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「ほぼ無名」の低予算ホラーが起こした奇跡 ネット騒然「コワすぎ!」人気の理由は白石晃士監督インタビュー(2/2 ページ)

niconicoを中心に一部でカルト的人気を誇る「コワすぎ!」シリーズ。夏の一挙放送を前に、白石晃士監督に撮影の裏側や制作の狙いを聞いた。

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どっちが正しかったのか確かめてやろうと

―― 印象に残っているツイートとかやりとりはありますか?

白石監督 ファイル3とファイル4を出した後に、ブログに感想を書いてくれた人がいたんですよ。私も今まで映画とか作ってきて、雑誌で取り上げられたこともあったけど、それまでプロのライターが書いたどの原稿よりも作品を深く理解して書いてくれているのに感動して。そういう人に向けて映画を作らなきゃな、って思った。

―― いい話だ……!

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白石監督 映画のプロデューサーって、これじゃ分からないとか、怖がりすぎるとか、これは前例がないからダメとか、悪く言うとお客さんをバカにしてるんですよ。でもTwitterを通じて、いろんな人がいるんだって分かった。軽く見る人もいるけど、中には隅々まで見てくれる人もいる。それがうれしくて感動して、Twitterいいなって。そんならどんどんエゴサーチしてやろうって思った。

―― 「コワすぎ!」ではそういう、「これじゃ分からない」とか「怖がりすぎる」みたいな声は出なかったんですか。

白石監督 「コワすぎ!」は予算が少ないかわりに好きなことやっていいよ、って言ってもらえて。だから私がいままでメーカーに提案して却下されてきたことをやらせてもらってます。おまえらが却下してきたのと、私がウケると思っていたのと、どっちが正しかったのか確かめてやろうと。

―― 実験!

白石監督 で、結果、ほとんど宣伝もしてないし、有名な人も出てないけど、おかげさまでこうして広がってくれて。そこはすごく、してやったりというか、「ほらみろ!」と(笑)。

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―― 大成功ですね。

白石監督 お客さんをバカにしていいわけないんですよ。結局その程度のものだと思われちゃう。

―― 本当にそうだと思います。

白石監督 映画をちゃんと見てくれるお客さんを育てたい、という気持ちは常にあって。自分が思っていたものとは違う面白さを見てハッとしたり、新鮮に思ったり、そういうところから長編を見る楽しさを知ってほしい。そのためにも視聴者の期待を常に上回るようなシリーズにしていきたいと思っています。

以前、別の作品でメーカー側の要望にしたがって作った結果、自分でも納得いかないものができてしまい、その時のくやしさも「コワすぎ!」につながっているとのこと

最初から着地点を決めていたわけではなかった

―― 「コワすぎ!」は口裂け女という身近な都市伝説からはじまって、最終的にものすごいエンディングに着地しましたが、あのラストは最初から考えていたんですか?

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白石監督 いや、特にああいう着地にしようと決めていたわけではなかったです。ただ、最初は心霊ドキュメンタリーとして始めて、そこからどんどんズラしていくというのはやりたかった。よくある心霊ドキュメンタリーでは絶対にやれない、フィクションならではの内容というか。

―― 最初に「ファイル1」と「ファイル2」をリリースした時点で、続けられるかどうかはまだ決まっていなかったんですよね。

白石監督 そうですね、なのでとりあえずタネは仕込んでおいて、チャンスがあったらやってやろうという感じでした。特にファイル2には今後やりたいことをいろいろ仕込んであって、結果的に、シリーズ中でもっとも多くの謎が残るような話になっています。

―― 1作ごとにすごい勢いで風呂敷が広がっていってましたけど、自分で広げた風呂敷に首を絞められたりはしなかったですか。

白石監督 そこは自分で壁を作って乗り越えて……を繰り返してる感じですね。最初からゴールを決めて作るやり方もあるけど、最初から考えつくゴールなんて、たぶん他の人でも思い付くんですよ。自分でも「そうくるか!」ってビックリするようなものを作るためには、自分で「おいどうするんだよこれ」って困るようなフリを入れていくしかない。

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―― 最終章の着地には満足していますか?

白石監督 うーん、満足は常にしていないんですが、最終章はやろうとしていた内容に対して時間がなさすぎました。映像的にも技術的にも後悔があるので、そのあたりを覆せるような「超コワすぎ!」にしたいと思ってます。

第7作目「戦慄怪奇ファイル コワすぎ! 最終章」で第1シリーズはいったん完結。その後は新シリーズ「超コワすぎ!」として再スタートしている

「コワすぎ!」はあと2~3本で終わる?

