日本中を“波紋”に巻き込め――「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド共同プロジェクト」記者発表会(2/2 ページ)

» 2006年09月13日 20時36分 公開
[加藤亘,ITmedia]
前のページへ 1|2       

荒木氏と羽山氏、スピードワゴンのトークセッション

 トークセッションでは原作者の荒木飛呂彦氏と映画監督の羽山淳一氏、そしてお笑いコンビのスピードワゴン(井戸田潤さん、小沢一敬さん)がディープなジョジョ話に華を咲かせる。特に大の荒木作品ファンと公言する小沢さんは、荒木氏に会えたことで舞い上がるほど。次々に作品のことについて質問が飛ぶ。

 25周年を迎えることに質問されると荒木氏は「25年はあっという間で、ジョジョも20年書いていると他人の作品みたい。キャラクターも忘れてしまったものも多く、今ここで書いてくれと言われるのが一番困る」と、ファン代表の小沢さんを困らせる。

 デビュー当時のことを振り返る。荒木氏が手塚賞を取ると、その賞状をその場で丸めたという真偽のほどは分からない伝説についてや、スピードワゴンのコンビ名の由来にもなったキャラクターに触れ、その言葉使いが気に入ったことと、街のチンピラという設定に憧れたと小沢さんが熱く語る。

 キャラクターやスタンドの名前をバンド名や曲名から引用することが多いジョジョでは、好き嫌いではなく、そのキャラクターの能力や性格、生き様に則して命名しているとのこと。とはいえ、ジョナサン・ジョースターのように、ネタを考えていたのがファミレスのジョナサンだったから命名したという勢いのものもあるとか。

執筆活動25周年を迎える荒木飛呂彦氏も緊張していた様子

 荒木氏は“人間賛歌”をテーマに作品を描いているため、悪人だろうが善人だろうが、同じ人間としての生き様を同等に扱いたいという思いがあるのだとか。人間を肯定することで、悪人にも善人にも言い分があり、そんな“人間”を描くことが漫画家として面白いのだと語る。

 ジョジョが誕生したのも、肉体の追求に起因する。純粋に果たしてどんな“人間”が一番強いのだろうかという興味からジョジョは生まれたのだそうだ。肉体の追求は特徴的なポージングにも活かされている。荒木作品では独特な擬音とともにありえないポーズをキャラクターに取らせる。現実にはありえない構図を追求してのことだが、「ありえない構図のはずなのに、最近マネしようとする人がいるんですよね」と荒木氏が笑う。


 ジョジョは当初から3部構成で考えていたと荒木氏。しかし、第3部「スターダストクルセイダース」の構想を練っているうちに、潜んで待ちかまえるタイプのスタンドが余ってしまい、それを街に根付かせるアイディアを思いつき第4部が誕生したと語る。荒木氏も好きなキャラクターを東方仗助と答えるほど愛着があるようで、その想いが伝わっていたのか小沢さんも第4部「ダイヤモンドは砕けない」がお気に入りとのこと。小沢さん曰く、一番エンターテインメントしているのが第4部だそうだ。しかし、小沢さんが好きなキャラクターは第5部「黄金の風」のジョルノ・ジョバァーナだったりする。

 ジョジョの世界では最後の敵が“時間”を操る能力を持つことが多い。そのことに触れると、やはり荒木氏の中では時間を扱うキャラが一番強いと思っており、主人公たちがどうやったら勝てるのか分からないから、必然的にそうなるのだと説明する。事実、第4部の最後の敵となる吉良吉影戦では、荒木氏自身、書いていて吉良には勝てないと思っていたと明かす。荒木氏はシリーズの最初と終わりはある程度想定して書き始めるそうだが、この時ばかりは主人公が負けてしまうと諦めかけたとか。キャラクターやストーリーが作家の意思とは違う動きをすることもあるという例だ。荒木氏が吉良を身近な存在として好きになってしまったことも原因とも。

 羽山氏も劇場版を製作するにあたり何度も読み返し、考え抜き、なくなく好きなキャラクターの出番を減らしたりなくしたりすることがつらかったと語る。ファンの目線でファンが見たかったものを形にしたいと思っている羽山氏だが、スピードワゴンが時間の制約上劇場版では登場しないことを明かし、彼の登場を心待ちにしていたファンには心苦しいと謝罪する。なによりも名前の由来とした井戸田さんと小沢さんが残念がる。どうやら声優としての参加も狙っていた様子で、気をつかった荒木氏がワンチェンをオススメする場面も。なにかしらの役での参加を約束していたが、果たしてなんの役になるのかは調整してからとのこと。

