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ねとらぼ
2026/02/27 08:15(公開)

細菌より小さい!? 世界最小の「QRコード」誕生 電子顕微鏡でしか読めない“超極小”がギネス認定【海外】

 私たちが日常的にスマホで読み取っているQRコード。その常識をくつがえす、とんでもなく小さいQRコードが誕生しました。面積はわずか1.977平方マイクロメートル。多くの細菌よりも小さく、肉眼どころか光学顕微鏡でも見えません。読み取りに必要なのは、なんと電子顕微鏡です。

 この世界最小QRコードが、ギネス世界記録に認定されました。

ギネス記録に認定された世界最小のQRコード
画像は「TU Wien」からの引用
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電子顕微鏡でしか見えない、驚異のサイズ

 記録を打ち立てたのは、オーストリアのウィーン工科大学(TU Wien)の研究チームと、データ保存技術企業のCerabyte(セラバイト)社です。

 作られたQRコードの面積は、1.977平方マイクロメートル。これは、多くの細菌よりも小さなサイズです。個々の画素(ピクセル)はわずか49ナノメートルで、可視光の波長の約10分の1。光学顕微鏡ではまったく識別できません。

 研究チームは「集束イオンビーム」という技術を使い、窒化(ちっか)クロムの薄膜を極めて精密に加工しました。窒化クロムは、金属のクロムと窒素(ちっそ)からできた非常に硬い素材で、摩耗や熱、サビに強いのが特徴です。

 こうした高い耐久性を持つ材料だからこそ、微細な構造でも安定して情報を保つことができます。完成したQRコードは、ウィーン大学の走査型電子顕微鏡によって独立に検証され、実際に読み取れることも確認されました。

 ギネス世界記録に正式認定されたのは、2025年12月3日。なお今回のQRコードは、従来記録のわずか37%のサイズだといいます。

ギネス記録に認定された世界最小のQRコード
画像は「TU Wien」からの引用
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小さいだけじゃない。“超安定”が本当のすごさ

 「マイクロサイズの構造自体は、今や珍しくありません」と語るのは、TU Wienのポール・マイホーファー教授。しかし本当に難しいのは、“安定して読み取れる状態を保つこと”だといいます。

 原子レベルの構造は時間とともに拡散し、情報が失われる可能性があります。そこで鍵となったのが“薄膜セラミック材料”です。

 この素材は高性能切削工具のコーティングなどにも使われるほど耐久性が高く、過酷な環境でも安定性を維持します。研究チームはこの特性をデータ保存に応用。微細でありながら、繰り返し読み取れるQRコードの作成に成功しました。

 つまり、今回の快挙は小さいだけではありません。小さくて、しかも長持ちする──そこが最大のポイントなのです。

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A4に2テラバイト保存も? データ保存の未来

 この技術のポテンシャルは、QRコードのサイズ記録にとどまりません。

 理論上、A4用紙1枚分の面積に2テラバイト以上のデータを保存できるといいます。しかもセラミック媒体は磁気ディスクや電子メモリと異なり、エネルギー供給や冷却を必要としません。

 現在のデータセンターは膨大な電力を消費し、定期的なデータ移行も不可欠です。一方、セラミックへの記録は、石に刻まれた古代の碑文のように、長期間安定して保存できる可能性があります。

 研究チームは今後、書き込み速度の向上や量産技術の確立を目指しているとのこと。将来的には、超高密度かつ長期保存可能なデータストレージとして実用化されるかもしれません。

 電子顕微鏡でしか読めない、細菌よりも小さなQRコード。それは単なる“世界最小”の話題ではなく、データ保存の未来を示す一歩でもあります。

 情報があふれている時代だからこそ、「どう残すか」が問われています。今回のギネス記録は、その答えのひとつになりそうです。

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