ねとらぼ
2026/01/07 20:15(公開)

「この10年で最も重要な成果の一つ」 “恒星を持たない”土星サイズの「放浪惑星」発見 “理論上の天体”の存在が実証される【海外】

 果てしなく広がる宇宙は、何世紀にもわたって人類を魅了してきました。そんな宇宙研究の歴史に、新たな一歩を刻む発見が報告されています。

 天文学者たちは、地球から約1万光年離れた場所で、土星ほどの大きさを持つ「自由浮遊型惑星」を発見。その質量を史上初めて測定することに成功しました。この研究成果は2026年1月の科学誌『Science』に掲載されています。

 この発見について、ポーランド・ワルシャワ大学天文台のアンジェイ・ウダルスキ教授は「1990年代に初めて詳細に記録された太陽系外惑星の発見に匹敵する、この10年で最も重要な成果の一つだ」と評価しました。理論上の存在に過ぎなかった天体が、ついに“実在する世界”として確認された瞬間です。

放浪惑星
画像はInstagramアカウント「astronomia_uw」からの引用
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ついに実証された、恒星に属さない惑星

 今回確認されたのは、「自由浮遊惑星」あるいは「放浪惑星」と呼ばれる天体。通常、惑星は恒星の周囲を回る存在ですが、この惑星はどの恒星にも属さず、銀河の中を単独で漂っていると考えられています。

 この発見を支えたのが、ポーランド・ワルシャワ大学天文台が主導するOGLE(オーグル)全天サーベイと、欧州宇宙機関のガイア衛星による観測データでした。

 OGLEとは、Optical Gravitational Lensing Experiment(光学重力レンズ実験)の略称。夜空の同じ領域を何年にもわたって観測し続け、星の明るさが一瞬だけ変化する現象から、目に見えない天体の存在を探る大規模な天体観測プロジェクトとして知られています。

 今回見つかった惑星は、銀河系中心方向に約9950光年離れた位置にあり、質量は地球のおよそ70倍。大きさは土星とほぼ同程度と推定されています。

 恒星を持たない惑星の存在自体は以前から示唆されてきました。しかし、距離と質量の両方が明確になった例はありませんでした。その意味で、今回の発見は大きな転換点といえます。

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「空白地帯」に現れた、極めて珍しい惑星

 今回の発見が特に注目される理由の一つが、その大きさと質量です。これまでに見つかってきた自由浮遊惑星の多くは、木星よりはるかに重いか、あるいは海王星より軽いものばかりでした。

 その結果、この中間サイズの天体は非常に少なく、「アインシュタインの砂漠」と呼ばれる空白領域が存在すると考えられてきました。

 比較的軽い惑星は、形成初期に惑星系の外へ弾き出されやすく、一方で非常に重い天体は、恒星のように単独で形成される可能性があります。こうした理由から、中間的な質量を持つ放浪惑星は見つかりにくいとされてきたのです。

 今回確認された惑星は、質量が木星のおよそ5分の1。まさにこの「砂漠」に位置する、極めて珍しい存在でした。

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技術と偶然が重なって測れた「重さ」

 自由浮遊惑星は自ら光を放たないため、直接観測するのは容易ではありません。そこで活躍したのが「重力マイクロレンズ法」です。

 惑星が遠くの恒星の前を通過すると、その重力によって恒星の光が曲げられ、一時的に明るく見えます。この現象を手がかりに、姿の見えない天体を捉える手法です。

 これまでも、この方法で候補天体はいくつか見つかってきました。ただ、距離が分からず、正体を断定できないケースがほとんどだったのです。それでは、なぜ今回のケースは違ったのでしょうか?

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 今回は、地上望遠鏡で現象が観測されたタイミングで、ガイア衛星が偶然にも同じ方向を向いていました。この“幸運な重なり”によって距離が特定でき、光の歪みが続いた時間から質量の算出が可能になりました。

 質量は、その天体が本当に惑星なのか、それとも褐色矮星のような別の存在なのかを見極める重要な指標です。今回の観測によって、この天体が正真正銘の自由浮遊型惑星であることが、初めて技術的に証明されました。

宇宙
画像はPixabay「Pexels」からの引用

いまだ知られていない世界があふれている宇宙

 研究者たちは、こうした自由浮遊惑星が天の川銀河に数多く存在している可能性を指摘しています。理論上は、恒星の数を上回るかもしれない──そんな見方さえ出てきました。

 惑星が放浪する理由も、一つではありません。

 誕生直後、惑星同士の激しい重力作用によって弾き出される場合もあれば、近くを通過した別の恒星に影響され、宇宙空間へ放り出されることもあります。さらに、恒星を生み出すガスと塵の雲から、最初から単独で誕生する惑星が存在する可能性も考えられています。

 宇宙には、まだ知られていない世界があふれている──今回の発見は、その事実をあらためて実感させる出来事と言えるでしょう。

参照

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