ねとらぼ
2026/05/06 18:15(公開)

【あのVTuberに花束を】囚人たちのちょっと過激で容赦ないやりとり&サービス精神が痛快! にじさんじ「Cellmates(セルメイツ)」がとってもエキサイティング

 刑務所に集められた囚人は6人。

 No.039、笹木咲。No.108、剣持刀也。No.310、月ノ美兎。No.400、星導ショウ。No.417、椎名唯華。No.928、葛葉

 収監された彼らはそれぞれの罪を償うべく、更生プログラムの中で刑務に勤しむ日々を送っている……。

 ……というたてつけでスタートした「にじさんじ」のグループ「Cellmates(以下、セルメイツ)」が現在大人気です。Xのポストで初めて告知されたのは3月13日、動画投稿の開始は3月19日からという始まったばかりのグループですが、投稿されている動画は毎回ものすごい再生数になっています。

 「セルメイツ」は、にじさんじライバーたちが自らの主導の元に集まったグループです。動画の企画・制作は自分たちで行っています。これが「囚人」という設定をフルに活用しており、やりたい放題でとてもフリーダム。新しいグループ系VTuberとして注目を集めています。

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やるならとことん! 一切容赦のない「セルメイツ」

 初回の班長は月ノ美兎さん。最初の刑務は「NG交換」でした。それぞれ「これだけはできない」という「NG」でも、他人の「NG」ならできるんじゃないか? という発想の元、全員でプレゼントのように「NG」を交換。実施することで更生への道を歩んでいこう、という企画です。確かに当たり方によっては気にならないかもしれませんが、かえって困ってしまう可能性も……?

 出てきたNGを交換し、実践することになる6人。剣持刀也さんは、椎名唯華さんのNG「絶叫マシーン」をひいたのですが、本人は「めちゃくちゃ好き」とのことで、まさかのご褒美企画に。富士急ハイランドでジェットコースター「高飛車」に乗り、心の底から楽しそうにレビューしています。

 一方で、剣持刀也さんのNG「ガチASMR」を引いたのが月ノ美兎さん。「今までの中で一番嫌かもしれない」と言っていた彼女は、ASMRシナリオ(脚本は演劇に長けている健屋花那さんが担当)を演技しながら収録。本気で演じた束縛系のシチュエーションボイスをみんなと一緒に聞くハメになりました。月ノ美兎さんファンにはご褒美かもしれないですが、ご本人は耐えきれなかったのか、途中で容態が急変して吐きそうになる一幕も。

 そして、全員が大騒ぎになったのは、葛葉さんが引いた笹木咲さんのNG「グロ飯」。葛葉さん本人も「べつにNGだよ俺も!」と大拒絶でしたが、やるしかない、刑務ですから!

 剣持刀也さんの「絶叫マシーン」体験は、なんとジェットコースターを貸し切った上に、この撮影のためにGoPro(手のひらサイズの高画質カメラ)を買うという気合の入れよう。月ノ美兎さんによる「ガチASMR」制作は、イラストレーターによるいかにもそれっぽい描きおろしジャケットまで作られています。笹木咲さんが当たった「山キャンプ」動画では、ナレーションに「ゆっくり笹木」という読み上げソフト風のものがわざわざ使用されています。わざわざ他人のNGのために「そこまでやるのか!?」とびっくり。やるなら徹底して本気で、という「セルメイツ」の姿勢がよくでている企画でした。

 マネージャーさんからの採点評価をおでこに貼り付け、自分の点数がわからないまま勝負する「タレコミインディアンポーカー」では、自己評価やライバー評価ではなく、一番一緒に仕事をしているであろうマネージャーさんからどう思われているかが赤裸々にわかってしまうハラハラ企画です。たとえば「手がかかる」というお題の場合は、点数が低いほうが手がかからないので勝ち。自分がどう思われているか分析したうえで勝負に出るわけですが、強いのに引いてしまうのもダサい、というギリギリのラインの駆け引きが面白い企画です。

(「【マネ評価を予想しろ!】タレコミインディアンポーカー!」より)

