自然を感じながらプレイする「ボクタイ」シリーズの最新作「ボクらの太陽 Django&Sabata」レビュー(1/2 ページ)

シリーズ4作目となる本作は、初のニンテンドーDS用タイトルとなり、ニンテンドーDSならではのゲーム性に磨きがかかった。上画面で刻々と変わる天候を味方につけて、ダンジョンを攻略せよ!

» 2007年02月09日 00時00分 公開
[立花裕壱,ITmedia]
画像 ニンテンドーDSとゲームボーイアドバンスソフトを同時に本体に差すと太陽光センサーが使えるほか、ショップで買えるアイテムが増えるなどさまざまな特典がある

 2003年にゲームボーイアドバンスソフトとして発売された「ボクらの太陽」(以下、ボクタイ)に筆者は度肝を抜かれた。太陽光を実際にカートリッジに当て、ゲーム中のエナジーをチャージする。発想自体も斬新だが、そこに強いメッセージ性を感じた。晴れの日もあれば雨の日もある。刻々と変わる自然を肌で感じながらゲームをしてほしい……。そんな想いを込められたソフトは今まで決してなかっただろう。

 制作したのは、「メタルギアソリッド」でおなじみの小島秀夫監督率いるクリエイター集団・小島組(現在の小島プロダクション)。小島プロダクションの作品は、いつも既存のゲームの枠を破ろうとする力に満ちている。まさにボクタイも象徴的な1本だろう。

 その後、同コンセプトで「続・ボクらの太陽 太陽少年ジャンゴ」(2004年)、「新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ」(2005年)と1年に1本ずつ続編が出ている。

 今書いたように、ボクタイというと、とかく太陽光を使うシステムだけが注目されがちだが、独特の世界観とよく練られたゲーム性も忘れてはならない。闇の一族イモータルと太陽少年が対立するスケールが大きい物語に、やり込み度の高いアクションがマッチする。単純に、太陽光を使うアイディア先行ではシリーズは続かず単発に終わっていただろう。

画像 今回は上下2画面構成。上画面の気候シミュレータ「ギジタイ」をチェックしながらゲームを進めよう。温度や湿度までも表示されるのだ

 今回の「ボクらの太陽 Django&Sabata」(以下、「ボクタイDS」)は、シリーズ初となるニンテンドーDS作品。太陽光を感知するセンサーはなくなったが、その分、“気候”をキーワードにしたゲーム性が新しい。上画面には気候シミュレータ「ギジタイ」が表示され、15分に1度、昼から夜へ切り替わる。しかも、晴れ、曇り、雨と天気も変わるのだ。このギジタイを上手に利用するのが今回の大きな要素だ。太陽光センサーがなくなったとはいえ、自然を感じるゲーム性はしっかりと残っている。

 あとで詳しく書くが、小島プロダクションらしく、サービス精神も旺盛だ。ボス戦後のシューティングや、ロックマンシリーズの最新作「流星のロックマン」とのコラボ……。プレイヤーに目一杯楽しんでもらおうという気持ちが随所に感じられる。

リニューアルされた世界観

 気になる舞台は、前作の“世紀末世界”の設定を一部引き継ぎつつも、主人公の仇敵ヴァンパイアの一族がパワーアップしてしまった“星紀末世界”へと移行した。太陽も外部からコントロール可能なギジタイに代わり、体質を強化する「棺桶スーツ」に身を包んだヴァンパイアは、行動の自由を獲得しているという、相変わらずオリジナリティのある設定だ。

画像 ゲームは全6章。1章ではこのサバタを操って辺境伯ライマーの館へ侵入する。人を助けることにはまったく興味がない謎めいた黒衣の剣士、サバタ。その過去とは?

――伝承の時代から人々を脅かすヴァンパイアたち。ついには太陽の力をも克服し、地球は明けることのない夜の闇に包まれた。ヴァンパイアの支配を受け入れた人々は、首輪をつけられ、血液を搾り取られて奴隷のように生きるしかない。暗黒と絶望の時代が到来した。

 そんな中、人間狩りを好む残忍な辺境伯ライマーの館に侵入する1人の少年、サバタがいた。暗黒の剣を手に、お供の闇の精霊を連れたサバタは、ギルドの女戦士ビーティーに言い放つ。「オレの前に立ちはだかろうというのなら、何者であろうとたたきつぶすだけだ」と……。

 一方、ヴァンパイアへの抵抗運動を続けるギルドには、心に太陽を宿した少年ジャンゴがいた。伝説の戦士トリニティの息子であるジャンゴは、ギルドがヴァンパイアの手の者に襲撃されたとき、真の力に目覚めた。

