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漫画「フェイスブックポリス」が話題のかっぴーさんにインタビュー 「SNSで自分を良く見せたい=ダサ可愛い」

フェイスブックで可愛い子と絡みたがるのも、自分が美人に写っている写真をアップしたがるのも、インテリな話題に言及しちゃうのも、オシャレな料理写真を載せるのも、みんなみんなダサくて可愛い!!!

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 少し前、Facebookでのイタい行動を題材にした手描きの漫画が、突如ネットで話題になった。「フェイスブックポリス」と題するそれは、漫画家ではない普通の会社員が描いたものだった。一体何を思って描いたのか、どういった経緯で話題になったのか、作者のかっぴーさんに聞いてみた。

(漫画「フェイスブックポリス」より)

かっぴー 僕、インタビューされるとき、絶対にろくろを回さないって決めているんですよ。

かっぴーさん

―― そうなんですか(笑)。なんでまた?

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かっぴー だって、ろくろ回すと、ダサいじゃないですか。

―― あれ結構みなさん、喋りながら無意識に回しちゃうんですよ。

かっぴー 回さないように頑張ります!

―― ではさっそくですが、今は様々な媒体で漫画を描かれて連載されていますが、もともとはご自身のnoteにアップした「フェイスブックポリス」が話題になったのが始まりですよね?

かっぴー そうですね。noteにアップしたのをホリエモンさんやはあちゅうさんなどのネット界隈の有名人に見つけていただき、彼らがシェアしてくれたことで一気に話題になりました。

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―― 以前からこういった漫画を描かれてネットで発信していたのでしょうか?

かっぴー いえ、全然です。「フェイスブックポリス」を含め、いくつか漫画をnoteにアップしているんですが、もともとネットで公開するために描いたわけではなく、僕が勤めている面白法人カヤックの日報に描いていたものなんです。1年前に転職してきたときに、早く全社員に覚えてもらえるように、普通の業務報告の最後に勝手に「今日の漫画」っていうコーナーを作って日報を出していました。

―― こんなに面白いのに、最初はただの日報だったんですね!

かっぴー この間のシルバーウィークに仕事以外で何かやりたいと思って、試しに過去に日誌で描いた漫画をnoteに載せてみたら、こんなことに。社内でもずっと、これ絶対バズるから早く世に出せよ、日報だけじゃもったいないよ、と言ってもらえていたんですが、僕自身はそんなにヒットするとも思っていなかったので聞き流していたんですよね。ネットもそんなにヘビーに使っていたわけでもないし、「絶対バズる」という感覚もよく分からなくて。

―― 意外。「フェイスブックポリス」の漫画の内容からして、てっきりSNSばかり見ている人なのかと思っていました。

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かっぴー そう、初対面の人に面倒くさい奴なんじゃないかって誤解されるんですよ(笑)。何かSNSに投稿したらすぐ漫画のネタにされるんじゃないか、とか思われていて。でも僕、そもそもSNSばかり見ているわけでもないですし、Facebookを見ていて本気で怒ったことなんてないですよ。

―― じゃあ、この投稿がムカつくから漫画でディスろう、と思って描いたわけでは……。

かっぴー ないです! ムカつくどころか、可愛いなと思って愛でているんですよ。「フェイスブックポリス」に限らず、僕が漫画で共通して描いているのは、人間の「ダサくて可愛いところ」なんです。

あんなにろくろ回さないって言っていたのに……

―― ……今、ろくろ回しましたね。

かっぴー あっ。

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気付いて照れるかっぴーさん

かっぴー この、ろくろ回しについてもそうなんですけど、ダサいじゃないですか。こういう、人間のダサいところが好きなんです。ダサくて、だから可愛い。ろくろを回すのがダサいと思って「絶対ろくろ回さないぞ」と頑張っちゃっているのもダサい。フェイスブックポリスに出てくるネタだと、彼女とテリーヌを食べている写真をフェイスブックにアップした広告会社の男、これ僕のことですし。以前、悪いな、と思いながらFacebookにテリーヌの写真をアップしてしまったことがあって、それを自虐を込めて描きました。

かっぴーさんの前職は広告会社だったらしい。(漫画「フェイスブックポリス2~教習編~」より)

―― 「ダサさが可愛い」とは、ちょっと自意識過剰でイタい感じの行動が「可愛い」ということでしょうか?