 「モテそう」というお題では点数が飛び抜けて高い上、「手がかかる」では点数が低く(=手がかからないと思われていて)これまた強い、笹木咲さん。いかに彼女が優等生なのかが、見ているとよくわかります。一方、この中ではダントツの新人なのに「手がかかる」で点数が高めで(手がかかると思われている)、「炎上しそう」でも高めと、マネージャーさんからの点数が辛辣だったのが星導ショウさん。2018年デビュー組のベテランが多い「セルメイツ」の中に、ひとりだけ後輩として混じるのが納得なほどの貫禄(?)を見せてくれました。

 この企画をチャンネルが始まったばかりの現段階で見せてくれたのは、構成のうまいところでしょう。「セルメイツ」のメンバーをすでに知っている人が笑えるだけでなく、「セルメイツ」のメンバーをまだあまり知らない人にとっては“他己紹介的な動画”として観ることもできるからです。

 先のふたつの企画だけを見ても、全力で挑んでいるのがわかる「セルメイツ」ですが、刑務のみならずドッキリに関しても容赦がありません。「シックスボンバー」回では、最初は普通に某クイズ番組の「ファイブボンバー」を模した企画に見せかけていましたが、実はこれ、打ち合わせにこなかったということで葛葉さんに仕掛けられたドッキリ。他の問題は全員が答えやすいクイズになっているのに、葛葉さんが先頭のときだけ、都合の悪い厄介な問題が次々出されます。

(「【ドッキリ】葛葉にだけ都合の悪いシックスボンバー」より)

 その内容は「嫌いなライバー」だったり「月収」だったり「葛葉って恋人いるの?」だったりと、すでにクイズではなく答えようのないものばかり。彼も当然「言えるわけないだろ!!」「問題がやばい俺のとき」とドギマギ。一方、言ってはいけないことを椎名唯華さんが言ってしまうほど、ドッキリにかこつけて、みんなはノリノリです。このメンツでなければできないであろう、ドッキリを越えた、やりすぎ容赦なし企画になっていて、これにはコメントも大盛り上がりでした。答えられなくなって困惑し続ける葛葉さんの表情と声色、かなりレアです。是非ご覧ください。

 さらにさらに、ファンサービスとしても全力なのがわかる企画が「歌みたドリームマッチ」でした。これは、お互いの指名で一致したふたりでコンビを結成し、デュエットで「歌ってみた」動画を出す、という企画。5月1日に公開された企画で、3組の組み合わせが成立しました(なおマッチングできず余ってしまった者同士で組むことになった椎名唯華さんと星導ショウさんの反応はというと……ぜひ動画でチェックしてください)。

 「歌ってみた」動画は、歌の収録だけでなくMIXや動画制作など、非常に手間がかかります。そのため多くのファンはコメント欄やSNSで、しばらくたってから公開されるんだろうな、くらいに期待していたようでした。……が。

 企画公開からわずか2日後の5月3日に、剣持刀也さんと笹木咲さんによる、まさかの1本目が公開されました。あまりにも早すぎる、出し惜しみがなさすぎる!

 ふたりのボーカルのクオリティの高さも、本気中の本気です。カバー曲MV『ばかまじめ』はふたりの優しく繊細な歌声にぴったり。先に紹介した「タレコミインディアンポーカー」で優等生&模範囚だったコンビが歌う『ばかまじめ』は、歌詞とふたりの生き方が見事にシンクロしており、多くの人の心をぐっと掴みました。ファンが求めていた需要が、まさかこんな形で満たされるとは。

 「ドリームマッチ」がちょっとしたジョーク企画かと思いきや大間違い。ファンを喜ばせるだけでなく、サプライズレベルで全力で手の込んだことをする、本気すぎる姿勢見せてくれました。「セルメイツ」というグループの過剰サービスとも言える展開がファンを驚愕させています。

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セルメイツが誕生するまで

 「セルメイツ」の結成については、メンバーそれぞれが配信で語っていますが、中でも月ノ美兎さんの配信がわかりやすいので、それを元に結成までの流れを追っていこうと思います(動画「春は挑戦の季節!!(多分)」の25:25くらいから)。

 「セルメイツ」の企画が動き始めたのは2年前、2024年からだそうです。切り出したのは笹木咲さんと椎名唯華さん、「さくゆい」のふたりでした。ちょうど新しいことを始めたいと思っていた月ノ美兎さんは、深夜にその連絡を受けて「やろうやろう!」とノリノリで、話はスムーズに進んでいきました。