 やがてジャンゴとサバタはクリアカン旧市街の酒場で出会う。2人は協力して戦うことに……。

 過去3作と主人公の名前は一緒だが、今回はまったくの別人。2人のキャラクターを紹介しよう。

ジャンゴ

 ヴァンパイアに抵抗する組織「ギルド」の見習い銃士。無鉄砲で行動的。戦いの経験は乏しいが、光の星霊獣オテンコさまに導かれ、ゲーム冒頭で秘めた力を発揮する。正義感にあふれた元気少年。

サバタ

 暗黒の力を帯びた大剣を振るい、月の光を力とする眼帯の少年。ヴァンパイア狩りに執念を燃やす。相棒の黒猫ネロにしか心を許さない一匹狼だったが、太陽銃を使えるようになったばかりのジャンゴと出会い、女戦士ビーティーに無理やりコンビを組まされてしまう。

 太陽の少年と暗黒の少年、これまでの双子という設定もなくなって、新鮮なイメージが生まれた。赤い服を身にまとった熱血少年ジャンゴと、黒いコートを翻すニヒルなサバタの2人の対比が、ストーリーに厚みを生んでいる。反ヴァンパイアという点ではどちらも同じだが、アプローチも考え方もまったく違う。それでも2人いなければ、目的は成し遂げられない。昼と夜の両方が揃って初めて1日が成り立つのと同様だ。キャラクターの背景などはもう少し描き込まれていてもよかったが、暗くて大人びた過去作に対して、アニメ的で明るい新しいボクタイ像を作り出すのに成功している。

画像 サバタとジャンゴが合流する3章以降は、2人を切り替えてアクションに挑む。「ボクタイDS」ではサバタのほうが年上という設定
画像画像 メイドの“カーミラ”や、“ひまわり娘”アリスなど、前3作と関連する名前のキャラクターも登場する。予備知識がなくても遊べるが、ファンならシリーズのつながりを類推するのも楽しいだろう
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/24/news092.jpg 「バグってる」 シャトレーゼの“864円で買える”「1人用クリスマスケーキ」に大絶賛の声 「企業努力すごい」
  2. /nl/articles/2412/24/news037.jpg 毛糸で作ったお花を200個つなげると…… “圧巻の防寒アイテム”完成に「なにこれ作りたい……!!」「美しすぎる!」と100万再生【海外】
  3. /nl/articles/2412/23/news157.jpg 【編み物】黄色の毛糸で5つの四角いパターンを編み、つなげると…… 鮮やかな大作の完成に驚き
  4. /nl/articles/2412/24/news089.jpg 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」【大谷翔平激動の2024年 愛犬もすっかり“大スター”に】
  5. /nl/articles/2412/23/news078.jpg そば屋の看板のはずが…… 雪で“別の店”みたいになってしまった光景が北海道の豪雪のすさまじさを物語る
  6. /nl/articles/2412/19/news140.jpg 甥っ子に貸したらボロボロの廃車で返ってきたリトルカブ バイク好きの本気修理と“思い”に「なんか涙出ちゃう」「思わず全部観てしまった」
  7. /nl/articles/2412/22/news047.jpg 刺しゅう糸を20時間編んで、完成したのは…… ふんわり繊細な“芸術品”へ「ときめきやばい」「美しすぎる!」
  8. /nl/articles/2412/24/news042.jpg 絵師が4年間イラストを描き続けたら…… 劇的な成長に思わず感動 「努力の賜物」「素晴らしい」
  9. /nl/articles/2412/23/news002.jpg 【今日の難読漢字】「勿忘草」←何と読む?
  10. /nl/articles/2412/24/news010.jpg 酔った彼女に花束を渡してみたら…… まさかの行動が660万表示「躍動感エグいwww」「ずっと待ってたんだよ、きっと」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. 新1000円札を300枚両替→よく見たら…… 激レアな“不良品”に驚がく 「初めて見た」「こんなのあるんだ」
  3. 家の壁に“ポケモン”を描きはじめて、半年後…… ついに完成した“愛あふれる作品”に「最高」と反響
  4. 「庶民的すぎる」「明日買おう」 大谷翔平の妻・真美子さんが客席で食べていた? 「のど飴」が話題に【大谷翔平激動の2024年 「お菓子」にも注目集まる】
  5. 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  6. “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  7. 「バグってる」 シャトレーゼの“864円で買える”「1人用クリスマスケーキ」に大絶賛の声 「企業努力すごい」
  8. 「昔モテた」と言い張るパパ→信じていない娘だったが…… 当時の“驚きの姿”が2900万再生「おおっ!」「マジかよ」【海外】
  9. トイレットペーパーの芯を毛糸でぐるっと埋めていくと…… 冬に大活躍しそうなアイテムが完成「編んでるのかと思いきや」【海外】
  10. “月収4桁万円の社長夫人”ママモデル、月々の住宅ローン支払額が「収入えぐ」と驚異的! “2億円豪邸”のルームツアーに驚きの声も「凄いしか言えない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」