コラム

「まだ震えが止まらない」――初音ミク初の米国ライブで何が起きたのかLAからリポート

“天使の街”ロサンゼルスに、天使のミクさんが降り立った。初音ミクのアメリカデビューコンサートとなる胸熱ライブの興奮をお届けする。

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 ボーカロイド、いや、日本が作り上げた音楽を、アメリカに全力で叩きつけてみた。

 今回のアクトを一言で表現すれば、そのようになる。現地アメリカはロサンゼルス、NOKIAシアターのライブ「MIKUNOPOLIS」の様子を、可能な限りリポートしたいと思う。文章に脈絡がないのは、興奮でいまだ手の震えが止まらないためとお考えいただき、どうぞご容赦いただきたい。

 開場は開演から1時間半前、わたしは一般客列に並んで入場したが、この時点で長蛇の列。そして、本来のイベントであるAnime Expoから流れてきた客が、あらゆるコスプレのまま、どんどん吸い込まれていく。なかにはもちろんローティーンも混じっていたし、雪ミクのコスプレすらいた。もうこの時点で、いったい何が起こるのか全く想像がつかなくなった。

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 自分の座席は3階の一番右端で、ステージからは遠いものの、会場全体の様子はよく分かるポジション。NOKIAシアターは、想像よりもずっと巨大だった。印象としては、ZEPPの3倍の広さのステージで、その両側に新宿アルタサイズのスクリーンが備わっている感じ。このスケールは、日本ではあまりないと思う。会場は満席だと7000席とのことだが、1階両端に客をあまり入れず、ディラッドボード方式の欠点である、視野角の問題を少しでも解決しようという配慮がみられた。

 開演前のMC(ストームトゥルーパーのコスとオタク文化の英語圏への紹介で有名なダニー・チューさん)は当然英語だったが、会場の反応がものすごくよくて驚く。さすがに「ミクさんマジ天使」まで言わせるとは思わなかったが(笑)、観客全員が思い思いに声援を送りサイリウムを振る姿で、このライブを心から楽しみにしていたことが手に取るように分かった。オープニングアクトのDANCEROIDで場の空気は充分に温まり、いよいよライブスタート。

 セットリストは既にニコニコ生放送でご覧の方がアップされていると思うので、各曲の紹介は行わず全体の様子を伝えたい。

 バックバンドはThe 39's+6人のストリングス編成で、演奏のクオリティは非常に洗練されていた。また、観客の声援はほとんど絶叫に近く、子供のときにラジオで聴いた、YMOライブのそれを思い出させた。同時に強調したいのは、コンクリートの床さえ震わせるほどの大音響が、まったく音割れしなかったこと。人間の可聴帯域が丸ごと増幅されて、マッシブな音の塊が全身を揺さぶる。この音楽・音響体験は、日本のどのホールやスタジアムでも実現できないだろう。アメリカというショービズの本場のパワーで、ミク、リン・レン、ルカという実在しないキャラクターの歌声がフロア全体に響き渡り、観客を陶酔させているそのさまを、どのように表現したらいいか本当に分からない。まったく未体験の何かを、この地で成し遂げたのは間違いないと言える。われわれが音楽を通して世界に伝えたかったメッセージが仮にそれだったとしたら、目的は充分すぎるほど達成できたと確信する。

 最後の曲「ハジメテノオト」については、多くを語らない。語ることができない。なぜなら、この原稿を書いている私の目は、真っ赤だからだ。ロサンゼルスの乾燥した気候で痛んでしまったんだろう、きっとそうだ。そうに違いない。→第2報:「会場全体が絶叫」 熱く燃えた初音ミク米国コンサート

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筆者紹介:パッチワークPはVOCALOID聴き専によるコンピレーション専門レーベルLollipop Logicの主宰で、VOCALOID楽曲を紹介する@vocalosong1topiのキュレーターを担当している。

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