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スーパー戦隊が休止する。そんな驚きのニュースに茫然とした、私もその一人である。
幼少期から慣れ親しんできたスーパー戦隊シリーズ。色とりどりの若者たちの群像劇、一年をかけて描かれる蓄積のドラマ、アイデアとハッタリが詰まったロボ戦。思い出を振り返ればきりがない。ついセンチになってしまう。
とはいえ! 一旦の別れといえど、笑顔で送り出すのがファンというもの。この月刊連載「ジゴワットレポート PART ねとらぼ」では、今回から3回にわたり、スーパー戦隊を特集します。題して、【スーパー戦隊ファイナルウェーブ】!
書き手である私の極めて個人的な好みにより(ここ重要)、50年の歴史から3作品をピックアップ。それぞれ、印象的だった回、おすすめしたい回、思わず語りたくなる回を取り上げながら、スーパー戦隊の長い歴史に思いを馳せる。そんな連載となっています。
記念すべき第1回は、最強の集大成&究極の入門編、『海賊戦隊ゴーカイジャー』を特集!

ライター:結騎了

思考をキーボードに零す人。『リアルサウンド映画部』『週刊はてなブログ』『別冊映画秘宝 特撮秘宝』『平成大特撮』etc. Webメディア / 雑誌 / ムック本等に寄稿。
X:@slinky_dog_s11
ブログ:https://www.jigowatt121.com/
『ゴーカイジャー』は、2011年に放送を開始した、シリーズ35作品を祝したアニバーサリー作品。2009年『仮面ライダーディケイド』と同様、「過去のヒーローに変身できるヒーロー」の系譜です。宇宙海賊、お宝探し、不遜で闊達だけど平和を愛するくせ者たち。アニバーサリー作品に持ってくるには「もったいない」と言わしめた、魅力抜群の海賊モチーフ。そんな彼らが、地球で戦ってきた先輩ヒーローからその魂を継承し、第35代スーパー戦隊として胸を張るまでのドラマが描かれました。
そんな『ゴーカイジャー』から選出するのは、こちらの3つのエピソードです。
第1話「宇宙海賊現る」(監督:中澤祥次郎、脚本:荒川稔久)
やはり、何においても初回、第1話です。録画をどれほど観返しただろうか……。
まず冒頭の34のスーパー戦隊がそろったレジェンド大戦。「えっ! ブラックコンドルがいる!?」という衝撃はさておき、刀を背に回して攻撃を受け止めるシンケンレッド、カクレンジャーとハリケンジャーの忍者共同戦線など、目が忙しくてしょうがない。撮影においても圧倒的物量を見せつける、東映のプライドと覚悟を感じるシークエンスでした。後にこれが映画で補完されるなんてそんな贅沢が許されるんですか!
舞台は移り、宇宙海賊の登場。ゴーカイガレオンのド派手な活躍を経て、ゴーカイジャーの面々のキャラクター紹介へ。ひとりひとり書いていくときりがないのですが、さすがの荒川脚本、細かなやり取りや台詞の数々でキャラクターを確立させていきます。同じ文法は敵組織ザンギャックにも適用。短いシーンの中で、それぞれの登場人物がどういう思惑と力関係にあるのか、無駄なく綺麗に紡がれていきます。この1話、とにかく映像のインパクトに目を奪われますが、シナリオの完成度、散りばめられた技が素晴らしい!
そして待ってました、変身シーン。宇宙帝国に歯向かうリスクを冒してでも、「気に入らねぇもんはぶっ潰す! それが海賊ってもんだろ」でばっちりスタンスを示してみせる。雄々しい劇伴、豪快さと個性をミックスさせた戦闘スタイル、互いの武器を交換する魅せ方。さらに、ファンの間で語り継がれる名キャラ、スーパー戦隊にやたら詳しい保育士さんたちの登場! 「まさか、35番目のスーパー戦隊?」「地球で一番最初に結成されたスーパー戦隊……」「秘密戦隊ゴレンジャーだよね!」。いやぁ、この保育園ではさぞ高密度な英才教育が行われていることでしょう。
ゴーカイチェンジ、つまり過去のスーパー戦隊の姿に変わってみせること。しかも、チェンジすると該当の戦隊の技や能力を行使できる設定を、ゴレンジャーハリケーンでしっかり「説明」する。チェンジしても立ち居振る舞いや剣さばきは元の人格に準拠し、手持ちの武器も連動して変身する。といった、丁寧な「説明」の数々。アニバーサリーな特例だからこそ「なんでもあり」にはしない、そういった線引きが垣間見えるのも好感度が高い! なお、この第1話では元のゴーカイジャーの色編成にあわせてチェンジし、続く2話ではそうじゃないパターンも可能という「説明」を行う、この2段階の配慮もポイントだ。
びっくりするほど印象に残る強烈な映像の数々、反面、テクニック・丁寧さ・配慮が行き届いた完成度の高いシナリオ。このマッチングを初回に見せられ、「うわぁ! この1年すごいことになるぞ!」と感動した、あの2011年が今でもありありと思い出されます。