フォトセッションではジョジョの“ありえないポーズ”に挑戦

 トークセッションは小沢さんがファンなだけにさまざまな話に飛ぶ。現在連載中の第7部「スティール・ボール・ラン」で登場する“遺体”が想像どおりの聖人のものであることや、その中でも好きなキャラクターはルーシーであること。荒木氏が第4部の岸辺露伴の元なのかなど、ファンにとっても興味深い話が多かった。

 最後にスピードワゴンの小沢さんが「実は正直、ジョジョを読んですごく後悔している」とこぼす。井戸田さんが慌てて「これから映画やゲームが出るのになんてこと言うんだ」と振ると「だってこんな素敵なマンガ読んだら、もう他のマンガ読めなくなるぜ」と締める。

 「あまーい!」

発表会ではゲームの最新テレビCMが3種類公開。“ダルマさんが転んだ”に合わせてポーズを決めるというクスリとくる内容となっている。これらは近日中に放映予定となっている
会場ロビーには貴重な原画が9点ほど並べられている。ゲームのパッケージになった原画も展示
同じく会場ロビーには、9月下旬発売予定のガシャポンHGIFシリーズフィギュア全5種(各200円)や8月に発売された超造型魂の「ジョジョ」第1弾全10種(各630円)が陳列

10月26日に発売予定のPS2「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」の試遊機も置かれており、招待されたファンなどがポージングを決め波紋を敵にぶち込んでいた
そんな「ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド」のスクリーンショットをさらに公開


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2406/23/news014.jpg 「やばすぎ」 ブックオフに10万円で売られていた“衝撃の商品”に仰天 「これもう文化財」「お宝すぎる」
  2. /nl/articles/2406/22/news028.jpg いつも遊びに来る野良猫がケガ→治療するもひどく威嚇され…… 「嫌われた」と思った翌日の光景に「涙が出ました」
  3. /nl/articles/2406/23/news022.jpg あずきバーに砲弾を撃ち込む様子が“そんなわけなさ過ぎる結果”で爆笑 ツッコミが不可避の投稿はどのように生まれたのか聞いてみた
  4. /nl/articles/2406/23/news012.jpg ママを後追いして号泣する赤ちゃんに、猫がまさかの行動を見せ…… あまりに尊い光景に「自分の子どもだと思ってるんですね」
  5. /nl/articles/2406/23/news017.jpg 抱っこで熟睡している赤ちゃん、ママの声が聞こえた瞬間……! 天使のような反応に泣けるほどの愛と幸せがつまっている
  6. /nl/articles/2406/04/news193.jpg リビングで“水のみ”使ってレタスを育てたら……? ぐんぐんと育ち大量に収穫する様子に「一生レタス買わなくていい」「やってみたい」の声
  7. /nl/articles/2405/19/news005.jpg 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  8. /nl/articles/2406/21/news008.jpg 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」
  9. /nl/articles/2406/21/news116.jpg 都知事選掲示板に“ほぼ全裸”ポスターが掲出で騒動に→アイドルが懸念示す 「300万円を考えると安いものなんでしょう」「真面目に頑張りたい人が可哀想」
  10. /nl/articles/2404/28/news005.jpg 「とんでもないものが売ってた」 ハードオフに“33万円”で売られていた「まさかの商品」に思わず仰天
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  2. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  3. 「え?」 “ごみだらけの道”を掃除したら…… あらわになった“まさかの正体”に世界中が驚き 「信じられない」【海外】
  4. 185センチ木村沙織、生放送で櫻坂46メンバーの横に立つと……朝8時51分に驚きの光景 「あれ? 子供が混じってる?」「親子すぎる」
  5. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  6. 【今日の計算】「8−8÷8+8」を計算せよ
  7. フジ「アンメット」、池脇千鶴のサプライス姿が激変しすぎて“最も衝撃” イメージ覆す“肉づきたるみ顔”に「わからんかった」「びっくりして夜中に声出た」
  8. 「これどうやって使うの?」→「考えた人マジ天才」 セリア新商品の便利な使い方に「これ100円でいいんですか!?」
  9. 「この子はきっと豆柴サイズ」と言われた子柴犬、4年たつと…… 衝撃のビフォーアフターに「愛情詰まりすぎてw」「爆笑しました」の声
  10. 飼い主のことが好きすぎる超大型犬、最後は勢い余って…… 直視できないレベルの一撃に「何回見ても笑っちゃう」「襲われてる人がいます!!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  2. 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  3. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  4. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は…… 斜め上のキュートな活用術に「超ナイスアイデア」「こういうの大好きだ!」
  8. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  9. JR東のネット銀行「JRE BANK」、申し込み殺到でメール遅延、初日分の申込受付を終了
  10. サーティワンが“よくばりフェス”の「カップの品切れ」謝罪…… 連日大人気で「予想を大幅に上回る販売」