ねとらぼ
チョウザメ
2025/12/14 21:15(公開)

清らかな天然水で育った“おなかパンパンの超大物”→包丁を入れると…… 中身に「贅沢すぎる」「夢があるね」

 長野県の湧き水で養殖されているチョウザメを捕獲し、一からキャビアを作ってみた様子がYouTubeに投稿されました。動画は記事執筆時点で14万5000回以上再生されています。

手づかみしたチョウザメから世界で唯一のキャビア作った
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長野県でキャビアを作る

 動画を投稿したのは、山の幸や海の幸を日本各地で採集して食べることを趣味としている茸本朗(たけもとあきら)さんのYouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗ch」。以前には、ちりめんじゃこへの混入事故が発生し、ニュースになることがあるフグの稚魚を食べてみた動画が話題となりました。

 今回は別名「黒いダイヤ」とも呼ばれる、高級食材のキャビアを一から作ってみるようで……?

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チョウザメの養殖場を訪問

 茸本さんはこの日、長野県の山間部に位置する長和町にやってきました。本日はなんとここで世界三大珍味の1つ、キャビア作りに挑戦します。

 キャビアは「チョウザメ」という魚の卵を加工したものであり、作ろうと思ったらまずチョウザメを捕獲しなければなりません。そこでチョウザメの養殖場でいい感じに卵を持った個体をゲットして、そこからキャビア作りをはじめたいと考えているのだそうです。

キャビアの作り方を教えてもらいましょう
キャビアの作り方を教えてもらいましょう

 キャビアの正しくておいしい作り方を教えてくれるのは、信州スプリングファームの東久保さん。同社ではチョウザメの養殖やキャビアの製造などを行っていて、茸本さんは以前こちらでチョウザメそのものを購入し、食べたことがあるそうです。

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チョウザメを捕獲する

 早速チョウザメの泳ぐプールへと向かい、捕獲に挑戦することに。捕獲するためにはプールの中に入る必要がありますが、この水は湧き水であり、1年を通じて水温は9度を保っているのだとか。

 なおこの水は無味で冷たいことを特徴とする「黒曜の水」と呼ばれる超軟水で、キャビアをおいしくしている要因にもなっているのだそうです。

 冷たい水の中に身を投じるために、茸本さんはウェーダーを着用。プールに入ったら目印として、背びれにピンク色の結束バンドを付けているチョウザメを探します。

チョウザメを捕獲しました!
チョウザメを捕獲しました!

 そして探し出したチョウザメのしっぽをつかんで、持ち上げて……そのパワーとぬるぬるした粘液に翻弄されつつも、手づかみでチョウザメを捕獲することに成功したのでした。

を採り出す

 チョウザメを捕獲したら、血抜きをしてから卵を採り出していきます。捕獲したチョウザメは6キロ弱あり、おなかがかなり張っているので、卵がパンパンに詰まっている可能性があります。

立派なサイズのチョウザメです
立派なサイズのチョウザメです

 なお血抜きをしているチョウザメのおなかに小さな穴が開いていますが、これは卵の状態をチェックした痕なのだとか。ここからストローのような筒を入れ、卵を採って状態を確認したそうです。

おなかが張っているので、卵もたくさん詰まっているかもしれません
おなかが張っているので、卵もたくさん詰まっている?

 東久保さんによると、キャビアには加熱をして保存性を高める「低温殺菌キャビア(パスチャライズ)」と、イクラなどと同じように生食感を重視した「生キャビア(フレッシュキャビア)」の2種類があるとのこと。日本の主流は生キャビアですが、海外キャビアの多くは臭いを感じたり塩辛かったり、プチプチした食感があったりする、低温殺菌したものなのだそうです。

 血抜きが完了したら、いよいよ卵を採り出す作業に入ります。この作業は日ごろからキャビアを扱っている東久保さんでも、この瞬間に全てをかけ、祈りを捧げる瞬間なのだとか。卵を傷つけないよう細心の注意を払いつつ、チョウザメの腹部に包丁を入れていきます。

おなかの中には、黒いダイヤがぎっしりと詰まっていました
おなかの中には、黒いダイヤがぎっしりと詰まっていました

 慎重におなかを開けると……中には黒いダイヤの原石である卵が、パンパンに詰まっています。慎重に卵を採り外したところ、全部で725グラムの卵を採ることができました。

 採り出したばかりの卵は卵膜に覆われている状態なので、網にこすりつけるようにして卵を外す「裏ごし」という作業を行います。卵は意外と丈夫なので、適した時期に裏ごしを行うことができれば、簡単に潰れることはないそうです。

卵を卵膜から外して
卵を卵膜から外して

 約700グラムの卵が採れましたが、チョウザメがこのサイズに成長し、卵が採れる状態になるまでには最低でも6~7年かかるのだとか。大きい魚ですが、その分成長には時間がかかっているのですね。

