い出されます。今回は筆者目線で、見ていた当時の「バーチャルYouTuber」界隈の状況を思い出しながら、振り返ってみようと思います。

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バーチャルYouTuberは「キャラ」であり「キャラ」ではない

 「バーチャルさんはみている」は、そもそも物語性のあるアニメではありません。この時点で、アニメファン視点からだと、引っかかりがあった人は多かったかもしれません。

 ミライアカリ電脳少女シロ猫宮ひなた月ノ美兎田中ヒメ鈴木ヒナの6人がメインになってはいますが、このメンバーが作品の主役というわけでもありません。色々なバーチャルYouTuberをメインにすえた数多くのショートコーナーが間髪入れずに連続で繰り出されていく、ショートバラエティ番組の構成になっています。

 当時からバーチャルYouTuberが大好きだった筆者が第1話を見た時、実は“とあるワンシーン”で一回動画を止めてしまいました。

 第1話の序盤、世界初の男性バーチャルYouTuberを名乗っていたばあちゃるが、メイン登場人物を1人ずつ紹介するシーンが入ります。ミライアカリや電脳少女シロが通り過ぎる中、それぞれの個性の説明が入るのは確かに、キャラクターアニメの構成っぽい。

 6人目に月ノ美兎が登場。「皆さん、走ってはだめですよ、私のように清楚で内股で歩かなくては。こうです、オラオラオラオラ!」。

 このシーンを見た瞬間、配信で既に強く「個」を出していたバーチャルYouTuber「月ノ美兎」が、第三者によって作られたキャラクター「月ノ美兎」を演じていることに衝撃を受けてしまいました。頭を切り替えるのに時間がかかりました。「いまテレビの画面で見ているのは、僕の知っている『月ノ美兎』ではない何か……何を見ているんだ僕は……?」と。

 とはいえ、この点については、以前から「バーチャルさんはみている」出演者インタビューで語られていた部分でもありました。

 「アニメ『バーチャルさんはみている』 ミライアカリら6人が語る本人“役”出演」のインタビュー記事では、月ノ美兎本人から「『月ノ美兎』役月ノ美兎としていつもと違うわたくしを見ていただきたいですね 」というメタ的な発言が語られています。

 一旦ここを飲み込み直してから見直すと、物語性のあるアニメではなく、シュールなバラエティとして構成し直そうという番組側・役者側の挑戦を見て、楽しめるようになりました。

 中でも富士葵バーチャルゴリラ(+たまにピーナッツくん)が、全く意味のないやりとりを短時間行う「富士アオイ公園」や、ときのそらがシスター・クレアに唐突にプチ相談をする「聞いてよしすたぁ!」は、この作品を象徴する重要なワンコーナーだったように感じられます。バーチャルYouTuberがテレビに出てミニコントをすること、それをシュールに振り切ろうとしていることに、作り手の意図を感じたからです。

 バーチャルYouTuberを集めて、平成のシュール系子ども向け番組「ウゴウゴルーガ」的なものを作ろうとしていたのだと見るならば、方向性はかなりわかりやすい。あるいは、昭和で例えるなら「カリキュラマシーン」か「巨泉・前武ゲバゲバ90分!」か。とりあえず、バーチャルYouTuber初期に生まれた混沌を混沌のままに集めてお祭りにする、というコンセプトなのだとしたら、挑戦のスタイルはわかります。

 さて、仮に全員が「番組のために作られたキャラクター」全振りなのだったら、もうちょっと受け入れやすかったかもしれません。

 ただ、2019年のバーチャルYouTuberは「キャラクター」的な側面を持つと同時に「キャラクター」ではなくなっていました。当時まだ知名度の低かった「バーチャルYouTuber」は「得体のしれないアニメキャラ的なもの」という認識があったのも事実です。一方で、深く見ている視聴者は「バーチャルYouTuber」が活動する思想のようなもの、いわば「それぞれが目指す自己表現のベクトルの違い」を感じつつある時期でもありました。

 6人のバーチャルYouTuberがやりとりをする教室の黒板に書かれた文字「アニメ感だしてく」。この番組が「多様化しつつあるバーチャルYouTuberのことを、一つの画面の中でどう表現すればいいのか?」というひずみの中であがき、進む道を手探りしていた迷いの片鱗の一言だったように感じます。

