初めて訪れる土地で耳慣れない町の名前に、旅をしていることを実感したり、見知った地名の標識にほっとしたり……。地名は、知らず知らずのうちに暮らしの中でいろんな気持ちを呼び起こします。今回紹介するのは、同じ名前を持つ2つの駅の間を歩き通した記録をまとめた同人誌です。

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今回紹介する同人誌

『平和台から平和台まで』B5 20P 表紙、本文カラー
著者:たかまろ

同じ駅名だけど……
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スタートもゴールも「平和台駅」の27キロのお散歩

 世の中には、大阪駅や新大阪駅、幕張駅と京成幕張駅と海浜幕張駅のように混同しそうな似た名称もあれば、読み方まで同じなのに、まったく離れた場所にある駅も存在するそうです。そんな中で、千葉県流山市の流鉄流山線の平和台駅から、東京都練馬区の東京メトロ有楽町線・副都心線の平和台駅までを歩いてみたのがこのご本です。

 2つの駅は路線も違い、乗換駅でもなく、ただただ同じ駅名というだけで、両駅を行き来するのは想定されていない場所のようです。もちろん、作者さんにもこの2駅の間を歩かなければならない理由はありません。なぜこの行程をたどるのかについては、冒頭で「今回はこの『平和台駅』と名付けられた両駅を徒歩で連絡してみる」と触れられるだけです。「2つの駅は同じ駅名である」という一点の面白さ、それだけで実にさらりとおよそ27キロのお散歩に突入していきます。

計画からはじまる
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名所や地名……気になる魅力をちりばめて

 ご本では、千葉の平和台駅から東京の平和台駅を目指し、6行程で出発から到着までを追います。誌面には各所の写真やコメント、周辺の地図が掲載され、どこを歩いているのかが分かりやすく整理されています。どこを進んでいるのかもイメージしやすく、街歩きの気軽な楽しさが読んでいてすいすいと入ってきます。

 実行日は夏だったとのことで、暑さに対応しながらの道のりは休憩も入れつつ、地元の神社や飲食店といった街歩きの定番スポットになるような場所が紹介されています。名物のおせんべいを購入したり、楽しそう! しかしそれだけでなく、普通の観光ガイドなら掲載されないような……例えばごみ処理施設や給食センターといったところも同じように取り上げられています。歩き通して街を見てみれば、名所や史跡と並列に今の人々の暮らしも浮かび上がり、日常の端々にあるものが魅力となって誌面にちりばめられています。

気になるポイントはあちこちに
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ただ同じ名前だから歩く、その面白さ

 差し迫った理由はなく、自由なお散歩は本来のんびりしたものですが、そこに「平和台から平和台へ」という目的が加わったことで、急にやりとげねばならない使命感が出てきます。作者さんの行程でも、炎天下、階段の苦しさといった体力的な厳しさ、スマホの充電が切れそう、コンビニが少ないといったちょっとした不便も語られます。

 それらは本来ならしなくて良かった苦労で、いつリタイアしてもいいはずの道のりです。けれどそこをあえて進み、あたりを見回し、街を記録していく……同じ駅名というシンプルなきっかけをミッションにして、全身で楽しむ! ゴールの平和台駅到着の描写がびっくりするくらいクールに結ばれるところも含めて、淡々と、しかしあえての行程を全身で楽しむ面白さが伝わるご本です。

いよいよラストスパートへ
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サークル情報

サークル名:川越市たかまろう鉄道
サークル作品の取り扱い場所:BOOTH
イベント参加予定:おもしろ同人誌バザールやコミックマーケットなど
X:@_Marotetsu_
linktr.ee:https://linktr.ee/x_tkmr

今週の余談

 同じ地名や駅名は、実生活では迷わないようにどきどきしつつ、創作の世界だとミステリーのトリックになっていたり、わくわくもありますね。

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