ねとらぼ
2026/03/08 09:15(公開)

【ジゴワットレポート PARTねとらぼ】君はどっちを応援した? 感動をありがチュー『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』! 異色にして王道な名作を振゛り゛返゛る゛ぞ゛!【特集:スーパー戦隊ファイナルウェーブ第2回(全3回)】

 スーパー戦隊が(一旦の)幕引きを迎え、新番組『超宇宙刑事ギャバン インフィニティ』が絶賛放送中のギャバいこの頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 前回に引き続き、【スーパー戦隊ファイナルウェーブ】をお送りします。書き手である私の極めて個人的な好みにより(ここ重要)、50年の歴史から3作品をピックアップ。それぞれ、印象的だった回、おすすめしたい回、思わず語りたくなる回を取り上げながら、スーパー戦隊の長い歴史に思いを馳せる。そんな連載企画です。

 第2回で取り上げるのは、2026年3月現在「東映特撮YouTube Official」で配信中のシリーズ第42作、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(以下『ルパパト』)!

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ライター:結騎了

思考をキーボードに零す人。『リアルサウンド映画部』『週刊はてなブログ』『別冊映画秘宝 特撮秘宝』『平成大特撮』etc. Webメディア / 雑誌 / ムック本等に寄稿。
X:@slinky_dog_s11
ブログ:https://www.jigowatt121.com/


 同作は、タイトル通り2つの戦隊が入り乱れるシリーズ異色作。失ったものを取り戻すために戦うルパンレンジャーと、世界の平和を守るために戦うパトレンジャー。さらに、異世界の犯罪者集団・ギャングラーとの三つ巴の戦いを通し、濃密なドラマが展開されます。「いつも現場で対立するあの快盗どもが、馴染みの洋食屋の店員たちだったなんて……」。物語は “正体バレ” の爆弾をじっくりことこと温めながら、多くの視聴者を魅了しました。放送当時に発売されたBlu-rayが史上最高の初回出荷数を記録するなど、ファンの人気も高い一作です。

 そんな『ルパパト』から選出するのは、こちらの3つのエピソード!

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第27話「言いなりダンシング」(監督:加藤弘之、脚本:大和屋暁)

 クールで鮮やかなルパンレンジャーの、クールofクールを担うルパンブルー・宵町透真。

 彼は敵怪人の能力に操られ、気づいたら妙な古武術の道場にその身を置いていた。「なぜ俺はこんな格好を……」。道着に戸惑う彼の前に現れたのは、なんとパトレン2号こと陽川咲也。短期間で師範代にのぼりつめたという咲也は、先輩風をびゅうびゅう吹かせながら透真に稽古をつける。しかし、音楽にあわせ始まったその踊りは……「どう見てもエアロビクスだ!」

 ほとんど縦筋のドラマに影響しない、いわゆる「ギャグ回」にあたる第27話。しかしこの回、『ルパパト』に限らずスーパー戦隊の魅力がつまっている、そう感じるのは私だけでしょうか。

 戦隊の大いなる特徴、それはコメディの性格を持ち合わせていること。熱血で真面目なレッドにも実は苦手なものが、性格が真反対なキャラクター同士が敵の能力で入れ替わってしまい、田舎から親が上京してくるため戦士であることがバレないように……。ギャップ、パターン、テンドン。登場人物の掛け合いをリアクションで魅せ、戦闘との緊張感のギャップが笑いにつながる。スーパー戦隊の歴史、それは実は、大いなる「コメディの歴史」とも言えるのです。この朗らかさや面白おかしさ、他の特撮シリーズとはまた違う味なのですよ。

 口数少なく立ち居振る舞いがジェントルな透真が、レオタードを着て真顔で真剣にエアロビクスを踊る。戦隊伝統の「クールなブルーいじり」の文脈として、歴代指折りに馬鹿馬鹿しいシーンに仕上がっています(褒めてます)。後半、敵の洗脳に怒り心頭のルパンブルーがいつもより殺意高めにアクションに臨むのもまた面白い。パトレン2号も負けじと、ロボットに乗り込み巨大イマジナリーエアロビクスを披露!(まるで 意☆味☆不☆明 な文字列)

 クリスマスにシャケを食ったり、なぜかキツツキが飛んできたりと、人気の高い他のギャグ回とも迷いましたが……。私が推したいのはやはり、戦隊コメディ回の王道を往く「言いなりダンシング」ですね。正体バレを据えた縦軸も大切ですが、キャラ同士の横軸も大変魅力的な『ルパパト』、その真骨頂です。

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第30話「ふたりは旅行中」(監督:杉原輝昭、脚本:香村純子)

 『ルパパト』の物語にサビがあるとすれば、それは間違いなくダブルレッドの関係性。飄々としながらも影のあるズルい青年、夜野魁利(ルパンレッド)。熱血ド根性ながら柔軟さも持ち合わせた現代的刑事の男、朝加圭一郎(パトレン1号)。この2人の掛け合い、距離感、相互補完、そして正体バレに至るドラマこそが、見応えばっちり脂ぷるんぷるんであります。

 極秘任務のために温泉街へ赴く圭一郎と、それを怪しみつけてきた魁利は、期せずして共に観光することに……というのが第30話のあらすじ。後半のレッド同士のアクション、ぎりぎりの局面での警察官の判断、合成を意欲的に用いた新鮮な絵のロボ戦など、見所が多い。だが、特筆すべきはやはり髪飾りのくだり。

