ねとらぼ

「忙しさのかたまり」エリーのアトリエの面白さとは

 「エリーのアトリエ」は、1998年にPlayStationで発売された、「アトリエ」シリーズの2作目です。「マリーのアトリエ」の直接の続編になっていて、マリーを含め、前作で出てきたキャラがたくさん再登場します。

 現在のアトリエから見て、エリーのアトリエの最大の特徴と言っていいのは、「RPG的な要素が非常に薄くて、かつシミュレーションパートがとても忙しかった」ことでしょう。

 「エリーのアトリエ」は、錬金術師見習いのエリーが、アカデミーへの補欠合格という底辺の状態から始まって、あこがれの錬金術師であるマリーを目指してがんばるゲームです。

ゲーム画面より

 普段の生活でエリーができることは、大きく言うと「採取」と「調合」の2種類のみであって、後のシリーズで言うフィールド上の探索とか、ハクスラ要素とか、お店経営といった要素はほとんどありません。採取の途中や行程で戦闘が発生することはあるのですが、採取も調合も基本的には一枚絵で結果だけが表示されるので、ほぼ純粋な錬金術シミュレーションゲームに近いといっていいでしょう。

  • 採取地の噂を聞いて情報を集め、採取地に行く
  • 採取で色んな素材を集める(ここでは戦闘も発生する)
  • 参考書を買って、アイテムのレシピを集める
  • 集めた素材から色んなアイテムを錬金する
  • 酒場や冒険者からさまざまな依頼を受けて、期限内に達成する
  • 依頼を達成することで人気度や知名度を上げて、お金も集めて、さまざまなイベントを達成する
  • 年に1回発生する、アカデミーの「コンテスト」で好成績を目指す

 上記が「エリーのアトリエ」の80%くらいを占める要素です。要は、「色んな素材を集めて色んなものを作っていると、自然と色んなイベントが進むよ!」ということで、ざっくりとは「マリーのアトリエ」と共通部分が多いです。

 まず一つ言えることとして、エリーのアトリエのスケジュールって、「分かってくれば分かってくるほど、どんどんやることが増えて、特に序盤~中盤のスケジュールを詰め詰めにできる」んですよ。

 エリーに当初与えられた期間は4年間。ぼーっとしているだけの時間としてはかなり長いんですが、酒場や冒険者から受けた依頼にせよ、コンテストにせよ、基本的には「いつまでに何を作らなくてはいけない」という期限が決まっていて、ちゃんと錬金術師をやろうとすると、そこから逆算して行動を決めないといけない。

 例えば、「アルテナの水」を作って納品するためには、蒸留水とほうれんそう、中和剤(緑)が必要。蒸留水はヘーベル湖の水から作れるから、へーベル湖に採取しに行かなくてはいけない。採取は敵が出る可能性があるし、往復の時間もかかる。中和剤(緑)の原料は近くの森で取れるから、ザールブルグで依頼探しをするついでに帰りに寄って集めておかないと。期限は2週間しかないけど間に合うかな……とか。

 こういう、ただでさえややこしい「『〇〇のために××と△△』を用意する」というタスクがガンガン発生する上に、それぞれのタスクには時間制限がある。しかも序盤のお金のやりくりは超大変で、実験道具や実験のための本を買うこともままなりません。更に、だんだんとゲームのことが分かってくると、「実は〇月×日くらいまでにこれをやらないとイベントを進められない」という要素もだんだんと見えてきます。

ゲーム画面より
ゲーム画面より
ゲーム画面より

 このゲームのキモの一つ、「妖精さん」。要はエリーの仕事を肩代わりさせられるんですが、妖精さんには種類があり、有能(仕事スピードが速い)な妖精さんは雇用費が高く、一方仕事が遅い妖精さんは雇用費が安いです。妖精さんは7人まで雇えるのですが、毎月の雇用費が払えないと森に帰ってしまいます。一方、仕事をさせていくと妖精さんにも経験がたまり、最終的にはエリー以上の速度で仕事が出来る「虹妖精」になります。

 このゲーム、序盤は本当にお金が足りません。依頼をこなして収入を増やすには人手が必要で、妖精さんを雇いたいのですが、雇用費が払えるか、常にギリギリの状態が続きます。

 そのため、「序盤は安い妖精さんを雇っておいて、採取や調合を繰り返して有能な妖精さんに育てる」一方で、「妖精さんには基本的な素材を作らせておくか、遠くて行きにくい採取地に派遣しておいて、たまってきた素材でエリーが本命の錬金術アイテムを作る」「作ったアイテムで割のいい依頼を解決してお金を稼ぐ」といった、さまざまなタスク管理&育成手法をとることになって、エリー、完全にプロジェクトリーダーと化してます

ゲーム画面より

 「この作業、間に合わせるの無茶だよー!!」というスケジュールを無理やりやりくりして、無事達成できた時の達成感。これこそが、「エリーのアトリエ」を遊ぶ上での最高の瞬間である、と言っていいでしょう。

 この「ヒリつくくらいシビアな忙しさ」というのは、のちにRPG要素が増えれば増えるほど緩和されていった要素でもあり、ある意味「古いアトリエ」でしか味わえない感覚です。で、その中でも最高に「忙しい」、だからこそ「さばけた時に嬉しい」のが「エリーのアトリエ」だ、という話なのです。ミルカッセにロウを70個納品するイベントは、中級プロジェクトリーダーへの登竜門。

 一方、ひたすらカツカツでしかなかったお金も、「稼ぎ方」が分かってくると、どんどん効率的に稼げるようになります。例えば「ニューズ」をたくさん集めておいて、妖精さんにひたすら「クラフト」を作らせて売り払ったりであるとか、「猫目石の源石」と「研磨剤」で「猫目石」を大量生産してクーゲルの高難度依頼で荒稼ぎしたり、であるとか。

 「苦しい状態から脱却して、うまく回るようになった」、いわば「窮屈な状態からの解放」というのはゲームの大きな醍醐味の一つだと思うんですが、そういう瞬間が「エリーのアトリエ」には大量に散りばめられています。

 余談になるんですが、この「妖精さん」を雇うためには「アイテムレベル3のアイテムを作らないといけない」という条件があるんですが、その「アイテムレベル3」のアイテムの中で一番作成が容易なのが「植物用栄養剤」です。これ、普通の人は作成できるようになるまでに数カ月はかかるアイテムなんですが、極めるとたった10日で作れます。まあ、仲間の装備はぎ取ったり、依頼に対してひどいもの納品してお金を稼いだりした上で、低確率の錬金術に挑戦しまくらないといけないんですけど。

 これは、「作業を詰めに詰めることで、どんどんゲームプレイを効率化できる」という「エリーのアトリエ」の面白さの一例でもあります。

 この、「突き詰めればどこまでも突き詰められるスケジュール管理」「スケジュールを達成できた時の解放感と喜び」が、エリーのアトリエの重要な楽しさである、ということは言い切ってしまっていいでしょう。

 1点だけゲームとしての難点をあげるとすれば、「ブレンド調合」の正解に関するヒントがなさ過ぎる点でしょうか? ブレンド調合、本作から加わった要素で、素材の量を微調整して品質や効力を上げていけるのはとても楽しいんですが、どの数値をどう上げればステータスが上がるのか推測できる要素が基本的にないので、知らないと単なる総当たりになってしまっています。ここは後々のシリーズのような解決方法が欲しかったところ。

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