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キスシーンの演出は俳優たちが考案、監督、ハン・ジウ、チョ・ユンが語る「ON&OFF」のはじまりとビハインド──
──Sukfilmとその制作作品の特徴について教えてください。
監督:Sukfilmは2021年4月に私が創業した制作会社です。最初はテレビで扱いにくい題材をテーマに率直で現実的な20〜30代の人物を描く話を作ってみたらどうかと考えていて、そういったことを自由にできるYouTubeをメインのフィールドに選びました。

初めの頃は出費が多く、黒字に転換できてからまだ1年も経っていませんが、今となっては必要な投資だったと思っています。本当に周りにいい人が多く、運よくここまで来られました。常に「普通ではダメだ」と思っているので、テレビでは描きづらい、少し刺激的な演出やサムネイルを取り入れているところが作品の特徴です。これまでの全ての作品に私が参加しています。
──「ON&OFF」シリーズはどのようなきっかけで企画が始まったのでしょうか。
監督:最初は特別な企画というよりは、チャンネルにアップロードする4部作のGLドラマの一つとして始まりました。ところが、視聴者の方々の反応が予想よりもはるかに熱く、その期待に応えたいという気持ちでseason2、そしてseason3まで続くことになりました。
──セアをハン・ジウさん、ハユンをチョ・ユンさんにキャスティングした決め手を教えてください。
監督:2人の俳優さんのビジュアルがキャラクターと合っていたからです。送ってくださったお芝居の映像もすごく良かったのでこの2人に決めました。
韓国には「Filmmaker Korea(필름메이커스)」という映像制作におけるマッチングプラットフォームがあり、時期は違いますが、お二人ともそのサイトを通じて出会いました。一般的なドラマだと出演者募集には500〜600人ほどの応募があるのですが、BL・GL作品は特殊ジャンルなので「ON&OFF」は200〜300人ほどの応募だったと思います。
少し面白かったのは、season2のゲストで登場するクァク・ヨヌというキャラクターに600〜700人ほどの応募があったことです。おそらくseason1の人気が高かったからだと思います。
──それぞれの役柄を演じるにあたり、俳優さんにとっての決め手はなんでしたか。
ハン・ジウさん:きっかけはオーディションでしたが、出演に対してはそこまで悩みませんでした。もちろんジャンルでドラマをご覧になる方もいらっしゃると思いますが、私は「ON&OFF」について、人と人とが愛し合う普遍的な物語だと捉えています。愛する対象が何であれ、「愛」という感情が中心にある物語であれば、それだけで十分に意味のある作品だと感じました。
チョ・ユンさん:ビハインド的なお話となりますが、実は「ON&OFF」以前にSukfilmの「トランクガール」というGL作品でオーディションに参加したことがあり、せっかくキャスティングのお話をいただいたのにスケジュールが合わなくて出演が叶わなかったんです。そして時間が経ってから、私のプロフィールを持っていてくださった監督から再び声をかけていただいたのが「ON&OFF」でした。2回もこうして声をかけていただいたのは運命だと思って確信を持って取り組むことになりました。
監督:ハン・ジウさんは「ON&OFF」を通じて初めて一緒に仕事をすることになりましたが、チョ・ユンさんは以前、弊社のBL作品『체크 남방을 입은 사내 “Checkered Shirt”』にミンジ役で出演した縁があり、改めてご連絡を差し上げることになりました。その時の演技が非常に印象に残っていたので。
──各シーズンの撮影期間はどの程度なのでしょうか。
監督:1回の撮影で2話分のエピソードを撮影することになっているので、4話構成のseason1は2回。8話構成のseason2と3は4回の撮影で撮り切りました。撮影は1日につき10〜11時間程度となるので、俳優さんとスタッフさんの都合に合わせてスケジュールを組む形です。
セアとハユンのキャラクターを深掘り──
──監督が見て、セアとハユンは当初どのような女性像としてスタートしたのでしょうか 。
監督:セアは成功を納めた変わり者。外見は冷たそうで嫌な感じが出ているが、内面には傷もあって本当は温かい人。
ハユンはかわいくて愛嬌があって。ソフトに見えるけれど、内面は意外とメンタルが強い人に設定しました。ただこういったキャラクター紹介は私よりもファンの皆さんの方がはるかに上手なので(笑)。
一同:(笑)。
監督:season1では、セアとハユンの関係性の構造を見せることに集中し、seasonが進むにつれて2人の関係を内面的に深く見せたいと思うようになっていきましたね。
