1998年12月28日

1998年を振り替える

ゲーム業界10大ニュース

SOFTBANK GAMESがインターネット上でデビューした今年,ゲーム業界も色んなことがありました

1位.セガ,Dreamcast発売
今年のゲーム業界最大の話題は,セガ・エンタープライゼスの新コンシューマー機「Dreamcast」の発売につきる。  コンシューマーゲーム機として,初めてモデムを標準搭載してインターネット対応を唄ったほか,開発が容易(とされている)Windows OSの採用など,「だれもが待ち望んだ」機能を持つ。実際にDreamcastの発売からわずか1カ月で,インターネット人口が10万人も増えたことは注目できる。
 さらに実在の専務を前面に使った自虐的TVCFシリーズや,「Dの食卓」「ソニック」など一般ユーザーも1万人以上招待する新しい形態の発表会も話題となった。

2位.携帯ゲーム機戦争
「ポケットモンスター」で息を吹き返したゲームボーイが,今年ついにカラーになった。発売日には,どのゲームショップの店頭にも「ゲームボーイカラー売り切れました」の張り紙が出るほどの人気。
 さらにエス・エヌ・ケイは,同社の人気アーケードゲームの移植などを武器とした携帯機「ネオジオ・ポケット」を発売。Dreamcastとの連携も明らかにされ,注目を集めた。
 バンダイも秋のゲームショウ直前に,「ワンダースワン」を発表。その洒落たデザインと充実したソフトのラインアップを引っさげ,来春の発売を目指す。
 ほかにも,ゲームデータをセーブするメモリにゲーム機能をも持たせた,セガの「ビジュアルメモリ」やSCEの「ポケットステーション」なども登場するなど,ゲームボーイ独占だった携帯ゲーム市場がにわかに活気付いている。
 しかし,対ゲームボーイの最有力候補「ワンダースワン」の発売が'99年3月であることや,「ポケットステーション」も同1月に発売が延期されたことにより,この戦争は来年に持ち越しになりそうだ。

3位.中古問題
 ゲームは「映画と同様,シナリオ,音楽,出演者など,さまざまな人・要素が絡んだ総合芸術」とし,中古ゲームソフトの販売を中止しようというメーカー側の動きが表面化した。
 これに対し,ユーザー側は,レコードなどの前例を挙げ,中古販売を支持する者が多いようだ。
 後,100時間も経たないうちに年が変るが,未だに決着は付いていない。

4位.次期マシンの噂
 一部新聞・雑誌に「次期プレイステーション」の記事が掲載されて以来,ゲームユーザーが顔を合わせると「発表はいつ?」というのが合い言葉になった。
「現行PSソフトもプレイできる」「DC同様,Windows CEがOSとして選ばれた」などさまざまな憶測が流れる中,正式な発表はないまま年が暮れようとしている。Xデーはいつ?
 ほかにもソフトメーカーや大手家電メーカー新ハードの噂が常に聞こえてきていた。

5位.グラフィックボード移り変わり

6位.Windows 98登場
 マイクロソフトは,PC用オペレーションシステム「Windows 98」を7月24日発売した
 マルチモニタ,USB関連と,ゲームに重要な機能を多く持ったOSといえたが,(少なくても日本では)PCゲーム市場を活気付かせるきっかけにはならなかった。

7位.周辺産業さらに活発に
 販売本数の伸び悩みに伴い,ゲームそのものだけで利益を得るのが難しくなってきた中,ゲームのキャラクターを使ったグッズ産業が活性化した。
 これは,今年というよりはるか昔から注目されていた市場だったが,「ポケットモンスター」「サクラ大戦」などの専門ショップが今年オープンした。極めつけは,今年初めて開催された「東京キャラクターショー」。このイベントでは,ゲームに関するグッズが販売された。限定グッズ目当てに3日前から徹夜して並ぶ猛者も……。

8位.ネットワークゲームようやく日本でも本格化

9位.ゲーム本数伸び悩み
 産業としては前年より伸びているとはいえ,ソフト1本1本に関しては,非常にキツい販売本数となった。出荷本数100万本を超えるタイトルは片手に余る状況で,一番売れているプレイステーションでさえ,5万本でヒット,10万本売れれば大ヒットという状況。
 これはかつてのスーパーファミコンの末期と状況が酷似している。さてどうするSCE?

10位.任天堂ソフト絶好調
 相変わらず,一人我が道を行く任天堂。ライバルプラットフォームと比較して,新作タイトルが少ないNINTENDO 64。逆にそれを利用して,「ゼルダ」「ポケモン」など任天堂自社のソフトは,小学生を中心に大人気。ううむ侮れん。

 今年は確かにDCの発売など,話題は多かったものの,市場が活性化したとは思えない。
 しかし,今年は「新世代」の産みの苦しみに当たる1年ではなかったか? グラフィックに関しては,プレイステーションやNINTENDO 64で一般ユーザーのニーズはある程度クリアできたのでは? 3Dゲームの次となる「新世代」のキーワードはもちろん「通信」だ。それがDreamcastの発売と,日本でもWindowsゲームで本格的にネットゲームがプレイされ始めたという形で現れている。これは来年以降さらに加速することになる。次期プレイステーションも携帯ゲーム機もすべてこれを目指すはず。
 そして,クリエイター,メーカーの実力が問われる時代を迎えた年でもあった。大手メーカーの作品でも売れ残りが充満し,人気ゲームの続編,番外編でもミリオンヒットとならない。ユーザーのベクトルが,ゲーム以外にも向きつつある今,ネームバリューに頼ることなく,クリエイターはその実力を,メーカーはその企業力をフルに使って来るべき世紀末を迎えねばなるまい(21世紀は再来年だけど)。できればゲーム市場の世紀末は見たくないものだけどね。

[原 毅彦,ITmedia]

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