イースはアクションRPGの王道なのだ!――イース -ナピシュテムの匣-:「イース -ナピシュテムの匣-」レビュー第1回
イース -ナピシュテムの匣-は、主人公を操作して強くしていくタイプの「アクションRPG」。ゲーム内アクションと主人公の成長を見事に融合させているゲームは、操作が気持ちよく成長が楽しみになるものだ。
最近では、多少の「インターラクティブ」要素が入っている「アクション風味」のRPGが非常に増えているが、アクションを繰り出し、主人公を強くしていくタイプの「アクションRPG」というジャンルが決してなくなってしまったわけではない。
ゲーム内アクションと主人公の成長を見事に融合させているゲームは、操作が気持ちよく成長が楽しみになるものだ。ストーリー重視もいいが、今作のように「ゲーム」だからこその気持ちよさを感じてほしい。
美しさと気持ちよさに酔いしれる
イース -ナピシュテムの匣-を始めて最初に気づくのは、グラフィックとサウンドの部分。最近のゲームでは当たり前なのかもしれないが、自然が見事に表現されている。風になびく木々。打ち寄せる潮騒。踊るかのように反射する日の光。
「美しくて、リアルで当たり前」になってきているCGだが、キャラクターをリアルにし過ぎることなく、あくまでも島の美しい自然を見せるための表現として利用されている。リアルなのではなく、「美しい」としか表現ができない。それも息をのむような美しさなのではなく、安心する美しさなのだ。
音についても触れておかなければならない。イースシリーズは元々PCゲームから始まっているのだが、そのメロディラインの美しさは特筆もので、ゲームミュージックのCDというジャンルを一般にもある程度認知させた功績を持つほど。PS2版でも、しっかりと「イースの曲」だといえるほど、頭に残るメロディラインになっている。
それ以外にもPS2版の与えてくれるサプライズとしては、全キャラがしゃべるのだ。確かに登場人物が一般的なRPGと比較して多いとは言えないものの、登場する全ての人物が命を吹き込まれしゃべりかけてくる。
もちろん、会話を文字だけにすることもできるので、ロード時間を気にする必要はない。この物語に脇役は存在しない。全ての人物がストーリーと紡ぎ出しており、存在感を放っているのだ。
シンプルで操作しやすいアクション
PCシリーズを通してプレイしているユーザーなら分かると思うが、PS2版になって変わった部分もある。それはアクション部分。基本操作が剣と振ることと、ジャンプすることだけに絞られて作られている。
もちろん、剣技や魔法などの要素もあるのだが、基本的にはこの2つで戦いを進めていくことになる。最近のアクションゲームの多彩さを考えると、正直なところ物足りなく感じる人もいるだろう。アクションが得意な人には不満が残るかもしれないが、この手のアクションゲームが不慣れな人には嬉しい配慮と言える。
またアクション中心だと、攻略にはかなりの腕が必要とされるのだが、イースシリーズの特徴として、レベルアップは比較的に容易なゲームとなっている。
なお、アクションが得意な人は、隠しダンジョンとも言うべき要素が用意されているので、思う存分アクションを楽しめばいいのだがよい。ちなみに隠しダンジョンは足場や敵の配置の問題で、操作に慣れ切っていなければ、クリアどころか1つも進めることができない。自信があればチャレンジして欲しい部分だ。
イース -ナピシュテムの匣-は、アクションもさることながら、ストーリーを楽しむことがメインのゲームだと思う。アクション部分の丁寧な作り込みも、テンポのよいレベルの上がり方、とぎれることなく紡ぎ出されるストーリーにしても、すべては「物語を楽しむため」の一点に集約されている。アクションRPGの王道ではなく、RPGというジャンルの王道そのものだと言えるだろう。
今までイースシリーズをまったくプレイしていないからと敬遠してしまってはもったいない。特に過去の話を知っていなくても、全く問題なくプレイできる内容になっている。今こそRPGの王道を体感してほしい。
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