NHK「クローズアップ現代」のやらせ問題 BPOが「重大な放送倫理違反」と意見発表
「著しく正確性に欠ける情報を伝えた」としています。
BPO(放送倫理・番組向上機構)は11月6日、NHK「クローズアップ現代」でいわゆる「やらせ」があったとして審議していた問題についての意見を発表しました。
審議の対象となっていたのは2014年5月に放送された「クローズアップ現代 追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」など2番組。寺院で儀式を受けて戸籍を変えることにより、金融機関から多額の住宅ローンをだまし取る「出家詐欺」について伝えた内容でしたが、「ブローカー」と「多重債務者」がやりとりするシーンに「やらせ」があったと指摘されていました(関連記事)。
NHKは今年4月、「過剰な演出があった」と一部指摘を認めたものの、「事実のねつ造につながるいわゆる『やらせ』は行っていない」とする調査報告書を発表。この内容に疑問点が残るとしてBPO審議入りが決定し、NHK関係者や番組で紹介された「ブローカー」「多重債務者」に対して聴き取り調査を行いました。
BPOの調査によると、「ブローカー」「多重債務者」とされた人物は互いに面識があり、NHK記者の取材に協力する形で出演したものの、「記者が積極的に『登場人物を仕立てて示し合わせて演技させ、事実に見せかけた』という意味での『やらせ』があったとは言い難い」と判断。ただし、そうした状況をいかにも「隠し撮り」であるかのように演出した点などについては、「報道番組で許容される範囲を逸脱した表現」であり「重大な放送倫理違反があった」としています。
NHKはBPOの意見に対して、「裏付け取材を行わず、報道番組で許容される範囲を逸脱した表現で重大な放送倫理違反があったという意見や、制作者の間で情報の共有が行われていなかったという指摘を真摯に受け止めます」とのコメントを発表。現在は制作過程でチェックを強化する再発防止策を実施中で、12月中に実施状況や効果などをまとめて公表するとしています。
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