あれれ? ちょっといつもと違う「聖剣伝説」――お約束もしっかりしてます:「聖剣伝説4」レビュー(1/2 ページ)
プレイステーションでは「聖剣伝説 LEGEND of MANA」以来となる聖剣シリーズの「聖剣伝説4」。前作から比べると、キャラクターや世界が3Dで表現されるなど、意欲的な変更が数多く加えられている。さて、どのように仕上がったのだろうか?
シリーズ4作目ではあるものの、PSハードでは「聖剣伝説 LEGEND of MANA」以来となるタイトル
聖剣伝説といえば、1作目がゲームボーイで発売され、その後も安定した人気を誇りながら現在まで続く、スクウェア・エニックスの看板タイトルの1つと言えるだろう。ストーリーを追いながら、アクションを駆使して敵を倒していくスタイルは、今作にも引き継がれている。
とはいえ、プレイステーション(以下、PS)から聖剣伝説に入ったユーザーの中には、前作が「聖剣伝説 LEGEND of MANA」(以下、「聖剣LOM」)で、今作が4というナンバリングになっているため、違和感を覚えた人もいるだろう。筆者もその1人で、PSで発売されていた「聖剣LOM」は、フリーシナリオ、しゃべらない主人公、移動と戦闘シーンが明確に分かれたシステム、ゴーレム育成などのやり込み要素、といった部分の印象が強く残っている。それと比べると、今作は純粋に1本のストーリーを追いかけるアクションということで、前作とはかぶらない部分も多い。それでも、共通するキーワードもあるため、プレイしていくうちに世界観になじんでいったのは事実だ。そういう意味では、PS版の「聖剣LOM」と同じ雰囲気を持っているといえるだろう。
アクションが多彩なので、体が覚えるまでは若干ながら苦労も
物語は、創世の時代より存在する大樹を信仰対象として崇める「樹の村」から始まる。平和に暮らす人々の元へ、突然氷の国ロリマーからの軍隊が押し寄せてきて、村を占領してしまう。主人公のエルディは、幼馴染みのリチアとともに、ロリマーの軍隊から村を守るため、守護聖獣が眠っていると言う樹の洞へと入っていく。
基本はアクションゲームのため、操作方法は若干ながら複雑。それを補うため、一番最初にプレイすることになる序章では、細かく操作方法を解説してくれる。ユニークなのは、その攻撃方法だろう。敵を攻撃する前に、マップのあちこちに落ちている“MONO”をぶつけることで、相手を驚かせることができるのだ。しかも、相手を驚かせた度合いが大きいほどに、パニックの時間が長くなっていく。その間に攻撃すれば、まったく反撃を受けないうちに倒すことが可能だ。逆に、直接攻撃に行くと、ほとんどの場合は手痛い反撃を受けてしまう。MONOは豊富に落ちているので、とにかく敵にぶつけまくることから戦いは始まる。
書いてあるのを見ると面倒なように感じるかもしれないが、まったくそんなことはない。各ステージともに目的地へ向かって進んでいくのだが、その道中に大量のMONOが落ちているので、これをぶつけまくるだけ。L1ボタンを押しながら攻撃ボタンで、落ちているMONOを向いている方向へと飛ばす。もちろん、この方法を使わずにL1ボタンで敵の攻撃をガード後、反撃に転じるのもありだ。ただし、普通に敵を倒してしまうとあまりメダルを出さないため、エルディが成長していかない。そのため、必然的にMONOを利用して敵をパニックに陥れ、その状態で倒していくことになる。するとダメージを受けた敵がメダルを出すので、それらを取り続けると、エルディのHPや攻撃力が少しずつ増加していく。それらが一定値を越えると、武器がレベルアップしてコンボの回数やアクションの種類が増えたりするのだ。
一度レベルが上がると、そのチャプター中はずっと上がったままになる。言い換えると、各章ごとにステータスがリセットされるような感じになるため、通常のRPGのようなインフレパラメータにならないようにできている。これに関しては賛否両論あるかもしれないが、個人的にはこの設定はありだと思うし、それだけに腕が問われるため、アクションゲーマーにとってはやりごたえある難易度に仕上がっていると感じられた。もちろん、それほどアクションが得意じゃないという人のために難易度“EASY”も用意されているので、誰もが安心してプレイできる。敵1匹ずつ、地道に時間をかけてパニックにしながら倒せば、確実にメダルが回収できてHPなどもアップするので、焦りさえしなければ大丈夫だろう。
どうしてもアクションが苦手……という人のためではないだろうけれど、遠距離から攻撃できるパチンコなどの武器もある。射程距離はかなり長く、初期装備のまんまる石を使う限りは弾数も無限大。これを使えば、時間はかかるが、よほどの強敵以外は近づかずに倒すことができるのだ。ただし、MONOで敵をパニックにしないとHPや攻撃力が上がらないので、後で苦しい戦いを強いられることになってしまう。慣れたら弱い敵で練習し、しっかりレベルアップを図っておきたい。
もう1つ、腕に仕込まれたムチで敵を捕まえ、引き寄せたり振り回すなどのアクションもとれる。これを使いこなせれば、かなり便利そうに思えるのだが、個人的には使い方が難しくて、ほとんどお世話にならなかった。敵を捕まえて振り回し別の敵に当てれば、MONOがなくても相手をパニックにできる便利なアクションなので、腕に余裕がある人はマスターしておきたい。
ここまで解説してきたアクションだが、それらの操作性は非常に良く、反応が鈍くてイライラを感じることはまったくなかった。中途半端に作られているアクションゲームの場合、なぜか指示通りにキャラが操作できなかったり、遅れて反応することが度々あるが、本作ではそんな心配は皆無。プレーヤーの操作が、ダイレクトにキャラへと伝わっているのが感じ取れた。逆に、操作ミスでダメージを受けるのは、そのほとんどがプレーヤーのテクニックに原因があるわけで、腕の奮いようがあるというもの。ここまでやる気にさせてくれるアクションゲームは、久しぶりだと感じた。ただ、取れる行動がバリエーション豊富なので、少々苦労するかもしれない。プレイを進めるうちに体が覚えてくれるので、それまでは若干ながら辛抱する必要はあるだろう。
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