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「ファインディング・ドリー」大ヒットの陰にあのアニメあり? マクレーン共同監督に聞いてみた

「タカトクトイスのおもちゃは今でも宝物の1つ」(アンガス・マクレーン)

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 第76回アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞し、日本でもピクサー歴代興行収入1位を記録した「ファインディング・ニモ」。その1年後の世界を描いた「ファインディング・ドリー」が前評判通りの大ヒットを飛ばしています。


ベビードリーがかわいいからね。しょうがないね ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン (C) 2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 全米では既に2016年公開全作品(実写含む)でのNo.1記録を達成。2004年から1位をキープしていた「シュレック2」の記録も塗り替え、全米アニメーション歴代No.1の座に輝きました(数字はBox Office Mojo調べ)。

 全国511スクリーンで公開された日本でも、公開3日間の動員者数は92万1766人、興行収入11億7418万4200円で週末興収、初登場No.1のロケットスタート。ディズニー/ピクサー作品としての新記録樹立にも期待が掛かります。

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 名作の予感がプンプンする同作。共同監督であるアンガス・マクレーンさんを直撃し、作品への思いと、彼のクリエイターとしての考え方などを聞いてみました。


アンガス・マクレーンさん

―― ドリーは、たくさんのすてきな出会いで人生が変わりましたね。同作の共同監督に抜てきされたマクレーン監督も、映画を作るまでにすてきな出会いがあったんじゃないでしょうか。

マクレーン 映画を製作するプロセスは、ドリーが仲間たちと出会い、家族と再会するまでのプロセスと似ていると思う。人間、誰にも弱点はあるものだけど、彼女と仲間たちのように家族のような関係となるには、お互いにそれら全てを受け入れることが大切。そういう意味では、今回、私のメンターであったアンドリュー・スタントン監督とも家族のような関係を築けたと思うね。

―― ドリーは記憶力にハンディキャップがあり、でも彼女なりの、時には突拍子もない考えで困難を乗り越えてきました。監督は同作を作る上での困難を、どう乗り越えてきましたか?

マクレーン ドリーが両親を見失ったほどの大きな困難を経験することはさすがになかったけど、自分の仕事をとにかく一生懸命やってきたこと。おかげで、幸いにも自分の大好きな仕事ができ、夢に生きることができているよ。

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 でも当然、映画を作る上では、自分の中に挑戦、苦労、困難というのが付きまとう。しかし、私は常に最善なものを生み出したいので、自分の中にあるそれらのプレッシャーに打ち勝っていく必要があると思っている。


ドリー ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン (C) 2016 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

―― 監督が作品作りで特にこだわっているのはどんな点ですか?

マクレーン 常に意識しているのは、物語に適切な世界観かどうか、そして、その世界観の中でキャラクターをどんな動きで表現すべきか。

 私が好きな作品は、作品に登場するキャラクターが2つとして同じ動きをしていないもの。キャラクターごとに個性や物理的な制限があるけれど、それをしっかりと踏まえた上で表現されているものが素晴らしいと感じるね。

 あと、“面白さ”というのはとても大切な要素だけど、常に出すことがいいとは限らない。むしろ私は、各シーンに“真実”を必ず1つ入れることにもこだわっている。その1つ1つの真実が作品を通してつながることで、作品の素晴らしさになると考えているので。

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―― そんな監督の心をつかむ作品や、キャラクターはいますか?

マクレーン 自分がピクサーで働く以前に、一観客として見て心をわしづかみにされたのは「トイ・ストーリー」のバズ・ライトイヤー。バズは外見こそ完璧なヒーローだけど、内面はすこしドジっぽい。そんなコントラストが面白くて引かれたよ。

―― 監督はレゴ職人としても有名ですよね。Flickrでたくさんのレゴキャラクターが投稿されているのを見ると、ロボットもの、例えば「機動戦士ガンダム」シリーズなどにも造詣が深いように感じました。

マクレーン よく知っているね(笑)。ガンダムの造形には魅力を感じる。ガンダムは、純粋にロボットの造形、さまざまな形に変形していく様子の描かれ方が本当に素晴らしい。私は本当にロボットが大好きだから、ロボットをあそこまで緻密に表現する難しさもよく分かるんだ。

 ロボットのデザイン、ストーリーどちらも大好きなのが「マクロス」シリーズ。全ての「マクロス」シリーズを見たわけではないけれど、1980年代の「超時空要塞マクロス」からは大きな影響を受けたね。それぞれが戦う理由などストーリーも素晴らしい。私が小さいとき友人からもらった「タカトクトイス」のおもちゃはとてもよくできていて、今でも宝物の1つなんだ。

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―― 監督が作る「マクロス」シリーズのレゴキャラがFlickrに登場するのを心待ちにしておきます。

マクレーン Flickrには公開してないけけど、実はバルキリーは作ったことがあるんだよ(スマホ内のレゴバルキリーの写真を見せながら)。また時間があれば、デフォルメしたバルキリーも作ってみたい。

―― 最後に、日本のクリエイターに向けて一言お願いします。

マクレーン ファンじゃなくて、クリエイターにだね。OK。

 私がクリエイターとして大事にしていることは2つ。1つは常に絵を描き続けること。絵を描き続けることで、視覚的に選択でき、それが自分にとってとても助けになっている。実際には忙しくて、自分が満足できるほど描けているわけじゃないけど、それでも自分のために描き続ける。自分の好きなことを自分のために、ぜひ続けていってほしい。

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 もう1つは、同じような思いや志を持っている人と尊重し合いながら、一緒に仕事をすること。1人で成功しようとするのはなかなか難しいけど、仲間がいれば、お互いの興味関心も分かち合い、より高めあうことができる。いい仕事は、コラボレーションから生まれるものだと思っているので、私はどんなときでもそうした環境にい続けられるようにしているんだ。

 今回の「ファインディング・ドリー」でも同じ思いを持った仲間たちが何百人も集まりお互い高めあったおかげで、最高の作品になったと思う。

 そうそう、もしアニメのクリエーターがこれを読むなら最後に伝えておきたい大切なことがあった。最初の8フレームくらいは物語の上で重要なことは含めないようにした方がいい。観客は絶対それを見落としてしまうからね!(笑)


自らが息を吹き込んでいったキャラクターたちを腕いっぱいに抱えながら

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