びんちょうタンから、小さな幸せをおすそ分けしてもらいました:「びんちょうタン しあわせ暦」レビュー(2/2 ページ)
友達を増やして幸せな生活を!
朝パートの後は、一日の行動(といっても、大抵はお昼近くになってしまうのだが)を選択する。今まで出会った友達と遊ぶか、1人で遊ぶか、仕事するか、プカシューを見に行くか……という感じだ。最初は選択肢が限られるが、ゲーム中で友達と出会うにつれて増えていく。
選択肢を選ぶと、対象のキャラクターとのイベントが発生し、そのキャラクターとの好感度が上昇する。現在の好感度は、セレクトボタンで確認可能だ。一定まで好感度を上昇させると、新たなイベントが発生し、好感度を最大まで上げて1年を終えると、そのキャラクターとのエンディングを迎えられるというわけだ。
ゲーム序盤は知り合いがいないため、付近を探索して(といってもびんちょうタンが勝手にウロウロするのだが)お友達と知り合うこととなる。このあたりのイベントも、びんちょうタンらしさが満載でファンは楽しめる。例えばクヌギたんとは、雨が降る町で出会う。フキの傘をさして歩いていたびんちょうタンだが、クヌギたんが乗る馬車に泥水をかけられ、さらに転んでしまって泥だらけになってしまうのだ。ファンはこの時点で涙腺がゆるみっぱなしなのだが、その後クヌギたんの家で泥を落とさせてもらい、友達になる……という心温まるエピソードが描かれる。
仕事でのエピソードも紹介しよう。びんちょうタンは荷物を配達をする仕事を受けるが、配達途中にケガをした小鳥を見つけてしまう。びんちょうタンは小鳥を介抱するが、そのせいで時間内に届けられなくなってしまうのだ。雇い主から、次回からは気をつけてくれと注意されるのだが、責任を感じたのか「給料は受け取れません」と帰ってしまうびんちょうタン……。このように、全体的に涙がちょちょぎれるイベントがてんこ盛りなのだ。
これらのイベント後は、一日が終わるまで散歩を楽しめる。探索中にリンゴや花など、さまざまなものを見つけた場合、それらをクリックすると、対応するアクションを楽しめる。例えばリンゴを見つけたなら、カーソルでクリックすると、びんちょうタンがリンゴに気づいて拾って食べる、といった感じだ。このリンゴの場合は、ゲーム的には、びんちょうタンの体力が少し回復するというメリットもある。
ちなみに、プレーヤーは“画面を揺らす”ことも可能だ。画面を揺らすと、例えば木になっているリンゴが落ちてきて、びんちょうタンが拾えるようになる……という感じ。場面によっては、隠されたアイテムが落下してきたりすることもある。ただし、画面を揺らすたびにびんちょうタンまで揺れてしまい、体力が減少してしまうので、やみくもに使うのは控えたいところだ。
季節ごとのイベントはちょっと難しいかも
本作にはさまざまなイベントが用意されており、その数はなんと160種類以上にも及ぶ。本作では、そんなイベントのほか、各季節ごとに発生する季節イベントもある。これは、びんちょうタンの友達が、ひな祭りや大運動会など、その季節にちなんだイベントに誘ってくるというものだ。例えばひな祭りならば、「びんちょうタンは折り紙と山菜を集めてきてね」などと条件を出されるので、季節の最後となる4日までにこの条件を満たす必要がある。
うまく条件を満たせれば、成功イベントが開催され、びんちょうタンたちがイベントを楽しむ姿を楽しめる。専用の一枚絵も表示されるため、ファンならば確実に成功させたいところだ。ただし、条件を満たせなかった場合は、失敗イベントという悲しい結末を迎えることとなる。例えばひな祭りの場合は、ちくタンのおじいちゃんがカゼをひいてしまい、ひな祭りが中止になってしまうのだ。うちひしがれるびんちょうタンを見るのは大変ツライので、ぜひとも成功させたいのがファンの心理だろう。
なお、イベントを成功させる条件は結構難しいように感じた。必要なアイテムをどこで入手できるか、というヒントは少なく、またびんちょうタンを操作できるわけでもないためだ。何度もプレイし、正解ルートを見つけ出すプレイスタイルとなるだろう。
びんちょうタンにTVを買ってあげたが……
本作では、TVや座椅子といったアイテムを購入することも可能だ。これらのアイテムは、あしながポイントを消費して入手できる。購入したアイテムは、メニューで使用すると画面に置かれるので、それをクリックしてびんちょうタンに使わせる、という仕組みだ。
体力を回復させるおまんじゅうなどゲーム的にメリットがあるアイテムもいいが、ファンとしてはやはりTVを購入したいところ。普段は電気屋さんの店頭でプカシューのアニメを見ているびんちょうタンだが、自宅にTVさえあれば、いつでもプカシューのアニメを楽しめることだろう。必要ポイントは100となかなか効果だが、びんちょうタンが幸せになるならば……と購入してみた。
せっかく買ったのに使用できる場所がわからない、というトラブルがあったものの(どうやら設置系のアイテムは、びんちょうたんが散歩中に寝室に戻ってきた場合に使えるようだ)、なんとか無事に設置完了。これで喜ぶびんちょうタンが見られる……! とTVをカーソルでクリックしてみたものの、なぜかTVは映らない。びんちょうタンもTVをちょこちょこ触っては見るものの、映らないとわかってか、ちょっとうなだれてしまう。楽しむ姿が見たかったのに、かえって悲しませる結果になってしまったではないか……!! このままでは残念すぎるので、TVをなんとかして移すことが、筆者の目下の目標になってしまった。コレ、映すことができるんですかね?
ワンプレイは結構短いが……?
本作は、プレーヤーが鑑賞できる部分がかなり少なく、また各種イベント以外は同じような行動の繰り返しになることが多い。加えて、びんちょうタン自体の設定や生活が涙を誘うため、原作を知らない人がプレイしてもあまり楽しめないだろうというのが、筆者の率直な感想だ。
反面、原作のファンであれば、そのキャラクターの愛らしいアクションに一喜一憂できるだろうし、間接的にではあるが、びんちょうタンを幸せにすることもできる。これこそ、本作が持つ最大の魅力ではなかろうか。普段は銃を撃ちまくったり、レースで爆走したり、ビーチバレーを楽しんだりするヘビーゲーマーよりの筆者だが、実は隠れびんちょうタンファンでもあるため、本作は素直に楽しむことができた。
というわけで、びんちょうタンを幸せにしたいファンには、ぜひともお勧めしたい1本の本作。原作を知らない人ならば、まずは原作に触れて興味を持った後で、改めて本作をプレイしていただきたい。
(C)2006 Marvelous Interactive Inc.
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