Xbox 360初のRPGは、やめどきに迷う――気負いなく遊ぶべし「【eM】-eNCHANT arM-(エム 〜エンチャント・アーム〜)」レビュー(1/2 ページ)

Xbox 360初のRPGとなる作品「【eM】-eNCHANT arM-(エム 〜エンチャント・アーム〜)」。新ハードの売り上げを伸ばすのには欠かせないRPGではあるが、その重責を担った本作の出来はどのようなものなのだろうか。Xbox 360ユーザなら誰もが気になっていたであろう作品を見ていこう。

» 2006年01月16日 17時02分 公開
[篠崎薫,ITmedia]

フロム・ソフトウェアの送るRPGは、お堅い内容なのか?

 フロム・ソフトウェア(以下、フロム)といえば、アーマードコアシリーズなどのアクションものを思い出す人が多いだろう。しかしRPGであれば、その突き放した感のある難易度がたまらなく作品にマッチした、キングスフィールドシリーズが有名だ。実際にプレイしたことがあるが、あの重厚な世界観で冒険を進めていく様は、まさにふた昔ほど前のPC用RPGを彷彿とさせるものがあった。そんなメーカーであるフロムから、Xbox 360用RPG「【eM】-eNCHANT arM-(エム 〜エンチャント・アーム〜)」がリリースされるとの話を聞いたときは、キングスフィールドのような作品にするのではないのか? と勝手に想像したものだ。

 だが、実際に登場した作品はいかにも今風に仕上げられており、キングスフィールドシリーズのようなプレーヤーを選ぶ雰囲気は、どこにも感じられなかった。これは、誰もが取っつきやすくなった半面、コアなファンが付きづらくなったことを意味するのではないのか? そう考えたのだが、実はそんな事はまったくなく、違う面で際だった特徴を持っていた。そんな本作を、システム面を中心に見てみよう。

システム面だけではなく、登場キャラも特徴ありまくりの本作

マニュアルレスで進められる、そのお手軽さ

 本作の主人公は、ヨコハマシティにあるエンチャンター養成大学に通う学生アツマ。彼は右腕に、物質にかけられたエンチャント(魔法のようなもの)を無効化できる能力を宿しているため、周りから落ちこぼれ扱いされている。親友のトウヤからは、赤い単細胞とまで評される始末。しかし、トウヤを青い電算機と呼び、もう1人の親友であるマコトを黄色い乙女心と呼びあう3人は、授業を抜け出しヨコハマシティで行われているお祭りへと出かけていく……。

授業を抜け出そうとしているところを先生に見つかってしまうものの、懲りずに逃げ出すアツマたち。これがすべての始まりとなる

 このような物語で始まるのだが、最初は親切なチュートリアルが入っているので、マニュアルを読まなくても何の問題もない。主人公キャラの移動は左スティックで行い、右スティックで視点の変更ができる。ただし、右スティック操作は、人によっては操作方法が反対になっていると思うかもしれない。そんな時は、オプションメニューからカメラ視点をリバースにすれば問題なし。他にも、テキスト文字の表示方法などの変更も可能になっているので、思った以上に柔軟な設定が可能だ。

ちょっとしたことでも説明してくれるので、操作で迷うことは絶対にない。しかし、Xbox 360を購入するユーザは、ここまで親切にされなくても分かりそうな……

 なお、ほとんどの事例については、オンラインヘルプを参照すれば分かるようになっている。マニュアルよりも充実しているのではないかと思えるほど、細かい部分についての説明もフォローされているのには感心した。ゲーム中に登場する専門用語や、その使い方まで掲載されているので、忘れてしまっても大丈夫。戦闘シーンのチュートリアルも、いつでもメニューから実行可能で、めったに使わないコマンドの使用方法を思い出す際には重宝した。

ゲーム中に登場する用語などは、全部網羅されているので便利。しかし、メニュー階層が深すぎるので、トップに戻ってくるのが大変。もっと使いやすいインタフェースを考えてほしい

独特の戦闘システムは、可もあり不可もあり

 校内を歩き回ると、最初はアツマたちの脱走を阻止しようとする生徒たちとの戦いになる。最初のうちはチュートリアルを兼ねてのバトルなので、難しいことを考えずに戦闘を行えばOK。

 この戦闘シーンが特徴的で、ターン制ではあるものの、敵味方がそれぞれ3×4のグリッドに配置されるのだ。ここで、スキルを使い敵に対して攻撃を仕掛けたり、味方を回復させるように移動することになる。プレイするまでは、シミュレーションゲームのように見えるため難しいと思っていたのだが、実際に体験してみると実は簡単。味方が導線を塞いでいても移動はできるし、移動や攻撃範囲も色が付いて表示されるので分かりやすい。通常はパーティ編成の順に行動するが、プレーヤーが任意のキャラを選んで動かせば、その通りに順番が回ってくる。簡単な中にも柔軟性を織り交ぜてあるため、後半になっても飽きがこないのだ。

 とはいえ、最初はなんだかよく分からないという人も多いはず。そんなプレーヤーのために、オートというコマンドも用意されている。これを選べば、コンピュータが自動的にキャラを動かして戦ってくれるのだ。しかも、思った以上に賢いので、序盤はとても役に立つだろう。これまで、オート戦闘はバカで使い物にならないと思いこんでいただけに、この賢さには感心してしまった。もっとも、役に立つのは最初だけで、中盤になればプレイヤー自らが操作しないと、死体の山を築き上げてしまう可能性もあるわけだが……。

このマス目の上で戦いが繰り広げられる。シミュレーションゲームかと思うかもしれないが、それは見た目だけなので安心してほしい
移動距離や攻撃可能範囲は、色が付いているので一目瞭然
ズボラな人には最適な、オートコマンドも標準装備。序盤のうちは、かなり役に立つ

 ただし、毎回スキルの攻撃範囲内にキャラを動かすのが、若干ながら手間がかかる。ここでは、スキルを選んだ時点で自動的にキャラを移動させるなどの、操作を軽減させるシステムを取り入れて欲しかった。それがあるだけで、大幅に戦闘は楽になったはず。キャラを操作する部分以外はテンポ良く進むだけに、惜しい部分と言える。

スキルの攻撃範囲内に敵がいないと、無機質なビープ音で警告される。このあたり、次回作があるのならば改良して欲しいところ

 とはいえ戦略性は豊かで、範囲によっては複数の敵にダメージを与えられる攻撃方法もあるのだが、前に立ったキャラがダメージを減少させて、後ろのキャラのダメージを少なくさせるカバーや、条件を満たした後に同じ敵を複数人で攻撃すると発生する連携技なども存在する。深く考えずに戦っていても勝てるが、常にこれらの事を考慮しながら戦闘を展開すれば、シミュレーションゲーム並に頭を使ったバトルもできるのだ。これならば普通のRPGファンだけでなく、シミュレーションが好きな人でも十分に楽しめるだろう。

連携技は、決められれば非常にスカッとする。それだけに、発動させるまでは少し手間がかかる

 なお、敵にダメージを与えたり攻撃を受けたりするとEXゲージが増加していき、MAXになれば強力なEXスキルを発動できる。このゲージは戦闘が終わっても持ち越されるので、貯めておいてボス戦で使うなど工夫すれば、苦労せずに倒すことができるかもしれない。

見た目も派手なEXスキル技。アツマの初期EX技ならば、広範囲の敵に大ダメージを与えられるのが特徴だ
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