 髪飾りを無くしてしまった迷子の女の子と出会った2人。「昨日買ってもらったばかりなのに」と涙を流す女の子に、同じ品を購入してプレゼントしようとする魁利。しかしそこに現れたのは、汗をかき、走り回り、無くした本物の髪飾りを「君の宝物を見つけたぞ!」と全力疾走で届ける圭一郎だった。その姿に、魁利は在りし日の兄の姿を重ね……。

 これ、非常に印象的なエピソードで。昨日買ってもらったばかり、つまり同じ温泉街で売っていると見込んで露店をまわり、効率よく代替品を手に入れる魁利。一方で、地面に膝をつきながら懸命に髪飾りを探し、無くしたそれこそが替えの効かない宝物だと信じている圭一郎。2人とも決して間違っていない。女の子のためにしたことは同じでも、アプローチの差がどこまでも残酷に2人を分かつ。これがそのまま、快盗という非合法な手段を選んだルパンレンジャーと、市民の笑顔のために正道を歩むパトレンジャーの、見事なまでの対比にも繋がってくるのです。香村脚本、なんておそろしい子……!

 スーパー戦隊とは、これまた「若者の群像劇の歴史」とも言えるでしょう。シリーズが昭和から平成に移り変わり、軍隊や組織に属するのではなく、それぞれが異なる人生を持つ多様なメンバー構成も増えていきました。生きてきた価値観、将来への想い、どこにこだわりなにを捨てるか。考え方が違うからこそ、時にぶつかり、すれ違い、結束していく。まだ演技経験の少ない若い役者が多いからだろうか、剥き出しの感情のような、純な人間味が交錯する。スーパー戦隊に、そんな一幕を求めていた人も少なくないと思われます。

 たかが髪飾り、されど髪飾り。『ルパパト』のサビは、実に鋭利に心をえぐるのです。

第42話「決戦の時」(監督:杉原輝昭、脚本:香村純子)

 紆余曲折を経て、いつも対立し、時に共闘しながらも、遂にギャングラーの幹部であるデストラ・マッジョと対峙するダブル戦隊。

 この第42話、本当に……本当に、思い入れがあります。あまりに好きすぎで、放送当時はこの回の特定のシーンを語りたいがためにブログをしたためました。TTFC(東映特撮ファンクラブ)の動画は常にスマホにダウンロードされており、気分が落ち込んだ時、テンションを上げたい時、涙を流したい時などにいつも再生してしまう。そんな、我が魂に刻まれた第42話です。私の棺桶には第42話の録画データを入れてくださいよろしくお願いします。

 強敵を前に地面に這いつくばるしかない面々。「あいつは絶対諦めない!」「絶対あいつは立ち上がる!」。ダブルレッドが互いを睨みながら、ルパンレッドなら、パトレン1号なら、この絶体絶命のピンチをどう打破するか思考を巡らせる。約1年、出し抜き出し抜かれ、激しく信条をぶつけあった相手。決して肩を貸してはいけない、手を取ることすら許されない相手だからこそ、思考を辿ることができる。決意の後、快盗が体をはって囮となり、警察がその隙に敵のコレクション(能力発動の要)を奪取する。言葉を交わさずに役割を逆転させる、ルパンレッドとパトレン1号の絶対不和なコンビネーションが炸裂するのです。

「その体で無茶な真似を……。俺が動かなければ、今頃お前はバラバラになっていたぞ!」
「そん時はそん時だ。でも、あんたなら意地でも金庫あけると思った。でしょ?」
「……くっ、ズルい男だ」
「ふっ、それが俺の売りなんで」

 おいおいおいおいおいおいおいおい!!!!!!おいおいおいおい!!!ふぉ~~~~~~~~~!!!!!!!

 スーパー戦隊は、あるいは「対立の歴史」。正義と悪が拳を交え、絶対的に分かり合えなかったり、時には呉越同舟したり。そして、1996年『超力戦隊オーレンジャー オーレVSカクレンジャー』を皮切りに、スーパー戦隊同士が戦い、やがて結束する物語は、シリーズのお約束となりました。2つの戦隊が、対立しながらも互いの価値観を認め合い、共に巨悪に立ち向かう。あくまで番外編として展開されてきた、通称「VSシリーズ」。それを本編内で1年をかけて展開する、これも『ルパパト』の大きな個性です。

 以上、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』からのセレクションでした。いかがだったでしょうか。ええ、もちろん、今回も聞こえております。「どうしてあの回が入っていないんだ!」。分かります。よぉく、分かります。今回も「印象に残っているエピソード」の投票企画が設けられています。ページ下部より、ふるってご参加ください。あるいはぜひSNSで、あなたの好きな『ルパパト』、その熱量や悲鳴をお聞かせください!

 ルパンレンジャーのテーマ曲とパトレンジャーのテーマ曲、その2つが「対位法」という作曲技法で調和した番組主題歌に、大いに衝撃を受けた2018年。戦隊ならではのコメディ、戦隊ならではの群像劇、そして、戦隊だからこその対立。異色作に見せかけてシリーズの王道をしっかり踏襲した『ルパパト』、これからも幾度となく再見することでしょう。

 次回、【スーパー戦隊ファイナルウェーブ】は第3回で完結です。約束です、きっとまたお会いしましょう。

『ルパパト』で印象に残っているエピソード、おしえて!
実施期間:2026/03/02 00:00 〜 2036/03/02 00:00
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