ねとらぼ
2025/11/27 18:00(公開)

なぜ、少子化でも「キミとアイドルプリキュア♪」は絶好調なのか? 「配信時代のプリキュア」が躍進する3つの理由

【連載:サラリーマン、プリキュアを語る】「スーパー戦隊」が「ギャバン」に代わる時代です。同じニチアサの「プリキュア」はどうなっていくのでしょうか?

 2025年。実は今、プリキュアの売り上げが絶好調なのです。

 少子化が進み子ども向け市場が縮小していく中で、2025年上半期のバンダイナムコHDのトイホビー売上は昨対153%、東映アニメーションの国内版権収入も昨対118%。映画は歴代3位の成績となりました。

 数字だけを見れば、今のプリキュアは「ここ10年の中で最も勢いのある年」の一つといっても過言ではありません。

 今回はこの2025年の「プリキュア好調の理由」を3つの観点から見ていきたいと思います。

上半期の売り上げが絶好調な「キミとアイドルプリキュア♪」
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バンダイナムコHDの上半期は昨対153%

 2025年11月6日、バンダイナムコHDの2025年6月期の中間決算短信が発表されました。

 プリキュアの関連商品の売り上げである「トイホビー売り上げ」の上半期(4~9月)は49億円。昨年同期の32億円と比較して153.1%となりました。

 昨年比1.5倍の売り上げはちょっと信じられないレベルの好調な推移となっています。

 コロナ禍の落ち込みから完全復活を遂げ、この好調を受け通期見込みも85億円から95億円へと上方修正されました。

2025年上半期のトイホビー売り上げは昨対153%と絶好調
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東映アニメの国内版権も昨対118%と好調

 また2025年10月29日には「東映アニメーション株式会社」の中間決算短信も発表されました。

 プリキュアの「国内版権売り上げ」は上半期(4~9月)で4.07億。昨年上半期の3億4400万円から118.3%とこちらも好調な推移となっています。

 決算短信では、プリキュアシリーズが「東映アニメーションの主力作品群」の一つと記載され、また「プリキュアシリーズのショップ事業が好調に稼働」「催事が好調に稼働」との記載もみられ、グッズ関連やイベント収益の好調さも伺えました。

東映アニメーションの国内版権も好調に推移

 さらに2025年9月12日に公開となった映画「映画キミとアイドルプリキュア♪お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!」は興行収入11億5000万円を突破し、オールスターズ映画を含めたプリキュア映画全34作品の中で「歴代3位」の興行収入であることも決算短信で発表されました。

 2025年上半期のプリキュアは「バンダイの関連商品」および「東映アニメーションの国内版権」、そして「映画の成績」と全てにおいて好調な推移となっているのです。

関連グッズの売り上げも好調
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深刻な少子化の中、プリキュア好調の3つの要因

 プリキュアのメインターゲットはもちろん「子ども」なのですが、その子どもの数は年々減少し続け、少子化は深刻さを増しています。

 特にコロナ禍以降は加速して少子化が進む傾向にあり、2024年度の出生数はついに70万人を割り込みました。

プリキュア放送開始(2004年)以降の出生数の推移。深刻な少子化傾向に

 そんな少子化が進む中で、なぜ「プリキュア」はこれほどの好調となっているのでしょうか。

 その背景には3つの要因が挙げられます。

 1つ目は「ターゲット層の拡大戦略」、2つ目は「アニメ本編と商品プロモーションの一体化」、3つ目は「プリキュアブランドの拡張」です。

ターゲット層の拡大戦略

 プリキュア好調の要因の一つに、今のプリキュアシリーズが「幅広い世代に対応していること」があると思われます。

 まず「子ども層」については従来のターゲットの未就学児だけではなく、キッズコスメ「PrettyHolic」の展開などで、少し上の小学生女子も取り込むなど、幅広い子ども層への訴求が成功しているようです。

 また、2023年の「プリキュア20周年」以降、プリキュアは「大人向け」の展開を公式に宣言し、従来の「子ども層」だけでは市場が縮小する中、大人層を積極的に取り込む戦略が本格化しました。

 そしてそれらの戦略がこの2年間で確実に芽を出し、大きな売り上げへとつながっているのです。

 現在放送中の「キミとアイドルプリキュア♪」は、シリーズとして初めて「アイドル」を前面に押し出しました。玩具はもちろん「推し活グッズ」も多数発売され、イベントやライブとの相性も良くファン層が広がり続けています。

 メインターゲットである子どもたちはもちろん、かつてプリキュアを視聴していた10~20代の女性層も巻き込む結果として売上全体を押し上げているようです。

キッズコスメ「PrettyHolic」は小学生女児をターゲットに

 事実、2025年10月に横浜で開催されたライブイベント「キミとアイドルプリキュアLIVE2025 You&I=We’re IDOL PRECURE」は大人の観客の内、半数以上が女性を占めていて、それぞれ推しのグッズを身につけてライブに参戦し大きな盛り上がりをみせました。

 もちろんメインターゲットは子どもたちなのですが、「アイドル×プリキュア」という新路線は、想定以上に市場の支持を得ているようです。

 さらに、大人向けの市場「オトナプリキュア」関連もテレビ放送が終わった後も安定したグッズ展開、イベント展開によりプリキュアの大人向け市場を盛り上げました。

アニメと連動したキミプリLIVEも「大人の女性」が目立ちました

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