アドベンチャー+RPG≒ゲームブック「クレオパトラの魔宝」ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(1/2 ページ)

「クレオパトラの魔宝」は、アドベンチャーゲームの画面でプレイするRPGです。このタイプのゲームは少なく、家庭用ゲーム機ではほかに、ゲームボーイの「セレクション」、「ネコジャラ物語」(ケムコ)くらいだったでしょうか。

» 2006年06月13日 14時53分 公開
[ゲイムマン,ITmedia]

ファミコンのグラフィックVS実景

 今回取り上げるゲームは、1987年にスクウェア(DOG)から発売された、ファミコンディスクシステム用ソフト「クレオパトラの魔宝」だ。

 RPGとアドベンチャーを合わせたようなシステムを持つ。普通のRPGと同じように、モンスターを倒して経験値を稼いでレベルアップするのだが、画面構成はアドベンチャーゲームそのものだ。

 つまり、RPGの持つ“成長の楽しさ”と、アドベンチャーゲームの“大きなグラフィック”を両方楽しめる。

画像 湖畔にたたずむ古代の聖堂。対岸に、砂の塔が出現した場面

 この写真の場面は、「クレオパトラの魔宝」きっての美しい風景といえるが、これに似た風景を、どこかで見たことがあるなあと思った。

 記憶の糸をたぐって、その場所を思い出し、行ってみてゲームの風景と見比べてみることにした。

画像

 葛西臨海公園の展望台「クリスタルビュー」である。

 横長の箱型で、真ん中に入口がある外観。水辺に建つという立地場所が、「クレオパトラの魔宝」に出てくる湖の聖堂によく似ている。

 ただし惜しいことに、ここは湖畔ではなく海岸。また、湖の聖堂が古代の建物であるのに対し、クリスタルビューは1995年の建物で、見るからに新しい。

画像 「ダイヤと花の観覧車」から見ると、展望台と水辺との位置関係がよくわかる

 そもそも、「クレオパトラの魔宝」の舞台はエジプトである。梅雨入りした葛西では、しとしとと雨が降っていて、エジプトっぽさはあまり感じられなかった。

敵とは1対1で正面からぶつかり合う

 主人公・草野大介は、遺跡発掘中に悪霊に取りつかれてしまった父親を救うため、“イシスの涙”なるものを探して旅に出る。

 ゲームのスタート地点となる街は、ゲーム内でも「そんなに広くないみたい」と形容されるとおり、店が4軒あるほかは、特になんにもない街だ。

画像 みやげもの屋のお姉さん。彼女の欲しがっている首飾りが終盤、大きくストーリーに絡んでくる
画像 悪徳商人が襲ってきた! 肩に乗っけた猿を使って攻撃する。大介は武器を買うまで、敵への攻撃が一切できない

 序盤しばらくは、ここで追いはぎや悪徳商人らと戦って、経験値を稼ぐことになる。

 戦闘は、きわめて単純。使えるコマンドが「戦う」「持ち物使う」「逃げる」の3種類しかない。「持ち物使う」のコマンドを使う場面は限られているので、実質的には「戦う」か「逃げる」かしかないと言っていい。

 要するに単なる殴り合いなのだが、それでも意外におもしろかった。レベルが上がって、それまで逃げるしかなかった相手に、勝てるようになるのが楽しい。

 もっとも、レベルが上がっても、ヒットポイント(HP)が増えるだけで、新しい武器を手に入れるまで、戦闘はそれほど楽にならないのだが。

 「クレオパトラの魔宝」の独特な点は、何かコマンドを入力するたびに、敵が出現する可能性があることだ。画面内の何かを調べようとしたときや、持ち物を確認しようとしたときにも、戦闘になることがあるのだ。

 セーブしようとするときにも敵が出るかもしれない。HPに余裕のあるうちに、セーブしておくのが賢明といえる。

 移動時ももちろん同様だが、敵が出るのは移動後ではなく移動前。敵が立て続けに出現して、なかなか移動できないこともある。

 逆にこれを利用して、移動→キャンセルを繰り返すことで、経験値稼ぎができる。

短いけれども書き換えだと500円

画像 この先しばらくは敵が出てこない。謎解き中心のアドベンチャーパートだ

 道具屋で情報を入手すると、スフィンクスへ行けるようになる。

 スフィンクスの体内にある隠し部屋を見つけて、その後、女神の神殿、湖の聖堂でアイテムをゲット。

 聖堂のセベク神像の目に、女神の神殿で手に入れたメノウの玉をはめこむと、地響きと砂煙を上げて、対岸に砂の塔が現れる。


画像 女神たちは、いかにも怪しそうな物を持っている。もちろんアイテムとして使うのだが、後で女神の手には別のアイテムを載せることになる
画像 砂の塔内部にはモンスターがうろついている。かなり強いので、事前に街で十分に、レベルを上げておく必要がある