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「アクター=バーチャルYouTuber」とは限らなかった時代

 2025年現在、VTuber活動の主流は「バーチャルなアバターを用いた自己表現」だと思います。言うなれば、アクターの言動がそのままアバターを通じてVTuberとして反映されている、というスタイルです。

 しかし、運営スタッフが複数人いる場合など、必ずしも「アクターの意思=VTuberの言動」となる場合ばかりではありません。その最たる例のひとりが、キズナアイです。

 「バーチャルさんはみている」の前期オープニングを歌っているのはキズナアイでした。今も「親分」として多くのVTuberに慕われている、バーチャルYouTuberの始祖的存在です。彼女はオープニングで「AIAIAI」を歌ってはいますが、本編には出演していません(ちなみに後期オープニングは「バーチャルリアル『あいがたりない(feat. 中田ヤスタカ)』」。キズナアイは歌っていません)。

 AIを自称するキズナアイは、いわゆる「魂」と呼ばれるような、アバターとイコールにあたるアクターがいるスタイルではありません。“ボイスモデルを貸し出す”という形で声優・春日望が活動していましたが、声優本人の意思そのものが反映されているわけではないので、春日望=キズナアイではありません(KAI-YOU Premium「キズナアイとは何だったのか? 『関わるのをやめようと思ったことも』春日望が初めて語る誕生秘話」より)。

 キズナアイが生まれた2016年からのバーチャルYouTuber創世紀・拡大期には、このような運営チームによる管理のもとで動いていたバーチャルYouTuberが多く存在していました。その場合、バーチャルYouTuberたちの発言は「誰かの生の感情」なのか、それとも「作られた台本」なのか、というゆらぎが生じます。

 このゆらぎこそが、初期バーチャルYouTuberの面白さの一つでもありました。見る側の「見立ての美学」のようなものが問われたからです。言うなれば、人形劇・人形浄瑠璃を見る時に「黒子がいるじゃん」とか「人形じゃん」と言わずに、出された作品に向き合って「表現として差し出されたもの(バーチャル)を現実(リアル)として受け取る遊び、視聴者と作り手の共犯関係」がそこにありました。

 これがうまくハマっていたのが、当時のゲーム部プロジェクトでした。4人組の男女混合部活のバーチャルYouTuberグループで、台本があるであろうストーリー仕立て動画は、チャンネル内でも高い人気を誇っていました。

 そのゲーム部プロジェクトが「バーチャルさんはみている」の中でやっていたのが、「VIRTUAL WARS」というシリーズ。他のコーナー以上に台本がはっきり組まれており、ハチャメチャコメディをちゃんとやろう、というのがしっかり伝わってくる構成でした。ここに関しては、スタンスがはっきりしていたので、「キャラクターが存在するアニメ」というスタイルに綺麗にハマっていたように感じられます。

 さて、「バーチャルさんはみている」のゲーム部プロジェクトの姿は、色々な意味で「貴重な資料」として残ることになってしまいました。

 というのも後日、ゲーム部プロジェクトでは担当の「声優」からの降板発表があり、アバターはそのままで全員の声が入れ替えになる、という「バーチャルYouTuber」と「キャラクター」の境界線の崩壊を経験することになるからです。運営主導によるキャラクター事業型から「自己」を表現するバーチャルYouTuberへと変化する、時代の移り変わりを象徴するような出来事でした。

感想に思想が問われる「バーチャルさんはみている」

 個人でも簡単にVTuberを始めることができて、新しい表現の可能性がバンバン広がっている2025年現在。仮にWebをひっくり返すような文化的崩壊が起ころうとも、「VTuber」というアバターで自己を表現をするという技法そのものが完全消滅することは、おそらくないと思います。

 しかし、2018年から2019年のバーチャルYouTuberは、規模が全然違いました。まだ一般的に認知されているとは言えなかったこの文化、いつなにが起きて芽生え始めたムーブメント全部が消えてなくなるかわからない。ファンと作り手のみんなでポジティブに支えないと、この文化自体が跡形もなく瓦解する可能性がある。今の「にじさんじ箱推し」「ホロライブ箱推し」のようなノリで、バーチャルYouTuber文化全体を応援する「VTuber箱推し」的な思想もありました。

