テラリウムを作ると1度は川や滝に憧れるけれど、実際形にするのはなかなか難しい……。そんな悩みが解決できるかもしれない、たくさんのアイデアが詰まったテラリウムのDIYがYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で、2万1000回以上再生されています。
川の流れるテラリウムを作る
動画を投稿したのは、熱帯魚やアクアリウムに関する情報を発信しているYouTubeチャンネル「VIVA AQUA / ビバアクア」。以前には、水槽にびっしりと生えた厄介なコケを駆除してくれる商品のレビュー動画を紹介しました。
今回は新たな手法や自作のパーツを使って、「川の流れるテラリウム」を作っていくようで……?
テラリウムに川や滝を作る際の問題点
ビバアクアさんによると、これまで川や滝のような水が流れるテラリウムを作る際は、水中ポンプ(もしくはフィルターまるごと)をレイアウトに埋め込む必要があったそうです。しかしその場合は水中ポンプが詰まると、レイアウトを崩して取り出す必要があったのだとか……。
それ以外には水槽とガラス面に板を接着して、レイアウトと水中ポンプをエリア分けする方法もありますが、この場合は水槽に接着剤が残ってしまうため、水槽をキレイに再利用できなくなるという問題があったそうです。
今回はそれらの問題をクリアするために、3Dプリンターやスチレンボードを使った自作のパーツを多数作ったようです。これらのパーツがあれば水中ポンプのメンテナンス時にレイアウトを崩す必要もなく、水槽に板を接着する必要もなくなるのだといいます。それでは実際に、川の流れるテラリウムを作る過程を見せてもらいましょう。
詳しい川の作り方
今回は植物に加えてカニも飼育するため、スペースが広く確保できるように前面ガラスがカットされた幅45センチ×奥行き30センチ×高さ(前面)20センチ/(背面)30センチのアクアテラリウム用水槽を採用。
まずは100均の鳥よけマットの足を、同じ高さにそろえてカット。大きな風山石を並べて水場と陸場を区切る石垣を作り、隙間はスポンジで埋めます。底には底床用の風山石を敷き、渓流砂と渓流石を使って隙間を埋めておきました。
続いてスチレンボードを使って作ったパーツをセットし、溶岩砂利やプラチナソイル(スーパーパウダー)で埋め、ソイルをならしたら川の製作に取り掛かることに。
川の製作方法としてまず思いつくのが、「U字型の溝をスチレンボードなどで作る」パターン。しかしこの方法ではなだらかなカーブが作りづらく、不自然な形状になりやすいのだとか。設計段階から綿密に計算し、製作しないと上手に作れなかったそうです。
そこで思いついたのが、「V字型の溝で作る」パターン。小さな板状にカットしたスチレンボードをV字状に配置していく方法で、設計図なしでも自由な形状の川を作ることができたのだとか。川底もシリコーンシーラントで塗り固めてしまうため、難しいことを考えなくても大丈夫だったそうです。
形状が決まったら全体にシリコーンを塗り付け、石を貼り付けます。この時サイズの違う石や砂利を貼り付けるとシリコーンが見えなくなるため、自然な感じになるそうですよ。
植栽とギミックの設置
続いては植栽とギミックの設置を行うことに。まずは流木をレイアウトし、シダ植物を植栽。コケの植栽エリアには「けと土」を盛りつけ、石垣には枝状の流木を配置して「根」を表現します。川の上流エリアにはヒノキゴケを、下流エリアにはコツボゴケを配置しました。
川の上流にはミストメーカーを内蔵した「池」を設置。池のパーツには生体の落下防止用のフタを、池には水を供給するためのチューブと、池から水が流れ出すエアストーン付きのスロープを設置。ミストの拡散を調整するフタと、生体の侵入を防ぐフェンスを取り付けたら、エアストーンにエアチューブを取り付けます。
水中ポンプはパイプで接続し、自作の水中ポンプボックスに収納。別途ミスティングシステムを設置し、シリコンスペーサーと自作の安全パーツを取り付けてからフタ、温湿時計と送風ファンホルダーも装着。コード類もまとめて隙間を極力なくしたら、テラリウムの完成です。完成したテラリウムには、鮮やかな色彩を持つ4匹の「ヴァンパイアクラブ」をお迎えしたのでした。
アイデア満載のテラリウム
お迎えしたヴァンパイアクラブは陸生のカニですが、脱皮や交尾のために水場が必要なのだとか。タッパーなどで水場を作ってもいいけれど、今回はロマンを追い求めて川を作ることにしたのだそうです。
今回作ったテラリウムは底面ろ過がセットとなった「アクアテラメーカー」というアイテムに自作パーツを接続し、水中ポンプを取り出してメンテナンスができるようにしたほか、プロホースを使って完全に水を抜くことも可能な仕様にしたとのこと。
また水中ポンプから自作のミストボックスに水が送られ、タイマー管理で定期的にミストが発生する仕組みになっているそうです。ただこのミストでコケ類に水やりができると思っていたけれど、少々力不足でほぼ“演出用”となりました。
ミストボックスにたまった水はスロープの先端にあるエアストーンから川に流れ出て、泡の動きで川の流れを視覚化できるほか、泡がはじけた際の飛沫が飛び散り、周囲のコケ類への水やり効果もあるそうです。
さらに水場エリアにたまった水は底部を通り、水中ポンプで陸上へと循環。陸上エリアの植物への水やりと湿度管理は、水槽上部のミスティングシステムが自動的に行ってくれるそうですよ。
またテラリウム内の湿度が保てるように、別途ガラスのフタを設置。レイアウトや動きを楽しみつつ、カニの脱走リスクを極力軽減した、アイデア満載のテラリウムが出来上がったのでした。
テラリウムの今後と懸念点
ヴァンパイアクラブは同種間で争うこともあるそうですが、隠れるスペースをたくさん用意したおかげか、今のところ大きなケンカは発生していないそうです。ただし隠れ家が多いため、生存確認をするのがちょっぴり大変なのだそうです。
また湿度が高いため、流木にカビが生えがちとのこと。カビなどの菌を食べるトビムシは用意しているけれど、導入するか悩んでいるそうです。またミスティングシステムのミストでエサがぬれてしまうことが判明したため、屋根付きのエサ皿を自作しました。
ヴァンパイアクラブの生息環境を再現したテラリウム水槽では今後、ヴァンパイアクラブが問題なく飼育できるか、自作して組み込んだギミックが実用に耐えられるか、その経過を動画で報告していく予定だそうですよ。
なおその後、ビバアクアさんはなかなか水槽内のモス(コケ)が増えないことを不思議に思っていたそうです。するとある日、1匹のヴァンパイアクラブがおいしくモスを食べている光景を目撃したのだとか……元気そうで何よりですね。
「すっごい!」「作りたくなりました」と反響
この動画のコメント欄には「うおお〜〜〜! すっごい!」「隠れ家いっぱいでカニも落ち着けて隠れてるときでも苔や川の流れぼんやり眺めていられそう。川作りたくなりました」「憧れの川や滝が手軽に作れる日が来るのか……!?」「ミストボックスのスロープから流れる水がダムみたいでかっこいい!」「ぜひ参考にしたい」といったコメントが寄せられていました。
YouTubeチャンネル「VIVA AQUA / ビバアクア」では、アクアリウム用品のレビューやテラリウムを作る様子などを多数公開中です。
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