Apple Watchのバッテリーは1日以上持つか?:“ウェアラブル”の今
そのバッテリー駆動時間が約18時間と発表されて以来、Apple Watchのバッテリーの持ちには不安の声が多かったが、実際に使ってみると、1日以上持つことがほとんどだ。iPhone 6 Plusとの組み合わせでは、夜充電すれば毎日問題なく利用できる。
4月24日、日本を含む世界9カ国で、Appleが送り出すウェアラブルデバイス「Apple Watch」が発売された。東京でも、4月24日の朝から、予約していた人々の手元にApple Watchがきちんと配送され、人々が新しい時計との最初の生活をスタートした。
筆者はステンレススチールのApple Watch 42mmとミラネーゼループの組み合わせのモデルを使い始めた。この組み合わせを選んだのは、スポーツバンドを買い足して、オンとオフで使い分けよう、というアイデアからだ。その使い分けについては、追ってご紹介したいと思う。
本連載でもApple Watchについて、様々な角度からご紹介してきたが、実機を身につけてのレビューは初めてとなる。まずは世界中の人々、そしてライバルが気にしている「Apple Watchのバッテリーは持たないんじゃないか」問題について、数日使った様子を振り返ってみよう。
バッテリーの心労はなかった
Apple Watchは“ほぼ1日”、すなわち18時間の使用に耐えうるよう設計されている、とAppleは発表している。
この18時間の中身は、18時間の間に、時刻のチェックと通知の確認を90回ずつ、アプリ使用を45分、Bluetooth経由で音楽再生をしながら、心拍を確認するワークアウトを30分行った結果、としている。
我々はこれまで、スマートフォンのバッテリー残量を気にしながら生活してきた。そのため、設定を見直したり、モバイルバッテリーを大容量のモノに買い換えたり、ケーブル忘れがないよう複数持ち歩いたり、さまざまな工夫をしてきた。
その上で、スマートウォッチのバッテリーまで気にしなければならなくなると思うと、とても気が重かった。しかも、iPhoneを充電する小型のLightningケーブルではなく、Apple Watch専用の、背面に磁石でくっつけるタイプの新しい充電器まで必要になるのだ。
本当にそうした心配をすることになるのか、入手するまではとても気になっていた。
結論から言えば、「Apple Watchを機能させるには1日1度は充電する必要があるものの、バッテリーは1日きちんと持続させることができる」というものだった。
付け加えれば、42mmモデルの場合、1日の活動時間より長く使うことができた。
オンとオフの2日間を、難なくこなす
丸1日Apple Watchを付けていた最初の土曜日は、どちらかというとオンに近い日だったかもしれない。
朝5時に起き、たまっていた原稿を片付けた。25分作業をして5分休憩を取る、という繰り返しによって集中力を高める「ポモドーロ・テクニック」が最近気に入っていて取り入れている。そのためApple Watchのタイマーで25分、5分の計測を行いながら8セッションをこなした。
その後、昼前に出かけて、昼に幕張で行われていたイベントの1つのセッションに参加し、さらに移動して夕方巣鴨で行われた友人のコーヒーのイベントに顔を出す、というスケジュールだった。
こうした移動の多い、平日のような1日を過ごした土曜日だったが、ちょうど1日の真ん中に当たる12時半ごろに確認すると、バッテリー残量は69%。7時間で31%使った計算になる。さらに、12時間経過したタイミングで、バッテリー残量は45%となった。
このまま行けば、Appleのいう18時間はもちろん、21時間は持続する計算になるとなる。
日曜日はうって変わってオフの1日。45分のドライブのナビゲーションをApple Watchで行い、1時間半ほど家族でゆっくりと歩き、夕方古い友人たちと記念写真を撮る際に、Apple Watchのリモートシャッターアプリを使った。
8時からApple Watchを付け、12時間経過した20時の段階で54%となった。やはりこちらも、24時間持つ計算で、夜寝る際に充電し始めるタイミングで、バッテリーに余裕がある状態だった。
バッテリーを長持ちさせる工夫
Appleが言う90回の時刻チェック、90回の通知の確認というガイドライン上の回数は大幅に上回り、起きているときには1時間に10回以上は時刻を確認し、通知も1時間に15回確認していた。
週末の2日間、おそらくAppleが示すガイドラインよりもアクティブに活用していたのではないか、と考えられる。新しいデバイスを使い始めた時、たいていの場合はいろいろな機能を試してみたくなり、普段以上に触りながら使うからだ。
そうした状態でも、42mmのApple Watchでは20時間以上使い続けることができた。Apple Watchに慣れてくると、おそらくより長持ちする可能性もあるのではないだろうか。
Apple Watchを観察していると、バッテリーを長持ちさせる工夫を見つけることができる。
まず、ディスプレイはわりとすぐに消灯する。表示する部分のみ自発光する有機ELディスプレイを採用し、黒い背景が基本とされているが、普段は消えていて、手首を自分に向けると点灯する仕組みになっている。もちろんディスプレイをタップすればすぐに表示することもできる。
自分の方に向けている場合、何も操作しなければ5秒で消灯するが、向けた手首を元に戻すと、すぐに消灯する。時計としての視認性も高いので、1秒見れば時間が分かる。
また、iPhoneでは通知が届くとディスプレイが点灯するが、Apple Watchの場合、音と振動で手首に通知を知らせてくれるだけで、手首を返して自分の方に向けたときに初めて、通知のアニメーションと内容を表示するようになっている。
さらに、iPhoneのロックが解除されているかどうかをApple Watchが検知しているため、iPhoneを手に持って使っている時に届く通知は、Apple Watchには行かない仕組みだ。こうしてサウンドと振動のための電力消費を抑えていた。
バッテリー管理の最適化も
Apple WatchはあくまでiPhoneと組み合わせるウェアラブルデバイスであるため、Apple Watch単体で何らかの機能を提供する要素は少ない。
とにかく、今まで気付かなかった通知、iPhoneを開くまでもないアクション不用の通知を処理し、iPhoneで確認していた時刻の確認も、よりシンプルな動作で行える。現段階ではiPhoneのアシスタントとしての位置づけが非常に大きい。
それだけに、iPhoneよりも早くバッテリーが切れてしまうこともないだろう。
同時に、前述の2日間、普段は筆者が寝る前にバッテリー残量がなくなるiPhone 6 Plusも、夜12時に寝る段階で25%のバッテリーを余して1日を終えることができた。Apple Watchのバッテリーの持ち以上に、このことに驚いた。
通知という役割をApple Watchに持たせることは、デバイスのバッテリー管理に変化をもたらす。冒頭の憂鬱な気持ちがなくなり、むしろ積極的に取り入れていけるという気付きにもなった。
しかしもう少しチューニングも必要だ。例えば、TumblrやTwitterなどに、大量にリブログやRTが発生する記事を載せてしまった場合、通知が多くてApple Watchは振動しっぱなしになってしまう。
Apple Watchにそのすべての通知は来なくて良いはずだ。そんなときは、iPhoneのApple Watchアプリから、アプリ単位で通知をApple Watchに飛ばすかどうかを設定できる。
どのアプリからの情報が日頃から必要か、という今まで整理してこなかった情報を管理することにもつながるだろう。
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