既存のヌルいRPGなんてやってらんねーという方への処方箋「XANADU NEXT」レビュー(3/3 ページ)

» 2005年10月25日 18時15分 公開
[篠崎薫,ITmedia]
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 これ以外にも、鍵のかかった扉を開けるにはキーが必要だったり(当然ながら、キーは買えば買うほど値段が上がる)、レベルアップするとキャラクターの称号が変わっていくなど、随所に面影が残されている。「XANADU」をプレイした人間にとっては懐かしくもあり、それでいて新しい作品としても、きっちり仕上がっているのだ。武器の熟練度が上がり、敵に与えるダメージが大きくなれば心の中で成長を喜び、パラメータを自分なりの工夫でアップさせ新しいアイテムが装備できるようになると、新しいワクワク感が出てくる。そして、心の中で「ああ、見た目は違ってもやっぱりXANADUなんだ」と安心するのだ。

鍵は道具屋で購入できるが、買うほどに値段が上がる。今作では、鍵の値段を下げるアイテムもあるとか?

 「XANADU」らしさの極めつけといえるのが、4つの宝冠と聖剣ドラゴンスレイヤーだろう。主人公は冒険を進めていく中で、宝箱から宝冠を発見することになる。「XANADU」では、宝冠を4つ集めないと聖剣ドラゴンスレイヤーを入手できなかったが、果たして今回はどのような形で関わってくるのか? ドラゴンスレイヤーが活躍するような、強大なドラゴンが登場するのだろうか? そのあたりは、まだ謎に包まれているとだけ述べておこう。

4つある宝冠には、それぞれ名前が付いているのを知っているだろうか。ちなみにその名前は「クォージィ」「ザクリュイレス」「タイタン」「レヴィック」となっている。今作で最初に取れる宝冠はザクリュイレスだが……

新システムにも見られる“XANADUらしさ”

 上手な形で“XANADUらしさ”を残してあるだけでなく、新しいシステムも積極的に取り入れてある。1つは、武器に秘められた技であるスキル。各武器には、それぞれ固有のスキルが備わっていて、装備することで主人公はスキルを使えるようになる。

 武器を装備から外すとスキルも使えなくなるが、熟練度が100%を超えれば主人公がスキルを体得するので、そのまま使い続けることが可能になるのだ。スキルは同時に4つまで装備できるので、状況に合わせたものを使いたいところ。ただし、4つ装備できるとはいえ、それは魔法とスキル合わせてなので、ある程度の数を覚えると、取捨選択で悩むことになる。もっとも、スキルがないためにクリアできなくなるという事態にはならないので、特に問題はないはず。むしろ、プレイの幅を広げるという意味において、多いに貢献していると言えるだろう。

武器にはスキルが備わっていて、購入時にチェックできる。当然ながら、全てのスキルを覚えておく方が有利になる
スキルを体得すると画面にエフェクトと共に表示されるので、すぐにわかるのがありがたい

 スキルはいつでも変更が可能なので、あれこれ試しているうちに、きっと自分がベストと思う組み合わせがあるはず。それを探し出すのも、楽しみの1つといえる。しかも、装備しているスキルに合わせてごり押しの戦いを繰り広げたり、積極的に背後から近づいて倒すなど、戦い方のバリエーションも増えるので、同じ敵を相手にしていても飽きることがなかった。

 新システムのもう1つが、ガーディアンと呼ばれるカード。これは、ダンジョンの宝箱などから見つけることができるもので、リーゼに頼めば降霊してもらえる。すると、HPの最大値が上がったり熟練度の上昇スピードが速くなるなど、主人公に+αの力をもたらしてくれるのだ。敵を倒せば、主人公と共にガーディアンにも経験値が入り、一定ポイントが溜まると同じようにレベルアップする。すると、そのガーディアンを降霊している時の効果がアップするのだ。1つのガーディアンを集中的に成長させるのも、まんべんなくレベルアップさせるのも、全てはプレイヤーの思うまま。ここにも、本作の要である“高い自由度”が活かされているのだ。

ガーディアンカードも複数あるので、状況に応じて変更する必要があるかもしれない

クリアすれば、今までにない感動と誇りを持てる作品だ

 これまで述べてきたように、本作の特徴は「XANADU」から受け継がれてきている、自由度の高さと言えるだろう。至る所でプレイヤーの自主性が求められるため、流れに乗ってプレイすればエンディングまでたどり着けてしまう、最近のコンシューマRPGとは一線を画した内容として仕上がっているのだ。古くからのゲーマーにとっては、ある種の懐かしさを覚える作品だとも言えるだろう。とはいえ、逆説的に述べるならば、ユーザーが迷いやすいということでもある。特に、最近のコンシューマRPGばかりをプレイし慣れていると、ヒントの少なさや成長のさせ方などで、とまどいを感じるかもしれない。

 だが考えてほしい。攻略本と首っ丈になってプレイしたり、大量のヒントに囲まれてクリアしたRPGを、果たして自慢できるだろうか? それで本当の感動を覚えるだろうか? 初代「XANADU」は、自力でエンディングまでたどり着いたことを人に誇れるタイトルであり、他にはない感動を与えてくれる作品だった。それは本作も同じで、クリアすれば人に誇れるゲームとなっているのだ。

行き止まりの通路があっても、その開け方について特にヒントは提示されない。これが不親切だと思うならば、あなたは既に現在のヌルいRPGにドップリ浸かっているのかも?

 ヒントが少ないということに抵抗感を感じるならば、無理には勧めない。しかし、難所を自力で乗り越えたその時こそが、ゲームをプレイしていて楽しさを感じる瞬間だろうし、エンディングを見たときの感動も、これまでとは比べものにならないぐらい大きいはずだ。その感動を思い出すためにも、往年のPCゲーマーにはぜひプレイしてもらいたいし、ヌルゲーマーからの脱却を目指したい人にもトライしてほしいタイトルだ。

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