日本を訪れた海外旅行者が、ほぼ必ずといってよいほど体験するもの──それが「自動販売機」です。街を歩けば、昼夜を問わず光を放つ自販機が至る所に並び、飲み物だけでなく、カップ麺や冷凍食品、パン、日用品まで幅広い商品を手軽に購入できます。
近年は “vending machine village(自販機村)” と呼ばれるスポットがSNSで話題になり、世界中の旅行者の興味をいっそう引きつけています。温かい料理や生鮮食品、高級品まで販売する“自販機大国”の日本は、どのような歴史を歩み、どのように海外から見られてきたのでしょうか。
1980年代の自販機ってどんな感じ?
“海外版2ちゃんねる”とも呼ばれるRedditの「AskAJapanese」には、次のような興味深いスレッドが投稿されています。
“What was your experience with vending machines and automated services in Japan during the 1980s?”
(1980年代の日本の自動販売機や自動化サービスを体験したことがある人に尋ねたい。それはどんなふうでしたか?)
投稿者はアメリカ・イリノイ大学(UIUC)のゲーム研究者で、1980年代の日本文化を調査するプロジェクトの一環として、以下の点に関心を寄せていました。
●当時の自販機は未来的に感じられたのか
●どのような自動化サービスが存在していたのか
●自販機は音を鳴らしたり音楽を流したりしていたのか
●「オートマット(Automat:自販機コーナー)」はどのような用途で利用されていたのか
この質問に対し、当時を知る多くのユーザーがコメントを寄せており、特に次のような意見が目立ちました。
「1980年代の自販機はすでに充実していたが、今よりシンプルで静かだった」
「深夜営業の自販機コーナー(オートマット)は“便利の象徴”だった」
「治安の良さと補充の早さは、当時から日本ならではの特徴だった」
つまり、“未来感と安心感の両立”という、日本の自販機文化に見られる特徴は、1980年代からすでに確立されていたことがわかります。
日常の設備から“観光資産”へ──進化する日本の自販機文化
日本の自販機文化の起源は、明治時代にまでさかのぼります。1888年(明治21年)、俵谷高七(たわらや・たかしち)によってタバコ販売用の装置が発明され、特許が出願されました。
1904年には切手・はがきを販売する木製自販機を開発。これはお釣りの払い戻しや価格表示まで行える先進的な機械で、日本最古の現存自販機として知られています。その後、1960〜70年代に清涼飲料水の自販機が急速に普及し、高度経済成長期には「いつでも手に入る便利さ」が新たな価値となりました。
自販機メーカー同士の競争が激化すると、食品系・雑貨系へとジャンルが広がります。治安の良さが普及を後押しし、地方や郊外にも設置されるようになりました。
さらに、地域限定商品やユニークなラインアップが観光効果を生み、SNSの発達によって外国人が“日本のユニークな文化”として発信し始めると、その進化は一段と加速していきます。
訪日した外国人が、ずらりと並ぶ自販機の清潔さや品ぞろえ、そして信頼性に驚く理由も、こうした長い歴史と文化の積み重ねにあるといえるでしょう。
Redditの最新スレッドでは、1980年代の“未来感と安心感”が語られ、過去スレッドでは日本の治安や信頼性への驚きが繰り返し見られました。時代が変わっても、海外から見た日本の自販機は常に「興味深い文化」として注目され続けているということなのでしょう。
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