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パンダ動画で日本中に笑顔を――上野動物園の「パンダ撮影隊」に密着した

上野動物園のパンダの様子が日替わりの動画で見られるサイト「パンダTODAY」。パンダの魅力的な動画を届けるため、日々炎天下で奮闘する「パンダ撮影隊」の様子を取材した。

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パンダTODAY

 上野動物園のパンダ「リーリー」と「シンシン」の動画をauの携帯電話や、スマートフォンから見られるサイト「パンダTODAY」が6月にオープンした。上野動物園の中でも特に人気のあるパンダの魅力を届けることで、日本中に笑顔を届けることが目的だ。

 パンダの観覧は、休日は約60~90分待ちで、長時間見ることは難しい。せっかく来たのに少ししか見られなかったり、寝ているところしか見られなかったということもあるし、遠方に住んでいるためなかなか見に来られない人もいる。パンダTODAYは、そうした人たちに楽しんでもらいたい上野動物園とKDDIの思いで実現した。

 動画のダウンロード数は7月上旬の時点で約10万。この動画を撮影しているのが「パンダ撮影隊」だ。休園日を除く毎日、パンダの様子を撮影し1分ほどの動画に編集して「パンダTODAY」に公開している。

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左から、パンダ撮影隊の渡辺雅也さん、パンダTODAYを運営するKDDIの芝純一郎さん、鳥羽真理子さん、パンダのリーリーさん

時には撮り逃してしまうけど……


パンダ撮影隊

 撮影隊スタッフは上野動物園の開園を待って、撮影準備を始める。パンダTODAYのスタッフTシャツを着て(スタッフは“変身”と呼んでいる)、カメラや三脚など機材の準備が終わると、午前10時から撮影スタート。パンダ舎の前にある撮影用スペースにカメラを置き、パンダの様子をうかがう。

 パンダは午前から昼過ぎにかけて比較的活発に動くため、撮影は午前10時から午後2時まで、計4回行う。撮影したデータはすぐに別のスタッフが編集し、正午から午後3時の間、1時間おきに公開する。1回の撮影は1時間弱だが、パンダは30分近く動かないこともある。記者が取材したときは、シンシンは寝たままでほとんど動かなかった。いったんデータを編集スタッフに渡してから、粘って追加の撮影をすることもあるという。限られた時間でいい映像を撮らなければならない。毎回が時間との戦いだ。

 パンダの撮影で難しいのは、ただ動いているシーンを撮ればいいわけではないところ。1分間ずっと食事シーンを流しても飽きられてしまうし、毎日同じようなシーンを流しても飽きられてしまう。いつもと違う動きを押さえるため、スタッフは両方のパンダに気を配るのだが、リーリーとシンシンは別々の部屋。さらに間に1つ部屋を挟んでいるため、片方を撮影しているときは部屋のすき間からもう片方の動きをチェックしなくてはいけない。


シンシンの寝返りを狙う

 また、片方のパンダが眠っているように見えても、「しばらく気にしなくて大丈夫」と油断してはいけないのも難しいところ。スタッフによると、これまでの撮影の中で、横になっていたとしても、目が開いていると動き出す可能性が高いことに気付いたという。奥が深い……。

 時には貴重なシーンを撮り逃してしまうこともあるが、スタッフは「片方のパンダを撮っているとき、もう片方の部屋ですごいことが起こっているかもしれない。でも、逃しても気にしないことが大事」と語る。撮影は8月31日まで続くため、1回の撮り逃しを悔やんでいてはきりがないのだ。

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「うーとまらないモグモグ」――手書きメモが編集の手がかり


撮影スタッフのメモ。これを参考に編集作業を行う

 撮影に使っているカメラはパナソニックの業務用で、P2カードという記録媒体を利用している。非圧縮ですぐに編集できるのが特徴だ。これをMacBookに取り込み、動画編集ソフト「Final Cut」で編集する。

 編集の際は、撮影スタッフのメモを参考にしながら行う。メモには撮影したときの時間と、その様子が「ササ モグモグ」「うーとまらないモグモグ」「皮をはぐのがうまい!!」と手書きで書かれており、特にオススメのシーンには星のマークが付けられている。撮影スタッフの映像が届いてから、編集して公開するまでは実質1時間程度。こちらも時間との戦いだ。


