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「貞子vs伽椰子」はハートフル百合ムービー 白石晃士・金田淳子「貞子vs伽椰子」そして「コワすぎ!」を語る(1/3 ページ)

聞き手はやおい・ボーイズラブ・同人誌研究家の金田淳子先生にお願いしてみました。

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 「リング」の貞子と、「呪怨」の伽椰子――。日本が誇る2大ホラーキャラクターが激突する映画「貞子vs伽椰子」が、6月18日よりいよいよ全国公開されます。

 同作の監督・脚本を務めるのは、「ノロイ」や「オカルト」、そしてあの「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」シリーズなどで知られる白石晃士さん(関連記事)。ねとらぼでも「コワすぎ!」は何度か紹介していますが、いわゆる「低予算B級ホラーシリーズ」でありながら、ニコニコ生放送での無料上映や、劇場版の公開をきっかけにインターネット上で人気が爆発。今ではニコ生のホラー特集企画には欠かせない作品となっています。

 そんな白石監督が撮る「貞子vs伽椰子」が、単なるホラー映画で終わるわけがない……! そんな期待を込めつつ、映画公開を直前に控えた白石監督と、やおい・ボーイズラブ・同人誌研究科であり、大の白石監督ファンとしても知られる金田淳子さんに、「貞子vs伽椰子」そして「コワすぎ!」について存分に語ってもらいました。

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金田淳子さん(左)と白石晃士監督(右)

「貞子vs伽椰子」の予算は「コワすぎ!」の×××倍?

金田淳子(以下、金田):
 やっと昨日試写会に行けたんですが、試写会なのにもう満員で。立ち見も大勢いて、あらためて注目度の高さを実感しました。

白石晃士(以下、白石):
 席は大丈夫でした?

金田:
 大丈夫でした。KADOKAWAの方が一生懸命「社員の人は譲ってください!」って誘導してて、おい! 社員! と。

KADOKAWA担当者:
 すいません(笑)。

金田:
 でも社内でも注目してる人がいっぱいいるということですよね。

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白石:
 良かったです(笑)。

金田淳子(かねだ・じゅんこ)。やおい・ボーイズラブ・同人誌研究家。詩と批評の雑誌「ユリイカ」や、アート批評誌「美術手帖」のボーイズラブ特集に編集協力、執筆。二村ヒトシ・岡田育との共著に「オトコのカラダはキモチいい」(KADOKAWA、2015年)。フジテレビ系インターネット放送局「ホウドウキョク」内のトーク番組「真夜中のニャーゴ」金曜日MC

金田:
 実は私、もともとかなりのビビりで、最初の「リング」を見てから3年間くらいずっとテレビの存在におびえていたぐらいなんです。その後の「呪怨」も「見たら死ぬ」と思って見ないようにしていて。でも白石監督のおかげで最近、ホラーがだんだん大丈夫になってきたんですよ。

白石:
 「コワすぎ!」療法ですね。

金田:
 そうですよ! 怖い時は(「コワすぎ!」の)工藤ディレクターを思い浮かべて、彼が霊的なものを殴って除霊してくれるのを想像する。そうすると怖さが薄れるんですよ。調子に乗って昨日の夜「呪怨」も借りてきたんですが、大丈夫でした。

白石:
 大丈夫でしたか。

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金田:
 大丈夫でした! 普通ににゃんこムービーとして見ることができました。

白石:
 にゃんこムービーでしたっけ!?

金田:
 にゃんこいっぱい出てくるじゃないですか。

白石:
 ああー、確かに出てきますね(笑)。

金田:
 これを読んでくれる人たちにぜひ伝えたいんですが、「ホラー映画は怖いから見ない」って人いるじゃないですか。でも白石監督の作品は、逆に、過去の恐怖までまとめて癒してくれますから、見た方がいですよ!

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白石:
 僕の作品のフルコースとしては、「コワすぎ!」シリーズで徐々に慣らしていって、仕上げとして「貞子vs伽椰子」を見てもらえれば安心ですね。

白石晃士(しらいし・こうじ)。映画監督。代表作に「ノロイ」「グロテスク」「オカルト」「カルト」「ある優しき殺人者の記録」など。フェイクホラーの第一人者として知られ、自らカメラマン・田代正嗣として出演するフェイクホラーシリーズ「戦慄怪奇ファイル コワすぎ!」は、インターネット(特にニコニコ動画)上ではカルト的な人気を誇る。「貞子vs伽椰子」では監督、脚本を担当

ねとらぼ:
 僕は今回、白石監督作品の中で一番怖かったと思いましたよ。

白石:
 それは多分、今までで一番、音響効果がちゃんとしてるからですね。音の効果がすごく大きいんじゃないかと思います。

金田:
 「コワすぎ!」に比べると予算規模ってかなり増えましたよね。×××倍とか?