 卵膜を無事に採り外せたところで、キャビアを試食してみることに。新鮮なキャビアは非常にコクが強く、うま味や力強さ、ねっとりした感じや臭みが全くないことなど、卵に求めるものが全てあるような感じだったそうです。

水で洗うと宝石のような輝きに
水で洗うと宝石のような輝きに

 その後水洗いをして卵膜などを洗い流したキャビアは、青みがかった黒色で宝石のように光り輝いていました。キャビアのこの色味は、「ベルーガカラー」や「オブシディアンブラック」と呼ばれることもあるそうです。

オリジナルキャビア作りに挑戦

 続いてはキャビアの味付けを行いますが、「茸本印のオリジナルキャビア」を作っていくとのこと。キャビアのオリジナリティは基本的に塩の種類や塩分濃度で出すもので、信州スプリングファームでは長い研究の末に導き出した「3.85パーセント」という塩分濃度を採用しているそうです。

 茸本印のオリジナルキャビアは信州スプリングファームの塩と塩分濃度を踏襲しつつ、ハーブとスパイスでオリジナリティを出していくことに。あらかじめ選んできた、日本の魚料理における定番の香辛料「山椒の葉(葉山椒)」、西洋の生魚料理に使われるハーブ「乾燥ディル」、台湾の原住民が愛用してきたスパイス「マーガオ」の3種をキャビアと合わせていきます。

3種のハーブ、スパイスで味付けをしてみます
3種のハーブ、スパイスで味付けをしてみます

 2人で試行錯誤しながらハーブの配合を決定し、ヒマラヤンピンクソルトという岩塩も使った味付けを実施。ビン1本に15グラムの味付けキャビアを詰めて、詰めたキャビアの上には最初にピンときていたという、「穂ジソ」を乗せておきました。穂ジソは香りが強いため、外からまとわせるようなイメージを持ちたかったとのこと。こちらは食べる前に、取り出す想定でいるそうです。

仕上げに穂紫蘇を乗せたら、オリジナルキャビアの完成です
仕上げに穂ジソを乗せたら、オリジナルキャビアの完成です

 味付けが完了した茸本印のオリジナルキャビアは、キャビアの持つ大人の魅力や妖艶さに加えて、ハーブ・スパイスが入っているという意味を合わせて「葉艶(ようえん)」と名付けられました。キャビアを食べたことがない人、キャビアにいい思いを持っていない人にも食べてほしい一品となったそうです。

オリジナルキャビアを試食

 最後は作ったばかりのオリジナルキャビアの試食をすることに。東久保さんによるとキャビアは金属のスプーンで食べると風味が落ちるため、貝殻でできたシェルスプーンや、プラスチックのスプーンなどで食べてほしいそうです。

 まずはベーシックなキャビアを試食し、改めてそのコクやうま味を確かめます。そしてオリジナルキャビアを食べてみると……? キャビアの風味や味わいを全く損なうことなく、最初にマーガオ、最後にディルがふわっと香っておいしかったとのこと。そしてこういった新たなキャビアの食べ方が、キャビアの世界を広げるかもしれないと感じたそうです。

キャビアそのものも、味付けしたキャビアも最高においしかったそうです
キャビアそのものも、味付けしたキャビアも最高においしかったそうです

 その後はチョウザメの刺身も試食させてもらうことに。チョウザメはキャビアはもちろん、身もおいしい魚なのだとか。信州スプリングファームでは特に卵が採れないオスは、身を最大限おいしくして提供しているそうです。

 その身はかめばかむほど旨味と脂が出てきて、しっかりした身をかみしめている間に、ずっと幸せを感じられるような味わいとのこと。チョウザメの燻製はチョウザメの身質や味と燻製香が合っていて、非常においしかったそうですよ。

 チョウザメを捕獲するところからキャビアを作るという夢を叶え、さらにオリジナルの味付けキャビアという、新たなジャンルへの挑戦も成功。今後もキャビアやチョウザメについて何か取り組みができたらと、意欲を示す茸本さんなのでした。

「贅沢すぎる」「夢があるね」と反響

 動画には、「贅沢すぎる」「夢があるね」「あぁぁぁぁキャビア食べたい!」「卵だけでなく身も大事に調理している所に、愛を感じました」「流石にキャビアだと無理があるので、スパイスいくらを漬けてみようかな……」「一夜干しとか干物系とかも美味しそう」といったコメントが寄せられていました。

 茸本さんは、この他にも全国各地のマニアックな食材を食べる様子をYouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗ch」で公開中です。また、X(@tetsuto_w)でも情報を発信しています。

「野食ハンター茸本朗ch」動画まとめ

チョウザメをつかみ取りして、卵も身も堪能!
地引網で宇宙人みたいな魚とれたので食べた
世界遺産でモンスターハントして食べた

動画提供:YouTubeチャンネル「野食ハンター茸本朗ch

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