コンセントが使えないため、PCはモバイルバッテリーを利用

 編集担当スタッフの作業場所は、パンダ舎の近くにある休憩スペース。テント屋根の下に机とベンチが置かれている。パンダ撮影隊のために用意されたスペースではないため、隣に一般客が座ったり、園内イベントの折り紙教室が始まったりするのは日常風景だ。折り紙教室のスタッフから折り紙をもらったり、お弁当を食べていたお客さんからお菓子をもらったりしたことがあると、スタッフは笑いながら教えてくれた。

パンダの魅力は「人間くさいところ」

奥では折り紙教室を開催中
ドライミスト噴出中
パンダ撮影隊が撮影中

 パンダ撮影隊は撮影も編集も屋外で行っているため、暑さ対策にも気を配っている。救いはパンダが暑さに弱いため、夏は屋内で過ごしていること。屋外での様子が撮れないのはデメリットでもあるのだが、パンダたちの部屋の前はトンネルになっているため、直射日光を避けて撮影ができる。来園客のためのドライミストも、涼しさを感じさせてくれる。

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 暑さに加えて、蚊との戦いもあるようだ。足元には蚊取り線香が置かれているものの、さすがにすべてを撃退できないようで、手元にはかゆみ止めの塗り薬が置かれていた。

足元には蚊取り線香
パンダSET
中身は凍らせたお茶やうちわ

 スタッフにパンダの魅力を聞くと、手だという。手を使って器用にササを食べる様子が人間くさくてたまらないそうだ。リーリーとシンシンの見分けもできるようになった。特徴は鼻で、雄のリーリーのほうが角ばっていて、雌のシンシンのほうが丸っこい感じだと教えてくれた。


ササを食べるリーリーさん

声を掛けてもらえるとうれしい

 パンダ撮影隊は、“日本中に笑顔を届けるため、3カ月間炎天下でカメラを回し続ける気合の入った映像制作会社”が担当しているという。6人でシフトを組み、撮影担当と編集担当の総勢2人が常時活動している。


パンダ撮影隊の渡辺雅也さん

 プロデューサーの渡辺雅也さんは、「1分に編集した動画だけ見るとパンダは活発に動いているように見えますが、(実際は1時間弱の撮影時間でとらえた)すごくまれな瞬間を寄せ集めているので、動物園でもなかなか見られないと思います」と話す。撮影隊の後ろではお客さんが観覧しているため、邪魔にならないようにするのはもちろんだが、ガラス越しにお客さんの顔が映り込まないように注意しているという。目の前のパンダと別の部屋にいるパンダ、そして後ろのお客さんたちと、暑い中で集中力が試される作業だ。

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 ちなみに、昼食はすべての作業が終わった15時以降に食べているという。スタッフTシャツを着たまま帰ることもあり、その格好でアメヤ横丁の中華料理屋に入ったところ、注目を浴びて結果的に「パンダTODAY」の宣伝ができてしまったと渡辺さんは苦笑いする。

 パンダ撮影隊の活動は8月31日まで続く。撮影をしていると、「パンダTODAY」のスタッフTシャツを見た子どもたちから、「パンダの人だー」と声を掛けられることはあるが、今のところ「パンダTODAY」の動画を見た人から声を掛けられたことはないという。パンダTODAY見てます、と声を掛けられるのを「待ち望んでいる状態」と話していた。

【読者プレゼントのお知らせ】「パンダTODAY」スタッフTシャツ(3名)

パンダ撮影隊が着ている「パンダTODAY」のスタッフTシャツ(非売品)を特別にご提供いただきました。ねとらぼ限定企画として、抽選で3名の方にプレゼントします。以下の応募要項をご確認いただき、奮ってご応募ください。

募集要項
応募期間 2011年7月11日(月) ~ 2011年7月31日(日)
応募条件 アイティメディアIDの登録ユーザー
当選発表 当選された方への賞品の発送をもって、発表にかえさせていただきます
応募上の諸注意 ・キャンペーン期間中にアイティメディアIDの登録を削除された方は対象に含まれません
・当選者の権利は譲渡・換金・変更することはできません
・厳正な抽選の上、当選者の方へ賞品を発送いたします。なお、賞品のお届け先は日本国内に限らせていただきます。抽選と発送は2011年8月下旬の予定です
・お預かりした個人情報は、アイティメディアIDの利用規約とアイティメディア株式会社の 「プライバシーポリシー」に基づいて厳重にお取り扱いいたします
・住所・電話番号などが不明確な場合や、転居による住所変更や電話番号変更など、なんらかの理由により賞品がお届けできない場合は当選を無効とさせていただきます
・ご応募はお一人様1回限りとさせて頂きます。2回以上ご応募された方は、抽選対象外とさせていただきますのでご了承下さい

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