 砂の塔にも多くのアイテムがあるが、ナーガという敵がまもっているので、塔内でも経験値を稼がなくてはならない。ザコ敵にもトトやアヌビスという強敵がいて、最初は逃げるしかないのだが、レベルを上げて、新しい武器を手に入れれば、かなりまともに戦えるようになる。

画像 地下神殿は大きくはないが、左右がつながっているので迷いやすい。スケルトンが強敵というゲームも珍しい

 塔内で得たアイテムを、神殿の女神像に持たせると、最後の地下神殿へ行ける。

 そう、ここが最後の迷宮。

 つまり「クレオパトラの魔宝」で敵が出てくる場所は、街、砂の塔、地下神殿の3カ所しかないのだ。

 これは当時としても、短いゲームだったと思う。ディスクシステムの売りのひとつが、それまでのROMカートリッジの、3倍のデータ容量があるということだった。

 その容量をグラフィックや、敵キャラのアニメーション(すべての敵キャラが動く)に注ぎ込んだところが、「ウィル」の頃からキャラクターの動きにこだわってきたスクウェアらしいといえる。

 もっとも、短いゲームが即、悪いゲームというわけではない。

 ディスクシステムのもうひとつの売りは、ソフトが安いことである。

 「クレオパトラの魔宝」の価格は、3300円。これでもカートリッジのソフトよりは安いが、ほかのゲームのディスクを、店頭のディスクライターで書き換えた場合、わずか500円で「クレオパトラの魔宝」がプレイできるのだ。

 500円といえば、当時のゲームブックくらいの値段だ。ディスクの書き換えというシステムにより、ゲームブック並みに短いゲームを、安い値段で配信することが可能だった。

 実際、「クレオパトラの魔宝」をプレイしていると、当時のゲームブックに似た感じがする。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/04/news038.jpg 米津玄師、紅白で“205万円衣装”着用? 星野源“1270万円ネックレス”も話題…… 「凄いお値段」「びっくりした」
  2. /nl/articles/2501/04/news025.jpg サバの腹に「アニサキス発見ライト」を当てたら……? 衝撃の結果に「ゾワっとした」「泣きそう」と悲鳴 その後の展開を聞いた
  3. /nl/articles/2501/03/news057.jpg 「箱根駅伝」10区ランナー、“父親が大物アーティスト”と判明し「息子が走ってたなんて」「イケメン息子」と驚きの声
  4. /nl/articles/2501/02/news034.jpg 「脳がバグる」 ←昼間の夫婦の姿 夜の夫婦の姿→ あまりの激変ぶりと騙される姿に「三度見くらいした……」「まさか」
  5. /nl/articles/2501/03/news005.jpg 「妹が入学式に着るワンピース作ってみた!」→こだわり満載の完成品に「すごすぎて意味わからない」と大反響 2024年に読まれたハンドメイド記事トップ5
  6. /nl/articles/2501/01/news001.jpg 【今日の難読漢字】「手水」←何と読む?
  7. /nl/articles/2501/03/news004.jpg 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後……「時間止まってる?」父子の姿に驚愕 2024年に読まれた家族記事トップ5
  8. /nl/articles/2501/04/news004.jpg 高校生息子にリクエストされたお弁当を作ったら……驚きの仕上がりに「うらやましい」 2024年ねとらぼで読まれた【お弁当記事トップ5】を紹介
  9. /nl/articles/2501/03/news012.jpg 小さなカエルを大事に育て、たった1年後…… 娘が「こわい!」と逃げ出すレベルの“ヤバい成長”に「デカすぎやろ」「僕でも怖いわ」
  10. /nl/articles/2501/03/news007.jpg 考え方も性格も“正反対”の2人が結婚→それから13年後…… 苦楽をともにした“現在の姿”に反響 「素敵ですね」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  2. 大谷翔平、妻・真美子さん妊娠公表→エコー写真に“まさかの勘違い” 「デコピン妊娠?」「どう見てもデコピンで草」
  3. 「すごい漢字!」 YouTuberゆたぼん、運転免許証公開 「本名の漢字」に衝撃の声続々
  4. 「麻央さんにそっくり……」 市川團十郎の11歳息子・勸玄の成長ぶりに驚きの声 「大きくなってる!」「すでに貫禄がある」
  5. チェジュ航空社長、日本語で謝罪 犠牲者は170人以上との報道 公式サイトは通常のオレンジからブラックに
  6. 「スマホ入荷しました」 ハードオフ店舗がお知らせ→まさかの正体に大横転 「草しか生えない」
  7. 母「昔は数十人もの男性の誘いを断った」→娘は信じられなかったが…… 当時の“想像を超える姿”が2800万再生「これは驚いた」【海外】
  8. 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  9. 「思わず泣きそう」 シャトレーゼの“129円クリスマスケーキ”に衝撃 「すごすぎない!?」「このご時世に……」
  10. 「デコピンを抱き寄せたのはもしかして」 妻・真美子さん第1子妊娠発表で大谷翔平の発言と行動に再注目 「“もう帰る?”は気遣っていたのかも」
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」