―― 「超コワすぎ!」は1本目から飛ばしてましたね。

白石監督 最終章ではメインの工藤と市川をかなり終盤に出したので、ちょっとキャラクターへの飢餓感が残ってしまったかなと。そういう人が溜飲を下げられるように、ファイル1ではさらにキャラクターを押し出した感じにしたんです。

―― 1本目からアレだったので、「超コワすぎ!」はホラードキュメンタリーというより、最初からエンターテイメント路線で行くのかな? と思いました。

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白石監督 1作ごとにルールが変わっていくのがこのシリーズなので、そうとは限らないですよ(笑)。ファイル2ではまたガラッとフォーマットが変わって、投稿者側の話がメインで、工藤と市川はそれをサポートしていく形になっています。今後は投稿者側のキャラクターをもっと立たせたいなと。

新たにスタートした「超コワすぎ!」シリーズ。ファイル1ではコックリさん、ファイル2では蛇女の謎を追う

―― 今後考えている展開などはありますか。

白石監督 ちょっと気が滅入るようなダークな展開とかも考えてます。それこそ、今の「コワすぎ!」を楽しんでくれてる人たちの半分くらいが「イヤだ!」って思うような。今は明るく笑って楽しんでいるけど、後になって自分が笑っていたことに青ざめるようなものとか。

―― えええ……!

白石監督 今回は工藤があまり深みのない空虚なキャラになっていて、逆に市川の方にバックグラウンドがある。そこを突き詰めていくと、なんとなくダークでハードな話が沸き上がってくるんですよ。視聴者が安心して見られる作品にはしたくない、というのもありますね。

―― 今回公開された「超コワすぎ! FILE-02 暗黒奇譚! 蛇女の怪」で通算9本目になりますが、どれくらいまでシリーズを続けていきたいですか。

白石監督 (さらっと)もう終わると思いますよ。あと2本か3本作ったら。

―― ええ、えええええ!?

白石監督 「コワすぎ!」は私のプロモーション的な意味合いも強いというか、一言で言うと、かかっている時間のわりにお金にならないんですよ(笑)。

―― わりとシビアな理由だった。

白石監督 2本撮るとそれで4カ月はつぶれてしまう。今は他の仕事を優先して受けているので、次は撮れても来年の夏以降になっちゃいますね。

―― かなり先になりますね。

白石監督 「コワすぎ!」は延々続けていくようなものではないと思っていて、ダラダラ続けてもクオリティが落ちてしまう。だから一気に力を入れて、いいところで終わりたい。市川がだんだん老けていって、それでもAD続けてるってのもリアリティがないじゃないですか(笑)。

「江頭2:50さんと同じで、続けることよりも1回の伝説を作りたい」と白石監督
7月11日に渋谷アップリンクで行われた、「超コワすぎ! FILE-02」公開舞台挨拶にて。左から、白石監督(カメラマン田代役)、大迫茂生さん(ディレクター工藤役)、久保山智夏さん(アシスタント市川役)

ニコニコでは7月20日から一挙放送!

• 7月20日23:00-「FILE-01 口裂け女捕獲作戦」

• 7月21日23:00-「FILE-02震える幽霊」

• 7月22日23:00-「FILE-03人喰い河童伝説」

• 7月23日23:00-「FILE-04真相!トイレの花子さん」

• 7月24日23:00- 劇場版・序章「真説・四谷怪談 お岩の呪い」

• 7月25日19:30-「史上最恐の劇場版」

• 7月25日21:00-「コワすぎ!最終章&超コワすぎ!FILE-01」(有料)

• 7月26日14:00- FILE-01, FILE-02, FILE-03 FILE-04, 劇場版・序章,劇場版一挙放送

• 7月26日21:00- 「超コワすぎ!FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪」(有料/ネット最速上映)


これからのコワすぎ!ニコニコでの放送一覧:http://goo.gl/LvyaEe

夏休み中ホラー映画を連日無料上映!ニコニコホラー百物語2015 http://ch.nicovideo.jp/nhorror

ニコニコチャンネルで超コワすぎ!FILE-01まで販売開始 http://ch.nicovideo.jp/kowasugi

池谷勇人

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