第26話「シュシュッとTHE SPECIAL」(監督:加藤弘之、脚本:荒川稔久)
ゴーカイジャーの数々のレジェンド回。つまり、過去の戦隊俳優が登場し力を継承してくれるイベントを指しますが、この『忍風戦隊ハリケンジャー』は例外的な特別版。本来なら変身する力をレンジャーキーとして失っている先輩たちが、まさかの本格参戦。恒例のVSシリーズよろしく、ゴーカイジャーと並んで変身し大立ち回りを演じます。
この回、シナリオの面白さもさることながら、スーパー戦隊シリーズの文脈として重要な契機にあたります。このレジェンド回に出演したハリケンジャーのオリジナルキャストの面々は、その再熱を受けて自ら『ハリケンジャー』の続編を企画し、東映へ持ち込み実現させるという快挙を成し遂げるのです。2013年の『忍風戦隊ハリケンジャー 10 YEARS AFTER』を皮切りに、10周年企画はいつしか恒例化。『デカレンジャー』『ゴーオンジャー』などの続編を生み出し、2021年には『テン・ゴーカイジャー』に「一巡」。東映特撮史における新たなラインを生み出した、その起点こそが他でもない第26話なのです。
なにがなんでも語らせてほしいのは、後半のアクションシーン。サタラクラJr.に、ハリケンレッドとゴーカイレッドの怒涛の攻撃が炸裂する。「いまだっ!」の掛け声と共に番組主題歌が高らかに鳴り響き、空の忍者ハリケンレッドが大胆なワイヤーアクションで空中を滑り軽やかに斬撃! そして、我を通し猛進するゴーカイレッドが障害物をものともせず並走しこちらも斬撃!
この一連のシーン、あまりにアドレナリンが滾る……。『ゴーカイジャー』作中でも指折り、間違いなしです。
第31話「衝撃!!秘密作戦」(監督:竹本昇、脚本:下山健人)
なにを隠そう(隠していない)、『超力戦隊オーレンジャー』世代である。同作の第1話、単身大活躍を見せるオーレッドの雄姿に心奪われ、早幾年。そんなオーレンジャーのレジェンド回に相当する第31話、いやね、泣きましたよ。放送当時に。
『ゴーカイジャー』のレジェンド回、その戦隊にチェンジする際に該当作の主題歌(インストゥルメンタル)が流れるのが通例でしたが、なんとこの回、耳に届いたのはまさかの『虹色クリスタルスカイ』! 主題歌『オーレ!オーレンジャー』ではなく、挿入歌であるこっち!?
イントロの「じゃん、じゃん、じゃん、どぅ!」が流れたその瞬間、駆け巡る脳内物質っ…! β-エンドルフィン!チロシン!エンケファリン!バリン!リジン!ロイシン!イソロイシン……!
というのも、この『虹色クリスタルスカイ』。主題歌の候補として制作されるも採択に至らなかったという逸話が残る、ファンには思い入れの深い一曲なのです。2025年に開催されたキャスト勢ぞろいのイベント「放送開始30周年記念!オレたち、永遠のオーレンジャー!」でも、ファンと共に会場で熱唱されたほど。ぐんぐんと前に進行するビート、清くも壮絶さや殺伐さをはらんだメロディライン、渇いたトランペットの音色が胸を締めつける……。聴くだけで心が一気に1995年に帰れる、魂のナンバー。
これを今度こそ採択してくれた、スタッフの皆さんに心からの感謝を。『オーレンジャー』世代の多くが、テレビの前で思わず立ち上がり、歓声を上げたことでしょう。他にも、本家本元と所作が全く異なるガラの悪いオーレッド(ゴーカイレッド)が大好きで、スーツアクター・福沢博文の名演技も見所です。「どけ!」のくだり、何度観たことか。
以上、『海賊戦隊ゴーカイジャー』から、私が選ぶ3つのエピソードでした。はい、はい、聞こえていますよ。「なんであの回が入っていないんだ!」というご意見の数々が。分かります。この3つを選出するために、私が何日を要したことか。それほどまでに、『ゴーカイジャー』は見所をぎっちぎちに詰め込んだ作品だった、ということです。ぜひ貴方の「この回!」を、下のコメント欄やSNSで語ってください。
スーパー戦隊、50年。その35に位置する『ゴーカイジャー』は、過去の文脈を整理・再定義し、そして未来へ接続した、とても意義深い一作でした。多くのファンがばらばらに持つ戦隊のイメージ、それらを巧妙に織り交ぜ、整合してみせる。作り手のフェティッシュすら感じるその完成度は多くの視聴者の心を魅了し、2025年に実施された「発表!全スーパー戦隊大投票」(NHK BS)でも見事1位を獲得。最も人気のある戦隊、とも言えるのです。
放送当時のあの熱気、あの情熱。一生忘れません。
それでは、第2回の【スーパー戦隊ファイナルウェーブ】にて、またお会いしましょう。アデュ~!
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