SNSでいいねが3件ついた――それだけの出来事がこれほど多くの人の心を動かすとは、誰が想像したでしょうか。

 インドで暮らす高齢の夫婦の日常を切り取った1本の動画が、Instagramアカウント「amma_at_65」に投稿されたのは、ごく自然な流れでした。撮影したのは孫娘。しかし、家族の記録として共有されたその動画は、思いがけず世代や国境を越えて広がりました。

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きっかけは、インスタの「いいね」を初めて意識した瞬間

 動画に映っているのは、インド・デリー在住の高齢夫婦。男性はスマートフォンの画面を見つめ、少し誇らしげにこう言います。

「3人もいいねしてくれたよ」

 その言葉に、隣に立つ女性が静かにほほ笑みます。そこには大げさなリアクションも、盛り上げる演出もありません。ただ、目の前の小さな出来事を夫婦で分かち合う様子が映し出されていました。

 投稿には、「3件のいいねでこんなに喜んでいるのに、もしバズったらどうなるんだろう?」という孫娘のキャプションが添えられています。

 SNSでは再生数や評価が当たり前のように語られますが、この夫婦にとっては「誰かが見てくれた」こと自体が特別だったのでしょう。

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10万回再生を知ったときのリアクション

 この動画はやがて、大きな節目を迎えます。再生回数が10万回を突破したのです。

 2026年1月24日に投稿された新たな動画では、その事実に気づいた男性が、再びスマートフォンを手に、嬉しそうに孫娘へ語りかけます。

「見てごらん、10万回を超えたんだ」

 キャプションには「皆さんのお子さんたちに、たくさんの愛と祝福を」と添えられていました。数字を誇るのではなく、視聴者に感謝を向ける姿勢が、この家族の価値観を物語っています。

 コメント欄には、「見ているだけで気持ちがやさしくなる」「こんなふうに歳を重ねたい」といった声が相次ぎました。

 その後も動画は広がり続け、再生回数は記事執筆時点で26万回を超え、「いいね」は2万5000件以上に達しています。

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SNS世代ギャップが生んだ、新しい共感

 別の投稿では、女性が自宅でプージャ(祈り)を行い、「オーム・ジャイ・ジャグディシュ・ハレ」と唱える様子も紹介されています。信仰、生活、家族……自身の日常を飾らずに映した映像にも反響が集まっており、作り込まれたコンテンツとは異なる安心感を与えるのかもしれません。

 視聴者が惹かれたのは、高齢であることでも、珍しさでもなく、“誰かの日常をそっとのぞき見ているような感覚”。あるいはそれこそが、多くの人の心に残った理由だったのでしょうか。

 こちらの夫婦の姿は、SNSの可能性を別の角度から示していると言えるかもしれません。若い世代にとっては新鮮で、上の世代にとっては親しみ深い。その中間にいる層には、どこか懐かしさを感じさせます。

 そして忘れてはならないのが、撮影し、投稿を続けている孫娘の存在です。家族の何気ない瞬間を残したいという思いが、結果的に共感を呼び、多くの人とつながるきっかけになりました。

「幸せとは、人生のささやかな喜びを味わうこと」

 この夫婦のInstagramは、そんな言葉を改めて思い出させてくれます。今日もどこかで、画面の向こうの誰かが、この動画を見て思わず笑顔になっているのかもしれません。