 そのようなナイーブな空気感もあって、「バーチャルさんはみている」を褒めるにしても批判するにしても、自分はどう「バーチャルYouTuber」のことを考えているのか、語る前に自身の前提スタンスを明示する必要性が迫られる瞬間が発生してしまいがちでした。

 仮に褒めるにしても、バーチャルYouTuberの活躍の拡大を褒めるのか、地上波テレビに出たことを褒めるのか、作品の挑戦を褒めるのかで視点が異なります。

 作品を批判する場合、なぜそれを自分が受け入れられなかったのかを説明するために、「バーチャルYouTuber」とは自分にとってどのようなものなのかをいったん咀嚼し、説明できるだけの語彙力が要求されました。バーチャルYouTuberファン以外の人が、直感的な部分で「面白いかどうか」を評価するのと異なる、「バーチャル」に対しての考え方に向き合わなければいけない、ハイコンテクストな壁が立ちはだかりがちでした。

 2019年から2025年、この6年間に多くのバーチャルYouTuber視聴者、そしてVTuberたちが「バーチャルさんはみている」を語る際に、一瞬言葉に詰まっているのを見ると、もしかしたらその人の中でも筆者と同じように「バーチャルYouTuber観」の葛藤があったのかもしれない……なんて感じてしまうのです。

 加えて、ニコニコ生放送とPeriscopeでは、テレビのオンエア前後にVirtualCastを利用したフリートークも行われていた、というのを知っているかどうかも大きな差になります。番組自体が「一連のバーチャルYouTuberを題材にした企画の一部」のような形式だった……というのは、今は参加者の証言以外の記録が残っていないので、説明がとても難しい部分です。

 2018年12月31日には、当時の名だたるバーチャルYouTuberを集めたニコニコ生放送「バーチャル大晦日2018〜みんなで年越しブイッとね!〜」が盛り上がりました。2019年4月27日、4月28日の「ニコニコ超会議2019」では「トーク&LIVEイベント バーチャルさんがいっぱい」が開催され、バーチャルYouTuberをフィーチャーした大規模なライブイベントも行われました。それも込みの、ニコニコ生放送ならではのイベント型エンターテインメントだったのだと考えると、この作品への視点がまた一つ変わってきます。

「ヒトガタ」というバーチャルYouTuberの魂の咆哮

 「バーチャルさんはみている」のエンディング曲は、HIMEHINA(田中ヒメ・鈴木ヒナのユニット)の「ヒトガタ」という曲でした。

 この曲を起用した事自体が、2019年の「バーチャルYouTuber」を考えた「バーチャルさんはみている」の最大の功績だったように感じます。「ヒトガタ」は「バーチャルYouTuber」とは何なのかを問う、深くメスを入れる楽曲として思想性がすこぶる高いです。少なくとも、お気楽を目指す番組のエンディングで、何も考えずに流せるような作品ではありません。

 出だしから畳み掛ける「you know we are not a doll」という歌詞。私たちは、人形じゃない、と突きつけてきます。一部ですが、歌詞を引用します。

一夜 人の世に立ち
片欠けの身の果てを見ていた
ヒトよ ヒトよ とせがみ
生命の光
泣いてもがいて 輝いている
生命の光
胚になって 愛しあっている
歪んだ ヒトガタ
「HIMEHINA『ヒトガタ』MV」より)

 HIMEHINAのオリジナル楽曲は、考察できる要素を含んだ作品が多いですが、「ヒトガタ」もその一つ。「バーチャルYouTuber」という人の心を持っていながら人間の姿ではなく、アバターで活動している存在は、なぜその表現をあえて選んだのか……それは2019年当時、大きな命題の一つだったように思えます。リアルの姿ではなく「ヒトガタ」で生命の光を輝かせようという選択肢を選んで、そこに魂をかけているのには、活動者それぞれ理由があるはずです。

