「MGS 5」は桜井政博氏が制作? 衝撃的なコメントも飛び出した「MG Saga ON TGS」東京ゲームショウ2005――コナミブース

コナミブースにて、「METAL GEAR」の歴史を振り返るステージイベント「MG Saga ON TGS」が開催された。ステージには、小島監督とアートディレクターの新川洋司氏に加え、特別ゲストとして、ゲームデザイナーの桜井政博氏の3人が登場した。

» 2005年09月19日 06時12分 公開
[遠藤学,ITmedia]
photo

 コナミブースにて、伝説のMSX版「METAL GEAR」から最新作となる「METAL GEAR SOLID 3」までの歴史を振り返るステージイベント「MG Saga ON TGS」が開催された。同ステージでは、小島秀夫監督とアートディレクターの新川洋司氏、そして特別ゲストとして「METAL GEAR」の大ファンだというゲームデザイナーの桜井政博氏の3人が登場した。

photo (左から)小島秀夫監督、桜井政博氏、新川洋司氏

 シリーズの原点は今から18年前、1987年に登場したMSX版「METAL GEAR」となる。小島監督は当時を振り返り、「コナミに入ってファミコン(ソフトの開発)をやりたかった。でも、なぜかMSXの部署に配属……しかも、最初に作ったアクションゲームがボツにされて、とても落ち込んでいたんです。会社をやめようかとも考えていたんですが、1本作ってからやめろと言われて、その時に作ったのが「METAL GEAR」。ただ、その時のチームは自分と同じ新人か、もしくは先輩しかいなかったので、“こんな敵から逃げるゲームなんて聞いたことない。売れないと思うから作りたくない”という感じでした」とコメント。

 「プレゼンテーションもしますが、(言葉だけでなく)遊んでもらわないと伝わらないこともある。『METAL GEAR』はまさにそれで、反対があったり、協力してくれなかったりと、本当にいろいろとありました」と語る小島監督の顔からは、当時の苦労をうかがい知ることができた。

 ちなみに、桜井氏も当時を振り返り、「一番最初に『METAL GEAR』を見た時、結構ショックを受けたんです。それまでのものとは全然違うゲームじゃないですか。“隠れてみたい”、“忍んでみたい”と思ってました(笑)」と語ってくれた。

photo 当時のパンフレットなども公開。小島監督は「“潜入、破壊せよ!”って当たり前のことですね。こんなのキャッチコピーでも何でもない」と語りながらも、当時を思い出したのか、その顔には笑顔があふれていた

 続いて、2作目(「スナッチャー」を含むと3作目)となる「METAL GEAR 2」は1990年に登場。ここでは新川氏が当時を振り返り、「MSXはとても高かったので買えなかった。友だちの家で遊んでいたんですが、『METAL GEAR 2』はグラフィック、パッケージがとても格好良かった」とコメント。

photo

 また、本作よりオープニングに「HIDEO KOJIMA」の文字が表示されるようになるのだが、これについて小島監督は「当時は引き抜きなどが多くて、名前は載せられなかったんですが、僕が作っています、というものがやっぱりほしかった。ただ、これはアルファベット表示だったので、ファンレターがすべて当て字で……“秀夫”ではなく“秀男”と書かれているのが多かったですね」と、当時の思い出も交えながら語ってくれた。

photo イベントで使用されている資料などは、すべて小島監督の私物。当時は「自分のソフトも3本くらい買っていた」(小島監督)のだとか

小島監督は「METAL GEAR SOLID 4」で引退、後任は桜井氏?

 プレイステーション「METAL GEAR SOLID」の登場、その少し前の1994年「ポリスノーツ」制作時には、新川氏が開発5部(小島組、もとい小島プロダクションの原点)へと加わることとなる。

 コナミに入社したのは“「METAL GEAR」を作りたい”という思いがあったからだと新川氏は述べてくれたのだが、これにはすかさず小島監督が「嘘ですよ。新ちゃんは確かにそう言って(面接に)来ましたけど、後で聞いたら“やってないです”って(笑)」と突っ込みを入れていたのが印象深かった。

photo ゲームの制作同様に、トークでも非常に息の合ったところを見せてくれる小島監督と新川氏

 そしてトークはいよいよ1998年に登場した「METAL GEAR SOLID」へと移る。ここでは小島監督より「『METAL GEAR』を作る気はなかった。ただ、プレイステーションでは3Dポリゴンができるということで、掘り起こしたという感じでした」という衝撃の事実が、新川氏からは「ただ、3Dポリゴンの技術というのは、うちのチームにまったくなかったのものなので、一から構築していきました」といった、当時の思い出が語られた。

photo 記念すべき第1回「東京ゲームショウ」にて配られたという「METAL GEAR SOLID」のパンフレット

 次に2001年、プレイステーションからプレイステーション 2へと進化した際には、“「METAL GEAR SOLID 2」をどのように作るべきか?”を考え、実際にはポリゴンを増やしたり、人数を増やしたり、マップを大きくしたり、といったことに加え、雨や風、霧といった表現の処理に空気感を出し、“まるでそこにいるかのような感覚”を打ち出すべく、制作を進めていったことなどが語られた。

 また、桜井氏からは「『METAL GEAR SOLID 2』の特徴として、3割がスネークで7割が雷電を中心に物語が進むわけですが、なぜこのようにしたんですか?」という質問が投げかけられる。

 これに対して小島監督は「いろいろな人にテストプレイをしてもらっていた際に、女性、特に高校生や中学生から“こんなおっさんばっかり出てくるゲームは絶対に買わない”といった感想が書かれてしまして……そこで新ちゃんといろいろと話した結果、『2』では美少年を出そうかとなったんです」という、これまた意外な事実が明らかにされた。