 ちなみに、この時期はちょうど『てんやわんや、夏。』という「レゲエの姿(実写の男性)」による笹木咲さん、椎名唯華さん、月ノ美兎さんのMVが作成されていたタイミングだったそうです。月ノ美兎さんは、さくゆいのふたりがこのMVが形になっていくのを見て「なんとなく何かを形にしてくれそうだなって思ってくれたんじゃないのかな」と語っていました。

 6人くらいでやりたいからあと3人どうしようかと話しあっていた中で名前が上がったのが、当時まだデビュー1年目だった星導ショウさんでした。月ノ美兎さんの話によると、これは「我々が古参の女子だから、その真逆の人間を誘えば、届いていない層にリーチできるんじゃないか」という“ビジネス的観点”からの発案だったそうです。「よく言えば物怖じしない、悪く言えば失礼なやつのほうがいいんじゃないか」という視点で新人男性ライバーを探していたとき、誰に対してもフラットに話すスタイルの星導ショウさんに白羽の矢が立った、という流れだったようです。

 そして、星導ショウさんがダウナー寄りなしゃべりだったので、アッパーな人を探していたところで葛葉さんの名前があがったとのこと。この段階で「囚人」モチーフの集団にすることは決まっていたそうです。葛葉さんは当初、そこまで乗り気ではなかったようですが、「とりあえず1年やってみて、やっぱ無理だなってなったら、処刑するから」という誘い方だったようです。かなり過激なロジックですが、「囚人」だからこそ、笑いとして昇華できるうまい論理です。

 そして最後のひとりを選ぶ時に、葛葉さんから剣持刀也さんの名前があがったそうです。忙しいから無理じゃないかとみんなが思っていた中、本人はかなり乗り気で参加したとのことでした。

 2026年4月時点では、すでに半年分の収録が終わっているそうです。なので、絶対に半年は続くとのこと。これはファンにとって、とても嬉しいお話です。

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グループであることの魅力

 剣持刀也さんは「セルメイツ」として声をかけてもらったときに、「渡りに船って思った」と語っています(動画「剣持 vs 星導ショウ」の31:00くらいから)。彼はハマっていたゲーム『ブルーアーカイブ』で、キャラクターたちが学校ごとのグループになっているのに憧れていたそう。「『グループになりてー、5、6人の』ってちょうど思ってたタイミングだった」と語っています。

 笹木咲さんの話によると、さくゆいのふたりは「七次元生徒会!」への憧れがあって、ユニット活動を提案したそうです(動画「マリカワールド全コース練習っ!残り11コースつめこむやよ。」の8:00くらいから)。

 「七次元生徒会!」は、樋口楓さん、叶さん、緑仙さん、三枝明那さん、周央サンゴさん、レオス・ヴィンセントさんの6人によるユニット。自分たちで企画・制作を行っているグループで、生徒会をモチーフにしたシチュエーション企画を多数行っています。最近、活動3周年を迎えました。

 にじさんじのライバーは、デビューした同期のつながりや不定期に組まれるユニットなどはあるものの、基本的にソロで活動しています。その中で「七次元生徒会!」や「セルメイツ」は自分たちでグループを計画的に組み、一定のシチュエーションの中で企画を持ち寄り、独立したチャンネルで動画をアップし続けています。

 それぞれスケジュールが忙しい面々だと思うので、集まって打ち合わせをしたり撮影をしたりすること自体が大変だと思いますが、定期継続するグループ活動でしか見せられないものはたくさんあるはずです。

 複数人で協力して何かを達成したときの、青春の1ページのようなエモい姿。信頼できる相手だからこそ可能な“いじり”や“ツッコミ”。息のあったシチュエーションコント。やりすぎなくらいのはっちゃけた企画。ひとりではやらないような凝ったイベントごと。仲間と集まることでより一層、引き立つ各々のキャラクター。テレビのバラエティ番組のような、しっかりした構成の動画作り。グループならではのファンサービス。回を重ねる中で見えてくる徐々に仲良くなっていく過程やグループとしての成長……などなど。

