ポケモンをグルグル囲んでキャプチャ成功。人と自然を守るポケモンレンジャー登場!:「ポケモンレンジャー」:レビュー(2/2 ページ)
グルグルグルっと気持ちをつたえてキャプチャしよう
キャプチャ・スタイラーによるポケモンのキャプチャが、本作の要であり、最大の魅力だと言える。シンバラ教授が開発したキャプチャ・スタイラーは、ポケモンをグルグルと囲むことで、気持ちを通わせて「なかまポケモン」にすることができるどうぐ。ただ、誰でも扱えるというものではなく、ポケモンを愛する心、正義の心がないと正しく扱えないようになっている。
実際の操作としては、タッチペンでポケモンをグルグル囲む、ただそれだけだ。キャプチャしたいポケモンの周りを囲むと青い数字が表示されるので、あとはグルグルと囲んで数字を減らす。そして「OK」が表示されたらタッチペンを離す。これでキャプチャは成功だ。最初のうちは画面上へ一度に現われるポケモンの数も少なく、動作も緩慢なので「何だ、余裕じゃないか」と思うことだろう。かくいう筆者も途中までは危なげなくキャプチャしまくって「このゲームかなり易しく設定されているんだな」と油断をしていた。しかしそんなに甘〜いゲームではないのだ。
“ポケモンをグルグル囲むだけ”ということなら簡単だ。しかしポケモンだって、ただただ囲まれるようなことはない。囲んでいる「キャプチャ・ライン」から出ようと移動をしたり、ラインに攻撃を仕掛けてきたり、一筋縄ではいかないのだ。囲んでいるときにキャプチャ・ディスクがポケモンに当たってしまうとラインがとぎれるし、キャプチャ・スタイラーはエネルギーが限られていて、ラインにポケモンの攻撃を受けるとエネルギーが減ってしまう。エネルギーがゼロになればゲームオーバーで、最後にきろくした場所から再開することになる。筆者の場合、中盤以降で何度かゲームオーバーになった。何度挑戦してもキャプチャできないポケモンが登場して、かなり焦ったものだ。
そういった場合にまず肝心なのが、ポケモンの動きのパターンをよく見ること。「炎を吐いたあとにスキができる」とか「遠くに飛んだあとにこのタイミングで画面上に戻ってくる」など、“法則”っぽいものが見えてくることがあるはずだ。あとはなかまポケモンのポケアシストを活用すること。これは後述するが、キャプチャしたポケモンの能力を借りて相手をキャプチャしやすくなるというものだ。これらをフル活用してプレイしていけば一流のレンジャーになれる日もそう遠くはないだろう。
とにかくこの「囲んでなかまにする」というシンプルで、なおかつ、NDS独特のアクションが、思った以上に楽しかった、というのが筆者の率直な感想だ。中盤以降のキャプチャの難しさなどはなかなか絶妙で「やるべきことはわかっているし、やればできそうなのに、ちょっとしたミスでうまくいかない」「次回挑戦すればうまくやれそうな気はする」と思わせる難易度。これは面白いアクションゲームには欠かせない要素だ。
また「あのポケモンをキャプチャするには、このポケモンの能力が有効だ。確か向こうにいたから、ちょっとつかまえてこよう」などと考えて、あっちこっちに移動して体制を整えるときの、思考型ゲームとしての面白さもある。アクション性と思考型のバランスがほどよく、タッチペンによる操作もあいまって、新鮮なプレイが楽しめる作品に仕上がっているといえよう。
一期一会 〜なかまポケモンの力を借りて道を切り拓け
前述したが、つかまえにくいポケモンを相手にするときは「なかまポケモン」の力を借りるとキャプチャが圧倒的に楽になる。キャプチャしたポケモンは、そのエリア内では主人公と行動をともにする、なかまポケモンになるのだ。最初はパートナーポケモンを含めて5匹しか連れて歩けないが、主人公のレンジャークラスがあがれば一度に連れて歩けるポケモンの数も増えていく。規定以上のポケモンをキャプチャした場合、誰か1匹をリリースしなくてはならなくなるので、なかまポケモンの能力であるポケアシストは、別のポケモンをキャプチャするために、どんどん使っていったほうがいい。
ポケアシストにはグループごとに特色がある。たとえばグループ「くさ」なら「スタイラーでラインをひいたところに草が生えてポケモンの動きを封じる」という能力を発揮する。草にからまって動けなくなっているポケモンを一気にグルグル囲むことで、素早いポケモンも楽々キャプチャができるというわけだ。
