アメリカ・サンフランシスコで暮らす犬と猫の姿が、“種を超えた友情”として多くの反響を集めています。文字通りいつもぴったり寄り添いあう2匹には、実は“ある特別な絆”がありました。

画像はInstagramアカウント「AdventureSnugBugs」から引用

 サンフランシスコで暮らすウェンディさんの家には、猫のバーニー(メス)と犬のジョーイ(メス)がいます。2匹は、ただの同居ペットではありません。まるで姉妹のように、いつも一緒に過ごす大親友です。

 特に印象的なのは、猫のバーニーの行動です。バーニーはいつもジョーイのそばにぴったりとくっつき、なぜかじっと耳の動きを見つめています。ジョーイの耳がぴくりと動くと、バーニーの顔も同時に動きます。

 なぜバーニーはこのような行動を取るのでしょうか?

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バーニーの不思議な行動の意味

 実は、バーニーは耳が聞こえません。

 そして、ジョーイはそのことを理解し、サポートする役割を自ら担っているのです。外出や散歩のときには、ジョーイは周囲の音や気配を敏感に察知し、ほかの犬や自転車が近づいてこないかを常に気にかけます。

 ジョーイはまるで補聴器のように、バーニーの“耳”として行動しているのです。

画像はInstagramアカウント「AdventureSnugBugs」から引用
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トラウマを乗り越え、永遠の家を見つけたジョーイ

 ジョーイはもともと、グアテマラで保護された犬でした。

 生後4カ月ほどの頃、路上で保護されたジョーイは、とても怖がりで神経質な子犬でした。現地では、子どもたちが野良犬に石を投げることも多く、ジョーイは特に子どもを強く恐れていたといいます。

 ひどい疥癬(かいせん。皮ふの病気)で毛はほとんどなく、からだはやせ細り、病弱な状態でした。それでも、現地の保護団体による献身的なケアのおかげで、ジョーイは少しずつ健康を取り戻しました。

 回復したジョーイは、アメリカのサンフランシスコ湾岸地域へと移送されました。そこで出会ったウェンディさんのおかげで、ジョーイはついに永遠の家を見つけたのです。

 「ひとめ見た瞬間、ジョーイに心を奪われ、『この子だ』と感じた」と語るウェンディさん。いまではすっかり甘えん坊になったジョーイを、とても大切にしています。

画像はInstagramアカウント「AdventureSnugBugs」から引用
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バーニーとの出会いがジョーイをさらに幸せに

 ウェンディさんによると、特にバーニーと一緒にいる時、ジョーイはより一層、安心した表情を見せるそうです。

 バーニーはサンフランシスコ動物保護管理センターから迎えられた猫でした。ウェンディさんは、それまで猫を飼ったことがありませんでした。

 ところが、ジョーイを連れて面会に行ったところ、2匹はすぐに意気投合。出会ったその日から、両者の間には自然と絆が生まれました。

 バーニーの耳が聞こえないことにウェンディさんが気づいたのは、彼女を迎えてから、およそ3カ月後のことでした。

 しかし、ジョーイは最初からバーニーの耳が聞こえないことを理解していたかのように、行動していました。外ではいっそう周囲を警戒し、バーニーを守る姿勢を見せます。

 そんな“守護者”のようなジョーイの姿を見て、ウェンディさんは2匹の強い絆を感じずにはいられなかったといいます。

画像はInstagramアカウント「AdventureSnugBugs」から引用
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2匹の間に流れる、穏やかでやさしい時間

 ジョーイがお姉さんで、バーニーが妹。どんなときも、ジョーイはバーニーを守ろうとします。一方で、バーニーはジョーイの心を癒やし、こころを支える存在。2匹は互いに支え合い、かけがえのない存在として認め合っています。

 以前は、もっと元気に走り回って遊んでいた2匹。いまでは、家の中で一緒にゴロゴロしながら、静かな時間を過ごすのが好きなようです。無理をせず、寄り添うことを選んだ関係。それが、いまの2匹にはちょうどいいのでしょう。

 ジョーイが心を開くまでには、何年もの時間がかかりました。いまは自信に満ち、誰に対しても怯えることはありません。保護された当時の姿からは、想像もできないほどの変化だそうです。

「保護犬は、たとえ虐待や放棄を経験しても、回復する力を持っていると思います」。

 このように語るウェンディさん。ジョーイは、その順応性と強さを多くの人に証明してくれているようです。

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支え合うことで生まれる、かけがえのない絆

 この2匹のふれあう姿を収めた動画がSNSに投稿されると、たくさんコメントが寄せられました。

「異種であっても、本当に信頼し合っているのが伝わる」
「ジョーイはバーニーの介助犬、バーニーはジョーイの心を支える猫だね」
「動物にも運命の出会いがあるんだと思った」
「辛い過去を乗り越えて幸せになってくれてうれしい」
「心がほっこりした」
「2匹とも元気で長生きしてほしい」

 耳が聞こえない猫と、心に傷を抱えていた保護犬。出会うべくして出会った2匹は、互いの足りない部分を自然に補い合っています。

 ジョーイとバーニーの姿は、支え合うことの尊さ、動物たちが持つ深い思いやりを、私たち人間に教えてくれているのではないでしょうか。

参照