白石:
 ×××倍……ああ、でもちょうどそれくらいですね。「コワすぎ!」の最初のころのシリーズの、ほぼ、ぴったり×××倍くらい。これちょっと生々しすぎるので数字は伏せましょうか(笑)。

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不良イケメン+盲目少女、霊媒師コンビの強さは

金田:
 今回、白石監督映画の中でも「新しい!」と思ったのが少女霊媒師の珠緒ちゃん(菊地麻衣)ですよ! 盲目で白杖をついていて、子どもなのに口調は大人っぽいという。これはオタク大歓喜のキャラですよ。

物語後半から登場する、常盤経蔵(安藤政信)と珠緒(菊地麻衣)の霊媒師コンビ (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

白石:
 いきなりそこからですか。珠緒ちゃん、そんなにですか?

金田:
 怖い目に遭ってきたからというのもあると思うんですが、口調がちゃんと大人びていて、いわゆるロリババアというやつなのかなと。ロリババアって分かりますか。

白石:
 いや、分かんないです。

金田:
 見た目は幼いのに、中身が18歳以上だったり、時には老婆だったりするキャラのことです。「合法ロリ」とか言われたりもするんですけど。

珠緒の良さを熱弁する金田さん

白石:
 ホラー映画の「エスター」に出てくる少女みたいですね。明らかに少女の外見なのに実は中身はおばちゃんという。

金田:
 ああ、まさにそれです。珠緒ちゃんの場合、さらに盲目の霊媒師という味付けもあって。かわいいのにかっこいい。

白石:
 そうですね、ええ。

金田:
 これは狙って出されたわけではないんですか?

白石:
 オタク向けとかではなかったです(笑)。もともとプロデューサーから、少女のキャラクターを出したいという提案があったんですね。キャラクターは全然違いますが、私が参加する前のプロットにも少女のキャラクターはいたんですよ。新しいアイコンになるようなキャラがいるといいなと。オタク文脈からの流れで言うわけではないですけど、ブラックジャックとピノコみたいな関係をイメージしていたんです。

金田:
 言われてみれば! 相棒の経蔵(安藤政信)もかっこいいですよね。アウトローな感じで、口調も乱暴なんだけど、頼りになる、とても有能な霊媒師。もう嫌いなところが1つもない。

ぶっきらぼうで金に汚いが、仕事はきっちりこなす経蔵 (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

白石:
 経蔵は完全にブラックジャックですね。

金田:
 そうそうそう。金に汚いところとかも。さっき人が死んだのに「けっこう貯めてんじゃん」みたいなこと言って。

白石:
 でも「ビデオのダビングしておいてほしい」って言うとちゃんとやってくれる(笑)。

金田:
 そうそう優しいんです! あれは別料金だったんじゃないかと思ったんですが。1枚5万円とか。

白石:
 あれは多分サービスだったんだと思います。

金田:
 彼と珠緒ちゃんが出てきた途端に映画の雰囲気が変わって「流れ変わったな」と。それまでは不安しかなかったので、すごく安心できました。

経蔵と珠緒が出てきてからの安心感……! (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会

白石:
 それまでに出てくる人たちはまったく太刀打ちできてなかったですからね。

金田:
 白石監督作品ではおなじみの「ホントっぽい霊能者はダメ」なやつですよね。てっきりそれなりに健闘するのかなと思ったら、次の瞬間、アレがアレして……。

白石:
 アレがアレして、ドーンと。

ねとらぼ:
 ちなみに経蔵・珠緒のコンビって、白石監督ユニバースの中ではどれぐらいの強さですか?

白石:
 いやあ、考えたことないですね(笑)。

金田:
 ネオ様(※)と比べるとどうでしょう。ネオ様の強さまで行きますかね?

※映画「カルト」に登場するイケメン霊能力者。白石作品に登場する霊能力者の中でも最強との呼び声が高い

白石:
 もしかすると行くかもしれませんね。でも今回の映画では、まだ2人の能力の全貌はつかめないですね。

金田:
 相手が貞子と伽椰子ですからね。

ねとらぼ:
 経蔵・珠緒コンビの存在など、「貞子vs伽椰子」は「カルト」との共通点がすごく多かったと思うのですが、意識はされていましたか?

白石:
 意識していたわけでなくて、結果としてこうなったという感じですね。

ねとらぼ:
 前半はちゃんと怖くて、後半はきっちり白石作品になっていて感動しました。

金田:
 除霊にかかわるキャラクターたちは、経蔵・珠緒コンビをはじめ、貞子マニアの森繁教授(甲本雅裕)、本物っぽい霊媒師・法柳など、ひとクセある人たちばかりですよね。1人1人のエピソードがもっと見たかったくらい。

呪いのビデオに尋常ではない興味を持つ大学教授・森繁新一(甲本雅裕) (C)2016「貞子vs伽椰子」製作委員会
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