ただ注意したいのは、このポケアシストにはポケットモンスターシリーズと同様に“相性”がある、ということ。つまりグループ「いわ」のポケモンには「ほのお」のポケアシストはほとんど効かないが「みず」のポケアシストは効果てきめん、というように、繰り出すポケアシストをよく考える必要があるのだ。このあたりは従来のポケモンファンにとってうれしいポイントだと思う。もちろんそういった相性を考えなくてもある程度は進めるが、知っているほうが面白いし、キャプチャを有利に展開することができる。いろいろなポケアシストを試してみて、相性がよいか調べてみよう。
また、なかまポケモンの便利な能力はキャプチャだけにとどまらない。フィールド上の障害を乗り越える際に、どうしてもポケモンの力を借りなくてはならない局面が出てくるのだ。例えば大きな倒木が行く手をはばんでいる。倒木を調べると炎のアイコンが2つついている。この場合グループ「ほのお」のポケモンでほのおのアイコンを2つ持っているポケモンを探してこなくては、この先には進めない。いま進める場所を徹底的に探せば、必ずほのおのアイコンを持つポケモンを見つけることができる。そのポケモンをキャプチャして倒木のところに連れていき、「フィールドわざ」を使えば、めでたく障害物を取り除くことができる。(これを「ターゲットクリア」と言う)。
そうやって、あらゆるところでキャプチャしたポケモンの能力を借りることになる。能力を使ったポケモンはその場でリリースされてしまうのだが、元いた場所に戻っていることもあるので、必要であればまたキャプチャすればいい。
この出会いと別れの繰り返しで、プレイは進んでいく。そのエリアにいるポケモンはちゃんとエリア内に返す、というポケモントレーナーとは全く異なるスタンスが新鮮で面白い。先に進むためにどのポケモンをなかまにすればいいか、と考える必要があり、中盤以降はフィールド上に仕掛けがあることもあるので、そういったところでも思考型プレイが要求される。とは言っても、基本的にそんなに難しくはないので、楽しんで思考することができるだろう。
あっさりしている側面も……。だが新たなポケモンワールドの軸として注目すべき作品
キャプチャとポケアシストを駆使しながらレンジャー生活を始めた主人公は、やがて大きな陰謀に巻き込まれていく。本作での敵集団は「ゴーゴー団」という新手の悪の組織だ。「正義の心がなくてもポケモンをキャプチャできるスタイラー」を開発しようとやっきになっていて、その先にはポケモンを道具として使い、あれやこれやのわるだくみをやらかそうという計画があるようだ。最初は付近の住民のお願いを聞いたりする地味なミッションが続くが、いつしか主人公はゴーゴー団に立ち向かっていくことになる。
このあたりのストーリーはシンプルで分かりやすいし、1つ1つミッションをクリアしてレンジャークラスをあげていく、というシステムも同様だ。ただ、クリアまでのボリュームを考えると、ポケットモンスターシリーズよりもあっさりしていて、その点に物足らなさを感じてしまう人もいるかもしれない。また、ポケットモンスターシリーズに用意されている“通信”という面でも本作はけっこう淡白だ。基本的には1人用であり、通信によって友人とデータを交換するといった機能がない。ほかのNDSソフトにあるように、2人での協力プレイといったミッションがあれば、より楽しくなったと思うのだが。
しかし本作のシステムである、タッチペンを使ったキャプチャの面白さをぜひ味わってほしいと思う。ポケットモンスターシリーズ最新作となる「ポケットモンスター ダイヤモンド」、「ポケットモンスター パール」はすでに発表されているが、発売はまだまだ先になりそうだ。ポケモンファンには、さっくりと遊べるポケモンレンジャーで、新たなポケモンワールドを体験してみることをオススメしたい。もちろんファンであれば今夏公開の映画も要チェックだ。筆者もWミッションをいまから心待ちにしていようと思う。
(C)1995-2006 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.
(C)2006 HAL Laboratory, Inc.
ポケモンは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
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