2026年1月25日、「キミとアイドルプリキュア♪」(以降「キミプリ」)が最終回を迎えてしまいました。
キミプリ最終回
キュアアイドルが1年間歌い続けてきた「笑顔のユニゾン」をキーとして、みんなのキラキライトが光り出すシーンには本当に感動しました。みんなの「5年後の姿」もステキでしたよね。
キミプリはプリキュアでは初の「アイドル」をモチーフとした作品でした。
しかし、同作で描かれた「アイドル」は、武道館を目指すのでもなく、人気ランキングを駆け上がるのでもなく、再生回数を競うのでもなく、ただ、目の前にいる「キミ」を救う物語だったのです。
売り上げは絶好調、子どもたちがキュアキッスの取り合いに
まずは売り上げの面から見てみます。
キミプリの売り上げは絶好調でした。
2025年9月公開の「映画キミとアイドルプリキュア♪お待たせ!キミに届けるキラッキライブ!」は興行収入11億5000万円を突破、歴代3位の好成績となりました。
さらにバンダイナムコのトイホビー売り上げの上半期(4~9月)では、昨対150%の49億円という驚異的な売り上げが報告されています。これは“プリキュアシリーズ全体”としての数字なのですが、それでもかなりの好調であったことがうかがえます。
また東映アニメーションの国内版権売り上げの上半期も同様に好調(昨対118.3%)となっていて、ショップ事業やイベント催事が好調だったことが決算短信で報告されています。
それを裏付けるように、今千秋シリーズディレクターは「玩具の売り上げ好調」に言及するコメントをアニメ雑誌に出しています。
今千秋 身もフタもない話ですが、「玩具の売り上げも大好調」と村瀬(亜季)プロデューサーが申しておりまして(笑)、それが物語ってくれているのではないかと!
最初は、去年の(「わんだふるぷりきゅあ!」)の人気を下げちゃったらどうしようかとプレッシャーだったんですけど、今はもう堂々としたもんですよ。でも私のHPは残りわずかです!(笑)
引用:徳間書店 アニメージュ2026年1月号増刊『キミとアイドルプリキュア♪』特別増刊号(P25)
また、「子ども達がキュアキッス役の取り合いになっている」(アニメージュ2026年1月号増刊『キミとアイドルプリキュア♪』特別増刊号 P28 ※以降「特別増刊号」)など、子どもたちの反応もかなり良かったようです。
アイドル活動をメインにしない
キミプリの特徴として「アイドルもの」でありながら、あくまで「プリキュア」が主体であったことが挙げられます。
「応援」や「推し活」といった概念は描かれましたが、現代アイドル活動とは切っても切り離せない「SNSのフォロワー数」「人気ランキング」「動画の再生回数」といった要素はキミプリでは一切描かれませんでした。
アイドルものでありながら、アイドルプリキュアの主戦場は芸能界ではなかったのです。
アイドルプリキュアたちは、アイドルとしては順調で、化粧品のCMや大きな会場でのライブもあっさり決まります。デビューに苦悩することも、人気が伸びずに悩むこともありません。
そういった子どもたちにストレスになるような「アイドルの葛藤」的な重いお話は描かれません。
キミプリで描かれたのは、人と人の関係性を大切する「日常回」でした。
蒼風なな(キュアウインク)のハチャメチャっぷりが視聴者を混乱させた第9話「ななの七不思議!」や、お相撲さん「くりきゅうた」がプリキュアになると言い出す第33話「どすこ~い!アイドルデビュー!?」、咲良うたの妹が名探偵になる第34話「名探偵はもりん!謎のメニューを追うぞな!」などといったとにかく楽しいお話が展開されます。
と思いきや、ファンの間では神回と評判の第14話「お母さんへ~こころからのメッセージ~」、蒼風ななとザックリンの淡い感情の交差を描いた第25話「ひまわり畑でウインクして」などしっとりとした良質なお話も多数用意され、緩急を付けた「日常回」で子どもたちや大人ファンを魅了しました。
妖精メロロンまわりでは少し重いお話もありましたが、それも中盤で解決。途中から見ても理解できるバラエティー豊かな良質なストーリーが展開されたのです。
この「アイドル活動に主体を置かないこと」は、製作者側の当初からの思惑だったようです。
今SDは、企画の当初から「アイドル活動がメインになってしまうのは絶対に避けたい」として「“アイドル頑張るぞ!”みたいな方向にはせず、あくまでプリキュアの日常を守る事に主題を置いた」と語っています。
今:そうですね。ただ、アイドル活動がメインになってしまうのは絶対に避けたいと、最初にお話しさせてもらいました。
アイドルなのでレコーディングしたり握手会をしたりといったことはやってもいい。
でも、「アイドルを頑張るぞ!」みたいな方向にすべて集約してしまわないように。
引用:徳間書店 アニメージュ2026年1月号増刊『キミとアイドルプリキュア♪』特別増刊号(P82)
この製作者側の「ストレスフリーな作品にしたい」「プリキュアらしいプリキュアを作りたい」「全て把握しなくても楽しめるように」(特別増刊号P75)という方針の通り、複雑な設定や重苦しい葛藤などは最小限に抑え、テンポよくギャグが多めの“明るい作風”の「王道のプリキュア」感がある展開にしたことも、キミプリの人気につながっていたようです。
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