インタビュー

『少女フレンド』座談会、6人の連載作家が語る少女漫画誌の今と昔(3/3 ページ)

連載当時のエピソードや、現在クラウドファンディングを実施中の『プラチナフレンド』刊行プロジェクトなど、『少女フレンド』で連載した経験を持つ6人の先生に座談会形式でお話を伺った。

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知らない世界のことはみんな少女漫画が教えてくれた

―― 先生たちの考える少女漫画ってどういうものですか?

たちばな 実は私、10年ぐらい育児をしていて漫画を描いてなかったんです。そうすると専業主婦になるわけですけど、そうやって少女漫画からちょっと離れて見てみた時に、少女漫画って夢の世界というか、出てくる男の子にしてもリアルである必要がないので、何というか現実逃避ができるんです(笑)。

くりた 私は少女漫画からいろいろな知識をもらいましたね。一条ゆかり先生の漫画『有閑倶楽部』を読んで「マキシム・ド・パリ」のナポレオン・パイを知ったり、ピジョン・ブラッドという宝石があることや、お酒の種類なんかも知ることができたり。

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かずはし 私は、和田慎二さんの漫画でENIACというコンピュータを知りましたね。

くりた ウィーン少年合唱団も、竹宮恵子先生の『ウィーン幻想』からだったし、そういう外国の知識も漫画で知りました。たぶん当時の漫画家さんって本当に頭がよくて、そういう知識を漫画にバーンッてぶつけていたように思います。

かずはし でも、難しいことを描いて編集者さんに「それは読者には伝わらないじゃないか」と言われたこともありますけどね(笑)。

吉沢 私も経験あります(笑)。ネタを考えていた時に、学園ものみたいな身近な物語の方が読者が共感を得られるから、そういう物語を考えてほしいとか。

―― ほかの少女漫画誌ってどんな感じだったんですか?

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かずはし 1980年代は一番リア充らしいリア充が読んでいたのが少女フレンドで、花ゆめはオタク系、別マ(『別冊マーガレット』)は1970年代前半までオタクで以降は超リア充っていう感じ(笑)。

 別マは、途中でちょっと方向性の切り替えがあって、美内すずえ先生と和田慎二先生を小長井信昌さん(白泉社創業メンバーの1人で、『花とゆめ』『Lala』の創刊などにも携わる)が連れて集英社を出て、入れ替えでくらもち・いくえみ(くらもちふさこ先生、いくえみ綾先生)世代が始まり、オタク時代からリア充へと変わるんです。

くりた 私が読んでいたのは、その美内・和田が移った先の花ゆめですね。

たちばな 私が子どものころって、みんながみんな「なかよし」だったり「りぼん」だったり「別マ」だったりを読んでいたんです。でも、いまの子たちって、みんなで同じものを読むっていうことがあまりないですよね。「なかよし」の発売日翌日には、みんな同じ付録を持っている、みたいなこともいまはないみたい。

―― 少女漫画誌は今後どうなると思いますか?

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寄田 紙の雑誌はどんどんなくなっていって、デジタルに移行すると思います。どういう形で移行していくかは分からないですけど。

かずはし デジタルは浸透するとは思うんだけど、そうなると少女たちが端末を持ってないといけないですよね。そこであえて『ONE PIECE』や『進撃の巨人』みたいな人気漫画じゃなくて、少女漫画誌を読むのかなという疑問はあります。

たちばな また娘の話になりますけど、作家や漫画の話はしているんですけど、漫画誌の話はしていないんですよね。

みづき どの漫画がどの雑誌に掲載されているかっていうのは、いまの子はあまり気にしてないよね。

たちばな 私たちの世代って、まず雑誌から入って、そこから好きな作家を選ぶという形が多かったと思うんですけど、ネット世代の子どもたちって検索から始まるから、好きな作家や漫画から入ることが多いのかもしれない。

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―― 最後に、プロジェクトについて伝えたいことなどお願いします。

たちばな プラチナフレンドの名前の候補の中には、フレンドカーニバルっていうのもあったんです。なので、お祭りのようにみんなで一緒に楽しめたらいいなと思います。

かずはし 心と時間に余裕があったら、電子データで、昔みたいな紙で色インクを使って印刷したようにみえるプラチナフレンドを作ってみたいね、2色ページとか。

寄田 紙の本もわざと悪い紙で刷ってみたいです(笑)。

かずはし でもそれだと、かえってお金がかかるんじゃ……。

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一同(笑)

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