ウケる企画は大喜利で生まれていた バーグハンバーグバーグの流儀に迫る:ネタに囚われの身のシモダさん(1/3 ページ)
変テコなプロモーションサイトや、「オモコロ」「地獄のミサワLINEスタンプ」などの独特なネットコンテンツで快進撃を続けるバーグハンバーグバーグ。代表のシモダテツヤ氏に面白さの源泉を聞いた。
「インド人完全無視カレー」「イケてるしヤバい男 長島」「オモコロ ~あたまゆるゆるインターネット~」、そして「地獄のミサワLINEスタンプ」など、ネットでウケるヒットコンテンツを次々と世に生みだしている会社がある。ねとらぼ読者の皆様ならその名をご存知かもしれない、「バーグハンバーグバーグ」だ。
時に世の中を風刺するメッセージもある彼らの企画は、一見「ちょっとやりすぎか?」と思えることもあるが、毎回見たものの笑いを誘い、愛されている。一体、ネットでバズるコンテンツはどのようにして生まれているのか、バーグハンバーグバーグのルーツはどこにあるのか、代表のシモダテツヤさんに話を聞くため会いに行ってきた。
クライアントに却下された“ボツ企画”
―― Webでウケる企画が定評のバーグハンバーグバーグさんですが、過去にクライアントからボツにされた企画案を教えてください。
ソフトバ○クのプロモーションで「12カ月で孫○義さんの肉体が完成するデアゴスティーニ(※)風プロモーション」を提案しました。毎月孫さんの肝臓とか顔とかのパーツがばらばらと届きます。で、11カ月で丸裸の孫さんができあがって、最終号に付いてくる鎖かたびらを首からぶら下げて完成と。もちろん創刊号はお得じゃないといけないので心臓を2つ付けるつもりでした。ちなみにこのときは、念のための代案も持っていきました。それが「こすると孫○義さんの耳の後ろの臭いがするスクラッチカード」でした。が、これもボツでした。
※デアゴスティーニ:毎月届くパーツを組み立てると模型等ができあがるシリーズが人気の分冊百科
味の○さんの「Cook Do」(※1)のときもボツになってしまいましたね。あの商品ってテレビCMでチンジャオロースをものすごくおいしそうに食べるじゃないですか。そこで、イケてるしヤバい長島さん(※2)ってハゲを小部屋に閉じ込めて7日間水しかあげず、餓死寸前まで追い込んでチンジャオロースをあげたらどうなるか、という実験をやろうとしました。でも本当に餓死してしまった場合はさすがに味の○さんにご迷惑をおかけするから、1週間味のないものだけをあげようと妥協案も提出しました。なにもかけてない豆腐だけを1週間あげ続けたら、人が発狂する寸前を見れるんじゃないか、さすがにおいしそうに食べるんじゃないかと思ったんです。
※1Cook Do:切った野菜や肉などの食材に加えて炒めるだけで料理ができてしまう中華合わせ調味料シリーズ
※2長島さん:イケてるしヤバい男 長島
バーグハンバーグバーグ流のWebでウケる企画の作り方
―― ……ボツにしておくのがもったいない企画ばかりですね。Webでウケる企画ってどうやったら思いつくんですか?
基本的には社員全員でアイデア大喜利を行なっています。最初にプロモーションの目的とかを共有し、「普通に作るならこういう形」という話をします。そして、そこから一旦離れてボケにボケを重ねていきます。大喜利じゃないと突飛なものって出てこないんです。ボケにボケを重ねて、最後にお客さんのニーズと整合性を取るようにしています。
ちょっとふざけたような提案をして大丈夫なのかとよく言われますが、バーグはお笑いの会社なのでお客さんもウチに声をかけてくださる時点で、おふざけを期待されていると思うんですよ。最近はいろんな企業さんがコンプライアンスを気にしすぎてはっちゃけた企画ができなかったりします。怒られないようにと気にしすぎて、安全策を過剰に取りすぎてどっかで見たような面白くない企画になってしまうときってあるじゃないですか。もしそうなったら引くか、またほかの案を提案します。
―― 不動産投資サイト「楽待(※)」の特設サイトも大喜利で企画したんですか?
※楽待:国内最大の不動産投資サイト。特設サイトでは金持ちを持ち上げ、貧乏人を見下すキャラが登場
「楽待」のサイトは、訪問者の年収(自己申告)が1000万円を超えているかどうかで、見られるサイトを変えました。お客さんから楽待PRの相談をいただいたとき、「不動産投資かあ、自分ら小市民には関係ないなあ」「貧乏人は見ないよなあ」という話で全員一致しました。そこで、元々のターゲットであるお金持ちにはペコペコ、我々のような貧乏人には急に態度をころころ変えて唾などを吐きかけてくるキャラクターを立てることにしました。普通だったら「年収の低い人をバカにするな」って叩かれるじゃないですか。でも逆にそういうものを逆手にとれると面白いかなと思いまして。
楽待の場合、クライアントさんが「バーグさんの好きなようにしてください」と寛容だったので、提案した通り企画が採用されました。あのサイトのノリはバーグのルーツである“テキストサイト文化”の面白さだと思います。キャラクターの表情やセリフのテキストで面白く世界観を構築していく、バーグらしい仕事でした。
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