人型の姿 見せ方 偽型 似せ方も知らず光から染み出し
染み出したココロ痛みのち人成り 人ならざる者の生命を謳う
「HIMEHINA『ヒトガタ』MV」より)

 「バーチャルYouTuberのアニメ化」という挑戦を行うこの番組を放映するにあたって、少なくともHIMEHINAの2人と「ヒトガタ」を作ったスタッフには、「人ならざる者の生命を謳う」存在として、バーチャルYouTuberの存在意義を強く見据えた上で、番組に挑んでいたようです。

 このHIMEHINAの「ヒトガタ」思想路線で、文学的・哲学的な思想表現も含んだ「バーチャルYouTuberとはなんなのか?」というハードなアニメが作られていたら……。それはそれで、テレビでのVTuber表現のありかたは少し変わっていたかもしれません。

 2019年、すでに多種多様なバーチャルYouTuberが現れ、それぞれに活動の思想もあったと思います。それを一つにまとめることができないからこそ生まれたカオスが「バーチャルさんはみている」だったのだとしたら、それはそれで「バーチャルYouTuberのアニメ化」挑戦の一形態として記録的な意味があったのだろうと、今だからこそ感じられます。

 序盤で紹介した悠針れいが言っていた「思い出のアルバム」という、内容の如何を超えたところにある感情を刺激する感覚こそが、当時を知る人達と活動していたバーチャルYouTuberたち、そして今それを見て活動しているVTuber達にとって、最も的確かもしれません。アルバムの写真には、記録されていること自体に価値があります。

 ちなみに2019年、「バーチャルYouTuber」「VTuber」によるテレビ番組は他にも作られており、それぞれしっかりした企画意図のもとで作品・番組として放映されていました。

 ときのそら、響木アオ猿楽町双葉が俳優として姉妹を演じるコメディ四月一日さん家のシリーズは、2019年4月からアニメではなく「ドラマ」の形式で撮影・公開されました。アバターは3DCGではありますが、あくまでもテレビドラマの俳優として3人が演技しており、カメラ撮影のアングルもドラマと同じようにこだわりを入れた作品で、シチュエーションコメディとして好評を博しました。

 「ガリベンガーV」シリーズ(現・ガリベンチャーV)は、2019年1月からプロの専門家を招いてバーチャルYouTuberたちが勉強を教えてもらうという、学習番組スタイルで放映されました。電脳少女シロを中心としたバーチャルYouTuberたちが、いうなれば雛壇芸人的ポジションで、バイきんぐ・小峠英二が「芸人側からバーチャルYouTuberをいじり倒す」という姿勢を取っていたことで、実写とバーチャルYouTuber、バランスのいい教養バラエティとしてユニークな映像づくりになっていました。

 現在では、ナレーターやアニメ声優、歌番組など、VTuberが他のリアルの演者と区別なく並んでいる光景も少しずつ増えてきました。しかし、テレビ番組まるまるVTuberだけで構成されているというのは、あまりありません。一方で、VTuberをメインにした「公式番組」を運営会社が作成することが増えました。

 たとえば、YouTuberチャンネルの「ROF-MAO / ろふまおチャンネル【にじさんじ】は、VTuber・ライバー主体ではなく、にじさんじ公式が番組を制作・運営しており、高いクオリティの「VTuberのバラエティ」を定期的に放映して人気があります。各回の見せ方の作り込みや編集のレベルは、テレビ番組のテンポの良さと遜色なく、海外ロケなどまで行っています。

 ここに関しては「バーチャルYouTuberだから」というよりも、他のリアルな芸能人同様に、バラエティなどの番組をプロが手を入れて作るのなら、動画共有サイトでの投稿のほうがより自由度が高いという、テレビとWeb媒体の表現乖離のほうに時代が変化してきたからかもしれません。

 テレビやWebの表現手法の多様化、VTuberという存在への意識の変化、集めようと思っても簡単に集められない運営企業の分散化、視聴者層の多様化、コロナ禍前後の大きなエンタメの変容などを考えると、今となっては「バーチャルさんはみている」は、もうやろうと思っても二度とできない「アニメ」でしょう。月ノ美兎が言ったように、色々な意味で今後さらに「伝説のアニメ」として語り継がれていくことになりそうです。

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