ニンテンドーDSでよみがえった王道RPGは、やっぱり王道を行っていた「ヘラクレスの栄光 魂の証明」レビュー(1/3 ページ)

「ヘラクレスの栄光」と聞いて、さまざまな思い出が頭によぎる人もいるだろう。ファミコン時代からスーパーファミコン時代まで、本格RPGとして名を馳せたあの「ヘラクレスの栄光」が、長い時を経て帰ってきた! DSで生まれ変わったギリシャ神話の世界をどうぞっ。

» 2008年06月05日 00時00分 公開
[仗桐安,ITmedia]

14年ぶりにDSで“栄光”を手にした“ヘラクレス”

画像

 「ヘラクレスの栄光」……。このタイトルを聞いて「うわ、懐かしい」と思ったファミコン世代の人、手を挙げて! ハイ!

 というわけで、筆者もファミコン世代の1人として「ヘラクレスの栄光」という名前に「お! 新作出るの?」と反応してしまった人間だ。

 「ヘラクレスの栄光」シリーズは、ファミリーコンピュータで「ドラゴンクエスト」が1986年5月に発売され、RPGというジャンルが広く認知されはじめたころに登場した本格的RPG。1987年6月にデータイーストから発売された1作目「闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光」は、「ドラゴンクエスト」の約1年後、「ファイナルファンタジー」(1987年12月発売)の約半年前にリリースされている。まさにファミコンにおけるRPG群雄割拠の時代に生まれた1作だと言っていいだろう。

 当時「ドラゴンクエスト」でRPGの面白さを知った筆者は、この「闘人魔境伝 ヘラクレスの栄光」にも手をつけ、その神話っぽい雰囲気を楽しんだものだ。各武器、防具に“耐久力”があり、使えば使うほど疲弊する(鍛冶屋に行けば直してもらえる)というシステムは、子供心に「リアルだなぁ」と思い、夢中になって遊んだのを今でも覚えている。

 その後の「ヘラクレスの栄光」シリーズは、「ヘラクレスの栄光II タイタンの滅亡」(ファミリーコンピュータ)、「ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙」(スーパーファミコン)、 「ヘラクレスの栄光 動き出した神々」(ゲームボーイ)、「ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物」(スーパーファミコン)と、続々リリースされている。タイトルに“ヘラクレス”とあるように、ギリシャ神話をモチーフにした幻想的な世界観が特徴のRPGシリーズだ。

画像 ギリシャ神話の世界で、熱い戦いがふたたび始まる

 当時はそこそこ人気があったように思うが、「ヘラクレスの栄光IV 神々からの贈り物」以降まったく新作は発売されず、2003年には残念なことにデータイーストが破産宣言をして会社がなくなってしまった。もはや「ヘラクレスの栄光」シリーズの新作は出ないのか……と思いきや、データイーストの知的所有権の一部はパオンに引き継がれ、14年ぶりに「ヘラクレスの栄光」シリーズの新作が世に出ることになった。それが本作「ヘラクレスの栄光 魂の証明」だ。

 ニンテンドーDSでよみがえった「ヘラクレスの栄光」は、パオンが開発を手がけ、任天堂から発売された。ファミコン時代から「ヘラクレスの栄光」を知っている人間としては任天堂から「ヘラクレスの栄光」が出る、というのは何だか不思議な感覚だが、とにもかくにも「ヘラクレスの栄光」祝・復活! なのである。

豊かな演出で描かれるギリシャ神話の世界で、オリンポスを目指せ

 本作の世界観は前述の通り、ギリシャ神話をモチーフにしている。オリンポスの神々が世界を統治していた時代を描く、一大ファンタジー絵巻だ。

 プレイヤーキャラである主人公が、記憶を失って海岸に倒れているところから物語は始まる。高いところから何度落ちても死なない主人公は、どうやら“不死”の能力を持っているらしい。同じく不死の能力を持つ少年(?)ロコスと出会った主人公は、ロコスとともに自分は何者なのかを探す旅に出ることになる。

 冒頭に出会う妖精たちからは「英雄ヘラクレス」と呼ばれる主人公だが、冒険の中で自らに名前をつけ(序盤のあるタイミングで、主人公にはヘラクレス以外の名前を自由につけることができる)、オリンポスを目指す旅に出る。美形の青年シュキオン、頼りになるガズス船長、豪快で陽気なヘラクレス(自分をヘラクレスだと名乗る謎の男)、事故に巻き込まれ記憶をなくした少女エリスなど個性豊かな仲間たちと出会いながら、主人公は成長していく。

 果たして主人公は本当にヘラクレスなのか。なぜ不死の能力を持っているのか。エリスの消えた記憶には何が隠されているのか。そして倒すべき真の敵は誰なのか――。壮大な神話の世界を舞台に、謎多き物語を楽しむことができる。

画像 仲間はひとくせもふたくせもあるキャラばかり。それぞれ何か秘密をかかえているようだ
画像画像 街の人たちとの会話から次に進むべき道が分かる。情報収集が大事なのは往年のRPG同様だ

 本作のグラフィックは基本的に3Dポリゴンで、街やダンジョンの中はクォータービュー(斜め上からの視点)で描かれている。街の中では、LボタンやRボタンで視点を横回転させることができ、臨場感を感じることができるようになっている。

 グラフィックのクオリティに関しては、ニンテンドーDSというのを考慮に入れても若干粗いと言わざるを得ないが、会話のたびにアイコンで感情を表したり、細かい動きをするキャラたちは、生き生きと描写されていると言っていい。戦闘中に回復行動をとると、回復役「がんばって」、回復されたキャラ「ありがとよ」などというセリフのやりとりがあったり、ボス戦終盤になると「かなり効いてますよ。もう一息です!」と仲間のキャラが発言するという演出も、豊かなキャラ造形につながっている。レベルアップ時に「やったー!」とか「ふふふ」など、キャラの性格にあった一言リアクションをとるのも、愛嬌があって好印象だ。

画像画像 戦闘中によくしゃべる仲間たち。戦闘中のセリフでいっそうキャラに感情移入できるはずだ
画像 頭上や顔の周りにいろんなアイコンが出ることで、感情を豊かに表現している

画像 戦闘中の音楽がいいというのは、RPGにとってはポイント高いっすよね

 また、本作において一際秀逸なのが、BGMなどの音楽の数々だ。移動中、戦闘中、それぞれに雰囲気を盛り上げる音楽がかかり、確実にプレイヤーのテンションを上げる手助けをしてくれている。電車の中など屋外でプレイする際は音なしでプレイすることも多いかもしれないが、本作に関して言えば、ぜひイヤフォンなどをつけて音ありでやってほしいところだ。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」