連載

タイトル通り、でも二度見必至なインパクト『ブタさんが好きすぎたらハンガリーの国賓になりました』司書メイドの同人誌レビューノート

秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。

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 一般にはあまり出会う機会のない同人誌。アニメやマンガのパロディや、コスプレの写真集などさまざまなジャンルがありますが、こちらの連載では、私設図書館「シャッツキステ」の司書メイド・ミソノが、オリジナル創作や評論ジャンルの同人誌を中心にご紹介します。作家の「好き」が形になった同人誌、その魅力を体感してください。


ブタさんが好きすぎたらハンガリーの国賓になりました~ハンガリー編1~

紹介する同人誌

タイトル:『ブタさんが好きすぎたらハンガリーの国賓になりました~いきさつ編~』『~出発準備・イスタンブル編~』『~ハンガリー編1~』

著者:松本救助

サークル名:松本SOS

形態:A5 表紙カラー・本文カラー

Webサイト:http://ppsos.blog.fc2.com/

Twitter:@torimo_mk

同人誌入手先:COMIC ZINとらのあなメロンブックス

次回参加イベント:コミティア113(スペースNo「う23b」)

 タイトルが全てを物語る本です。でも、「ん? んん?」と思わず二度見してしまいます。「ブタさんが好きすぎたら……?」「ハンガリー…?」「国賓…!?」どういうことなんですか……?

国賓ってホントですか

 作者の松本救助さんは、白泉社などでもコミックスを出されている漫画家さんです。松本さんはかつて商業デビュー作で、ブタさんがマスターをしているバーを舞台にした漫画を描いており、それがきっかけで、ハンガリーの豚肉加工業者さんと食の国際展示会でコラボすることに! 次にそのご縁で、ハンガリー大使館に招待され、そしてついにハンガリー政府から「国賓で招待したい」との連絡が。ええええー! タイトルに書いてあるので知ってましたよ? 「この作者さんはハンガリーに国賓として招待されるのねー」と思いながら読んでましたよ? それでもやっぱり「何だかすごいことになっている……」という展開が繰り広げられます。

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ほのぼの4コマでくすっと笑って旅立ちへ

 事の起こりから、コラボを引き受けたころのこと、大使館に言ったときのこと、ハンガリーに向けて旅だったことが、4コマ漫画で丁寧に描かれています。くすっと笑える出来事を交えて、飾らないタッチで描かれる日常にほのぼのしているうちに、あれよあれよとハンガリーの国賓へと話がつながっていく様子に、シリーズを思わず一気読み!


ハンガリーで一番有名な豚肉加工会社の東京事務所に呼びだされる松本さん

 「ブタさんが好きすぎたらハンガリーの国賓になりました」シリーズは、現在までに「いきさつ編」「出発準備・イスタンブル編」「ハンガリー編1」の3冊が出ています。いきさつ編は、マンガ家さんが未知のコラボにどきどきする様子を、読者のわたしもそっと影からうかがうような目線で楽しみ、出発準備・イスタンブル編は「旅立つぞ!」というわくわくを味わいながら読みました。

リアルな国賓の気持ち

 それにしても、やっぱり気になるのは「国賓」のおはなし。示されたハンガリーでのスケジュールには“10:00オルバーン総理と面会予定”の文字が! 空港に降り立てば、カメラのフラッシュが松本さんを包む! 迫り来る怒涛(どとう)の豚肉料理! ハンガリーのマンガリッツァ豚は国宝と呼ばれるくらい大切にされた、おいしいブタさんなんだとか。うう……マンガリッツァ豚のすき焼き、おいしそうです……。


国賓が空港に降り立てば、フラッシュの嵐!

 非日常の出来事で、作中の松本さんはいつも驚いたり、驚いたり驚いたりしています。でも、その様子は小さな笑いと一緒に素直に描かれていることで、日常の延長にその驚きがあった事が伝わってきます。いつもの生活の続きにこんなことが起こるなんて! というびっくりを、楽しみながら読めるこちらのシリーズ。いよいよ最終巻は次回の自主制作漫画誌展示即売会コミティア113で発行予定とのこと。楽しみです!

ミソノ流ワンポイント用語解説

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 いよいよ、来週は年に2回の大きな同人誌即売会「コミックマーケット」が開催ですねー。毎年8月と12月に開催されるため「夏」と言えば「夏のコミックマーケット=夏コミ」を指すことも。

 会話使用例「夏、何で申し込んだの?(訳:夏のコミックマーケットは何のジャンルで申し込んだの?)」「とうらぶ(ネットゲームの「刀剣乱舞」だよ)」「1日目かぁー(「1日目に配置だね)」といった感じ。

 そうそう、コミックマーケットは3日間に渡って開催されます。自分の興味ある分野は何日目に配置されているのかを確認しておきましょう。ちなみに本連載で取り上げるような「評論・情報」は1日目、「創作」は3日目ですよー。


ミソノ:いつでも優しい笑顔で、皆の心をいやしてくれる。普段は大きな図書館で司書をしており、司書ならではの本に関するお話は、日常では知る機会の少ない情報満載で、一聞の価値あり

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