五輪柔道金メダリストで日本オリンピック委員会(JOC)前会長・山下泰裕さんが12月18日、頸髄損傷の大ケガによる長期療養を終えて記者会見を行いました。
温泉施設で大ケガ
山下さんは2023年10月、家族で出かけた箱根の温泉施設で、露天風呂から上がる際に意識を失い崖下に落下。頸髄損傷の大ケガを負い、特任教授を務める母校・東海大学の医学部付属病院で手術を受けた後、約2年間のリハビリに努め、2025年9月に退院しています。
会見には車いすで登場し、事故発生当時の状況を振り返った山下さん。体の状態については、「首から上は達者ですけども、上半身、下半身ともに麻痺している状況。左手は少し動くんですけど、手首から先は麻痺してる」と実際に左手を動かしながら説明を行いました。
教授として仕事復帰
11月13日に社会復帰し、月末からは同大学で「柔道論」の授業を週1回(全4回)担当したとのこと。「先週の授業では、途中で2回給水して、2回鼻水を拭いてもらって」とサポートを受けながら授業を行ったことを明かしました。
人前に立つ理由
報道陣の質疑に入る前には、「肺活量は3分の1くらいに縮小していますので、少し息切れして、聞きにくいのはご了解いただきたい」と気遣いを見せた山下さん。長い入院生活の中で多くのことを考えたそうで、「命がなくなる、その一歩手前で生き残った、そこになんの意味があるのか。生かされているんだと。こういう気持ちが強くあります」と深い自問自答を繰り返したといいます。
人前に立つ決断をした背景についても、「強かった柔道家だとかじゃなく、ありのままを見てもらって、少しでもそういう人に対して理解してもらう」と意義を説いた山下さん。「昔だったら当然『恥ずかしい。そういう姿を人前にさらけ出したくない』と考えるほうが普通かもしれないですけど、私の中ではそれ以上に『生かされているんだ』と、果たすべきことは何なのか。そういった思いが、この行動になっている」と人生を見つめ直した末の考えを語りました。
授業に取り組む姿勢も同様で、「障害者というものに対して、より多くの理解を広げていくという意味からも、ありのままの自分をさらけ出してやっていくのがいいのかなと、そんな思いで授業に臨みました」と思いを言葉にしています。
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