──俳優さんから見て、自身が演じた役を表現するとしたら、どのような人物でしょうか。
ハン・ジウさん:私が演じたセアは、初めて見ると、そばに置くには少し難しい人物のように感じられるかもしれません。言葉が鋭く、ときには相手を傷つけてしまうような行動を取ることもあるので、人によっては少し居心地の悪さを覚えるキャラクターだと思います。
ですが、私は演じながらずっと「セアはなぜこんなふうに行動するのだろう?」と考えていました。season1に登場する元恋人イ・ジュウォン(演:チャン・ソヨン/장 소영さん)から受けた傷によって、人と深い関係を結ぶことが難しくなってしまったのかもしれないですし、それだけ本気で愛していたからこそ、より深く傷ついたのではないかとも思いました。そうした意味で、セアを少し切なく感じる部分もありました。
もちろん、だからといって他人を傷つける行動が正当化されるとは思ってはいません。だからこそセアを表現するときは、表に見える姿だけでなく、その裏にある感情や理由まで含めて描こうとしました。
チョ・ユンさん:一言でハユンを表現してみると、愛することの前では限りなく率直で飾らない人だと思います。
──役柄と俳優本人で似ている点、異なる点はありますか。
ハン・ジウさん:セアという人物は、私とはほとんど正反対と言っていいキャラクターだったので、作り上げていく過程は難しく感じませんでした。自分とは違う人物だと考えたからこそ、普段の自分なら取らない行動、持っていない癖についてたくさん考え、その中からセアに合う要素を選びながら人物像を作っていったように思います。
似ている点があるとすれば、自分の仕事を愛しているところ。そして表現の仕方は違っても、誰かを愛するときにそれぞれのやり方で最善を尽くすという部分ではないかと思います。
チョ・ユンさん:ハユンと似ているところは、「愛する人の前では思うまま表現する」ところで、これは本当に似ているなと思います。それ以外の部分に関しては全部違います。
一同:(笑)。
チョ・ユンさん:ちなみにオンニ(ジウさん)とセアの似ているところは、冷たさの中に温かいところがあるところだと思います。セアは愛嬌が感じられないけど、オンニは自然な生活的な愛嬌があるところは違うところかなと。

ハン・ジウさん:ハユンは基本的に、「言うべきことはきちんと言う」芯の強い人物だと思います。一方で、実際のユニ(ユンさん)はいたずら好きで、周囲にポジティブなエネルギーを与える明るい人なので、ハユンとユニとの間には温度感や空気感のようなものに少し違いがあるように感じます。
もちろん、ハユンも前向きなエネルギーを持ったキャラクターではありますが、表現の仕方の「質感」が違う気がするんです。それでも私の目には、ハユンもユニもどちらも愛らしくてかわいらしく映っています。
──ユンさんは本当に(MBTIが)Eの方という感じがしますよね。
ハン・ジウさん:まさにその通りです(笑)。
チョ・ユンさん:(笑)。
──今では息ぴったりのお二人ですが、最初の撮影に入るまではどのようにお互いの信頼関係を築いていきましたか。
ハン・ジウさん:撮影前に十分な期間が用意できなかったのでユニとはオンラインミーティングで初めて会いました。今は撮影を一緒にやってきた期間があるので、自ずと信頼関係ができてきたと思います。
チョ・ユンさん:最初にリーディングをしてから撮影までの期間が短かったので、そこまで仲良くなれずに撮影に入ったんですが、今は長い間一緒に演じてくることができて、自ずと仲良くなって信頼関係ができたと思います。
──各シーズンにおいて、それぞれのキャラクターを準備する際にはどんなことを心がけましたか。
ハン・ジウさん:season1はセアという人が“そうせざるを得なかった性格的な理由”を見せたいと考えました。表向きは刺々しく見えますが、内面には傷や繊細な部分を抱えている人物なので、その質感を表現するために声のトーンを落としたり、体重も約2kg減量したりするなど、外見的な部分にまで細かく気を配りました。
season2では、ハユンに出会ったことでセアが本来持っていた柔らかさや温かさが自然ににじみ出るようにしたいと思っていました。恋人として少しずつ安定していく過程を、できるだけリアルにお見せしたかったんです。
season3では、時間が経過している分、お互いにより慣れ親しみ、距離が縮まった関係性を盛り込むことに重点を置きました。より自然で肩の力が抜けた“恋人らしい姿”をお見せできるよう努めています。
チョ・ユンさん:お話の中ではseason1から3までで3年という時間が経過しているのですが、実際の撮影では数カ月しか経過していないので、準備できることには限界もありました。
その分、ハユンだからこそできる行動、言葉を理解しようと気をつけたと思います。