 グループ活動を継続していく中で、本編の企画の面白さだけでなく、メンバー同士の物語も自然と生まれます。「七次元生徒会!」と「セルメイツ」は、取り組んでいるシチュエーションのベクトルこそ全く別ものですが、自主企画グループVTuberだからこそ見られる関係性の魅力を、どちらもたっぷり味わうことができます。

「囚人」という設定の妙

 「セルメイツ」の場合は「囚人」という設定でバラエティ企画を行っているのが巧みです。どちらかというとネガティブな印象がつきそうな「囚人」設定ではありますが、シチュエーション企画を長期的にやるにあたっては、大きなメリットがたくさんあります。月ノ美兎さんの配信での発言も参考にしながら、利点をいくつか挙げてみたいと思います。

 まず、実施される企画が「刑務」という扱いになっている点です。ある程度の無茶な罰ゲーム的要素も、これによって通しやすくなっています。仮に何もしていないのに参加者がしんどくなるような企画が続いたら、見ていて面白くはあっても、ちょっとかわいそうに感じる視聴者も出てしまうかもしれません。また過激めな内容だと、企画炎上のリスクもあるでしょう。

 けれども、彼らはあくまで「囚人」のロールプレイをしています。罪を償って刑期を短くしてもらうためにやる、という名目があるため、見ている側も「ならしゃーないよね!」という姿勢で楽しむことができます。バラエティの方向性が少し過激よりでも、「囚人」設定によっていい塩梅に受け入れやすくなっているのです。なにより大前提として、彼らは自分たちで企画を考えて持ち寄っているので、やりたくて無茶をやっています。安心して楽しみましょう!

 2つめに、それぞれ罪を犯した「囚人」であるがゆえに、遠慮なしにきつめの言葉を吐いてもシチュエーション的に許される、むしろ言ったほうが面白い、という部分が担保されていることです。相手に対して「カス!」「ふざけんな!」みたいにちょっと乱暴な言葉をぶつけても、「ここは刑務所で、みんなは犯罪者だから」というシチュエーション内のロールプレイとして見ることができるため、普段より多少荒々しくても気になりません。むしろ多少乱暴な言葉のぶつけあったほうが「刑務所っぽい」環境として、視聴者側が受け入れやすくなっているくらいです(もちろん限度はあるのが大前提です)。

 3つめに、「囚人」の中にも「模範囚」がいることでメリハリが付けやすい、という部分もあるでしょう。基本的には「刑務」をやらされているという設定なので、最初から笑顔なわけはなく、比較的みんな気怠そうな演技をしています。しかし、全員がいやいやムードでチンピラムーブをかましているわけではありません。特に月ノ美兎さんや剣持刀也さんは、刑務を全うしている立派な“模範囚”的なポジション。「めんどくせー」と言う他の囚人たちのおしりを叩いて頑張らせる、という姿を見せることで、同じ囚人同士の中でもキャラクター性の違いを見せることができています。「セルメイツ」は6人の囚人としてのキャラクター性や立ち位置が割と見えやすいので、元のライバーたちの個性と重ね合わせて楽しむことも可能です。

 そして、「囚人」というシチュエーションは急に入れ替わりが起きても違和感が少ない、という特殊な環境だというのも大きなポイントでしょう。ほとんどないとは思いますが、たとえば何らかの理由でひとり抜けざるを得ない場合は「釈放」された、あるいは「脱獄」した、といった理由づけができます。月ノ美兎さんが配信で言っていたように、「処刑」によってグループから脱退する手法も取れます。逆に「新たに収監された」という理由で人数が増えることもありえるかもしれません。ゲスト囚人回などがあったら是非見てみたいところです。

 まだ動画が数本しかアップされていない現時点で、すでにメンバー同士のプロレス的な殴り合いで楽しませてくれている「セルメイツ」。“やりすぎなのでは!?”と思うような企画のとがりっぷりも、“そこまで言えちゃうんだ!?”という煽り合いも、“本当にやってくれるの!?”というサービスっぷりも、「囚人」の「刑務」であるがゆえにたっぷり堪能できます。

 果たして彼らが釈放される日は来るのか……いえ、不謹慎かもしれませんが、筆者としてはこんなに楽しく和気あいあいとした煽り合いを見られるのなら、この6人には釈放されずに刑務を全うし続けてほしいと願ってしまいます。半年と言わず何年でも収監され続けてください!

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