コラム
» 2017年01月07日 06時00分 公開

MEC食は糖質制限とどう違う? 医師に聞く「最初の3日間」の始め方

肉、卵、チーズの3つの食品を中心に食べ、一口につき30回よくかむ「MEC食」。糖質制限とはどう違うのか、提唱した医師に聞きました。

[石原亜香利ITmedia]

 今、「糖質制限」がブームですが、ほかにもさまざまな健康志向の食べ方があります。中でも「MEC食」は、今大いに注目を集めている健康的な身体づくりができる食事法です。このMEC食を提唱している医師の渡辺信幸先生に、糖質制限との違いを聞いてみました。

取材協力:医師 渡辺信幸先生

1963年愛知県生まれ。名古屋大学医学部卒業後、沖縄県の総合病院に入職。4年間の研修を経たのち、伊良部島や宮古島などの離島医療に従事する。離島では、脳卒中や心筋梗塞など重篤な患者を救えないケースも少なくないため、予防医療に注目。以来、生活習慣病外来を運営して4,000人以上の患者をダイエットに成功させた。現在では市民への啓蒙のため、地元コミュニティーFM局でラジオパーソナリティーも務めている。著書に『一生太らない体をつくる「かむだけ」ダイエット』『日本人だからこそ「ご飯」を食べるな』『野菜中心をやめなさい』『肉食やせ!』『MEC食でボケない老けない疲れない』。

「主治医が見つかる診療所」「林修の今でしょ!」などのテレビ出演。

http://meckk30.com/


MEC食とは?

 MEC食とは、肉(Meat)、卵(Eggs)、チーズ(Cheese)の3つの食品を中心にたっぷり食べ、30回かむというルールの食事法。MEC食を続けることで、ダイエットの他、高血圧、血糖値、中性脂肪値などの改善など、あらゆる健康効果が期待できます。

<一日に必要なMECの摂取量の目安>

  • 肉200g(薄切り肉なら8〜10枚)
  • 卵3個
  • チーズ120g(6Pチーズで6個程度、スライスチーズ6枚程度)

MEC食と糖質制限とはどう違う?

 このMEC食の食事内容を見てみると、ご飯やパンなどのおなじみの主食が登場しないため、糖質制限と似ているように思えます。そこで渡辺先生に、MEC食と糖質制限との大きな違いを3つ挙げてもらいました。

1. MEC食には「30回かむ」ルールがある

「糖質制限との一番の違いは、“カムカム30回”です。MEC食のルールは、肉・卵・チーズを中心に食べることと、1口につき30回かむことだけです。

 この咀嚼(そしゃく)を徹底することがMEC食の大きな特徴です。MEC食は、もともと予防医療のために考えたもので、身体にとって必要最低限の栄養素を摂る食事法です。肉・卵・チーズをよくかんで食べることにより、人間本来の味覚を取り戻すことができ、身体に良いものだけを取り入れられるようになっていきます。

 本来、味覚は身体への良しあしを判断するためにあります。毒やまずいものは吐き出すようにできているのです。肉・卵・チーズはかみ続けて口の中で溶けてなくなるまで、味が残ります。しかし、ゴボウなど繊維質の多いものをひたすらかんでいると飲み込みたくなくなってきます。それと同じで、米やパスタ、餅などは食物繊維が含まれているため、かんでもかんでもなくならず、最終的には味がなくなり、飲み込みたくなくなってきます。

 パスタやラーメンもよくかむと、スープやソースの味がなくなり、最終的には粉っぽくなるので、MEC食を実践している人は、あまり食べたくなくなります。

 MEC食は、このように人間本来の味覚を取り戻すことで、身体に良いものを率先して取り入れる方法なのです」

2. MEC食は食べるものに制限がない

 「糖質制限食は、糖尿病治療のためのものです。病気を治す目的があるため、糖質を制限し、引き算して食事を摂ります。一方、MEC食には制限という考え方がなく、足し算の食事法です。必要最低限の栄養素である、タンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンを摂ります。もしMECを食べてお腹いっぱいにならなかったら、さらに追加でMECを食べてもいいですし、その他の炭水化物や野菜、大豆製品なども、特に制限はなく食べてOKです。

 ただ、30回かむルールは徹底します。よくかむと口の中で残る炭水化物や野菜、大豆などはそのうち食べたいと思わなくなってきます。結果的に、糖質制限と同じような食事内容になるかもしれません。しかしそこには制限や我慢は一切ないのです」

3. MEC食は調理・食事の準備の手間がかからない

 「糖質制限では、砂糖をラカントに替えたり、糖質ゼロの麺やスイーツなどの代用品が必要になったりします。さらに、調理や買い物の手間と時間がかかるところがあります。

 一方MECは、肉や卵は基本的に焼いたりゆでたりするだけ、チーズはそのまま食べられます。味付けもだんだん塩・こしょうだけでよくなります。砂糖やみりん、しょうゆなどの甘味のあるものは、MEC食を実践していると自然と食べられなくなるため不要になります」

トライするなら何日間が良い?

 よくかんで人間本来の味覚を取り戻し、足し算の考え方で楽に食事ができるMEC食。初心者にとって、実践したいものの不安が大きいものです。何日間続けると効果が出るのでしょうか。

 「30回かむのを徹底すれば、3〜4日続けると、身体が引き締まり、肌の調子がよくなり、つやが出てきます。もちろん個人差はありますが、味覚も鋭くなるため、1週間後から米、パン、麺類をやめた人もいます。いつもの食事にMECを増やすだけでもOK。始める前は不安かもしれませんが、実践してみると意外とできるものですよ」

 これまで米やパンを主食としていた人が、急に肉・卵・チーズを中心にするのはなかなか慣れないものですが、MEC食は、実践して初めてその簡単さや効果が分かるそうです。

 ちなみに、カムカム30回は、クロレッツのガムくらいの大きさを30回かむのが正式だそうです。慣れないうちはなかなかむずかしいかもしれませんが、渡辺先生によれば、トレーニングあるのみとのこと。

 トライしてみたいという人は、まずは3日だけでもMECを中心に食べ、ほかの食品は制限せず、30回かむのを徹底することからはじめてみるのが良さそうです。

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