かっぴー そうです。Facebookだと、飲み会でわざわざ美人な女性がいるところだけ写真に撮ってアップするとか、料理を撮るときにおしぼりをどかしてキレイに撮ろうとしちゃうとか。

―― 女性だったら、複数人で何枚か撮った写真のうち、自分が一番良く写っているものをアップするやつですね。

かっぴー はい。いわゆる「ソーシャルシンデレラ」の一種ですね。

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(漫画「フェイスブックポリス」より)

かっぴー そういう行為が、好きなんですよ。斜に構えてディスろうとしているわけではなく、むしろ大好き。ネットって、自分の生活を切り取って見せることができるから、自分のダサいところを隠したくなるんですよね。SNSで自分を良く見せようとしたって、そんなことで友人からの評価なんて変わらないのに。「フェイスブックポリス」が反響があったのは、そういう風に僕と同じことを思っている人がこれだけいたってことで単純にうれしくもありますね。

―― 日報で何気なく漫画を描いていたときと今とで、意識は変わりましたか? 反響とかシェア数とか、気にしてしまうと思うんですが。

かっぴー 全く気にしていないです。日報で漫画を描いていたときも今も、究極は自分が笑えればいい、と思って自分のために描いていますし、感覚としては、小学生のときにルーズリーフに描いてクラスで回していた漫画のようなものだと思っています。noteにアップした漫画も反響にすごくバラつきがあって、自分が一番気に入っている漫画はシェア数たいしたことないですけど、いいんですよ、僕自身が気に入っているから。

―― あんなに突然反響があったばかりなのに、なんというか、ひょうひょうとしていますね。

かっぴー ネットで反響があったことで、ますますそう思ったという部分もあるかもしれません。今までは、ネットって果てしなく広大で、何かアップしても基本見てもらえないと思っていたんです。だけど、ホリエモンさんやはあちゅうさんのようなネットで発言力を持つ人たちも普通にどこかで生活していて、いつもFacebookとかをやっているんだな、と。影響力があるとされている人たちも同じ人間だし、同じように笑えばシェアしてくれるし、友達のA君を漫画で笑わせるのと、はあちゅうさんを漫画で笑わせるのは、そんなに変わらないことなんだと気付きました。

―― ネットで有名な人も、周りの友達も、実はたいして変わらない。

かっぴー はい。誰かが笑ってくれれば、はあちゅうも笑ってくれる可能性があるし、はあちゅうが笑ってくれれば、ネットのみんなも笑ってくれます。

―― はあちゅうにこだわりますね。

かっぴー 僕の中のネットの代名詞が、ネットを一番活用している著名人が、はあちゅうさんなので(笑)。はあちゅう=ネットだと思っています。だから、ネットでこれが流行っているから題材にしよう、とか、今一番リツイートされるのはこういうネタだから、という発想ではなく、もっとシンプルに、友達が面白がってくれるものを描けばいいと思っています。

―― ちなみに、笑ってくれる以外にも、怒られたなどの反応ってありますか?

かっぴー 不思議とほとんどないですね。知人に「この題材で炎上しないのはすごい」と言われて、なぜなのか考えてみたんですが、漫画でネタにしている人たちを本気でディスろうとはしていないからなのかな、と。形式上ディスってはいますが、実際は愛しさしかないですからね。

―― そう言われてみれば、漫画の中には私自身も身に覚えがあることがいくつかありましたが、嫌な感じはしませんでした。

かっぴー みんなのダサくて可愛いところを、この愛しさを分かってほしい一心で描いてますから。自分含め、みんなどうやったってダサいんですよ。ダサさと一緒に生きていくしかないんです。


 SNSには、何かとしがらみが多い。ナンパされたことを書き込めば「ナンパされた自慢」と言われ、フォロワーの多い人のアカウントを含めてツイートをすれば「リツイート狙い」と思われる。これらSNSの言動についてツッコミを入れる漫画や読み物はかっぴーさん以前にもいくつもあったが、それらと比べてかっぴーさんには一切の敵意がない。何より、そのダサさへの愛や、「みんなどうやったってダサいんだから、ダサさと一緒に生きていくしかない」の一言には勇気をもらえるのではないだろうか。少なくとも、筆者はおおいに勇気づけられた。

 あと最後に、この記事をたくさんリツイート(またはシェア)してほしい気持ちも我慢せずにここに書いておこうと思います(ダサい)。こちらからは以上です。

朝井麻由美(@moyomoyomoyo)。フリーライター・編集者・コラムニスト。ジャンルは、女子カルチャー/サブカルチャーなど。ROLa、日刊サイゾー、マイナビ、COLOR、ぐるなび、等コラム連載多数。一風変わったスポットに潜入&体験する体当たり取材が得意。近著に『ひとりっ子の頭ん中』(KADOKAWA中経出版)。構成書籍に『女子校ルール』(中経出版)。ゲーム音楽と人狼とコスプレが好き。

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