 最後は2004年にリリースされた、現時点で世に出ている最新作「METAL GEAR SOLID 3」の話となるのだが、昨年といえば桜井氏がフリーのゲームデザイナーとなった年でもある。ただ、そこはやはりシリーズファンの桜井氏。「METAL GEAR SOLID 3」に関しては、「フリーになってすぐにタイトルを抱えていたので、忙しい時期ではあったんですけど、もちろんクリアしました」と語ってくれた。

photo 歴史を振り返るイベントだけに、このような資料も用意されていた。「METAL GEAR SOLID 4」にてソリッド3部作は完結するとのことだが……

 なお、まだ歴史には含まれないタイトルではあるが、プレイステーション 3にて登場が予定されている「METAL GEAR SOLID 4」にも話はおよぶ。ここでは桜井氏から「自分としては小島監督がやるのであれば、たとえスネークがじじいになったとしても、絶対に面白くなるはずと確信しているので、こうしてほしいといったことはないです。ただ、何でも良いのでということであれば、(小島監督の思うように)好き勝手やってみてもらいたい」といった要望が述べられた。

 また、小島監督と新川氏が“「METAL GEAR SOLID 4」を最後に本編シリーズから手を引く”という衝撃的な事実がサラッ語られる。では、小島監督は何をするのか? というと「携帯ゲーム機で『METAL GEAR ACID』シリーズがありますが、『ACID』だけでなく、携帯ゲーム機ならではの『METAL GEAR』を続けていきたいというのが1つ目。そして、オンラインで楽しめる『METAL GEAR ONLINE』をどんどん膨らませていきたいというのが2つ目。最後に3つ目として、次世代のマシンでの本編『METAL GEAR』というのがあり、このように『METAL GEAR』はどんどん広がっていきます」(小島監督)と、決して「METAL GEAR」という作品自体から完全に手を引くわけではないようだった。

 そしてさらなるサプライズとして、小島監督は「METAL GEAR SOLID」シリーズの自分の後任として桜井氏を指名する。その理由としては「桜井さんはすごくゲームを愛しているから。クリエイターというのは、何だかんだ言ってもゲームを商売のネタとしか考えていない人もいるんです。でも、桜井さんはすごく真摯な態度でゲームに取り組んでいる」と語ってくれた。

 指名された桜井氏と言えば、急なオファーにとまどいを隠せなかったようで「あまり真に受けないでくださいね」とコメントしたものの、その様子を見る限りでは、まんざらでもないようだった。果たして今後どのような展開を見せるのか?

photo 小島氏からの突然のオファーに、慌ててコメントを述べる桜井氏

 なお、後任の話が冗談だったとしても、小島監督と桜井氏は常日ごろからお互いを認め合っているらしく、いつかコラボレーションタイトルを制作してみたいという思いがあるとのこと。こちらのほうが実現の可能性は高いだけに、ぜひとも期待したいところだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/08/news177.jpg イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  2. /nl/articles/2411/06/news180.jpg 「むりだろww」「笑いました」 ニトリでソファ購入 → 愛車の前でぼうぜん…… “まさかの悲劇”が1000万表示
  3. /nl/articles/2411/07/news182.jpg 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  4. /nl/articles/2411/07/news163.jpg 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. /nl/articles/2411/05/news138.jpg 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  6. /nl/articles/2411/08/news132.jpg peco、息子の近影を公開「すごーくりゅうちぇるに見えます!」「パパに似てる〜」 息子のスクールランチも色とりどりでおいしそう
  7. /nl/articles/2411/08/news143.jpg 高嶋ちさ子、3000万円超の“超高級外車”ゲットにドヤ顔も! 笑い止まらずハンドル握り「Woohoo!!!」
  8. /nl/articles/2411/07/news029.jpg 50代主婦が5日間、ひたすら草抜き&庭木の剪定→たった一人でやり遂げたとは思えないビフォーアフターに称賛の嵐 「尊敬する」「本当に脱帽です」
  9. /nl/articles/2411/08/news025.jpg 「そうはならんやろ」クルマ修理会社の壁を見ると…… まさかの“シュールすぎるイラスト”に9万いいね 「よすぎる」「天才か」
  10. /nl/articles/2411/08/news111.jpg 2人組ガールズユニット、突然の脱退を発表 マネージャー「本人の意思ではない」 母親とする人物からの脱退理由と経緯説明が物議
先週の総合アクセスTOP10
  1. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  2. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  3. 結婚相手を連れてくる妹に「他の人に会わせられない」と言われた兄、プロがイメチェンしたら…… 「鈴木亮平さんに見えた」大変身に驚がく
  4. 「2007年に紅白出場」 38歳になった“グラビア界の黒船”が1年ぶりに近影公開→驚きの声続々
  5. 「クソビビったwww」 ハードオフに38万5000円で売っていた「衝撃的な商品」が90万表示 「売った人突き止めたい」
  6. 夫婦喧嘩した翌朝の弁当を夫が作ったら…… “森”すぎるビジュアルに「インパクトすごい」「最高に笑いました」の声
  7. 約9万円の「高級激レアガンプラ」を10時間かけて制作→完成品に「家宝だ」「めっちゃくちゃにかっこいい!!」
  8. 天皇皇后両陛下主催の園遊会、“お土産”に注目 ジョージア大使「大好物です」「娘たちからも大好評」
  9. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に
  10. 事故で重体の人気日本人TikToker、1カ月の意識不明と家族ケア経て逝去……“旅立ち直前に会った”親友は「励ましに来てくれてたのかな」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた