映像加工で出演者を「脱落」扱いにしていた「ピラミッド・ダービー」にBPOが意見書公表 「放送倫理違反と判断する」
「独走感があって盛り上がらない」と編集を指示。
放送倫理・番組向上機構(BPO)は12月6日、審議入りしていたTBS系バラエティ番組「珍種目No.1は誰だ!? ピラミッド・ダービー」について(関連記事)、「放送倫理違反と判断する」との意見書を公表しました。
問題になっていたのは、6月19日に放送された企画「双子見極めダービー」の一幕。放送では出演者の1人が3回戦で脱落していましたが、実際の収録では「脱落」のルールはなく、映像加工で脱落した1人を画面から消していたことが後に発覚(関連記事)。また放送では3回戦と4回戦の順序を入れ替えるなど、実際の収録時とは異なる演出を行っており、「編集ではなく捏造(ねつぞう)」「名誉・人権を侵害された」など、出演者本人が番組に対し強く抗議していました。
BPOの聞き取り調査によると、3回戦と4回戦の入れ替えを指示したのは、制作を担当していた「Y社」の担当班プロデューサー。実際の収録では4人の参加者のうち1人が終始トップに立っており、これでは「独走感があって盛り上がらない」と放送順の入れ替えを提案。ロケ担当ディレクターは「番組の性質上大丈夫か」と念を押したものの、最終的な結果が変わらないため「演出の範囲内」という判断を下したとのこと。
一方、出演者の1人を「脱落」扱いにしたのはロケ担当ディレクターの判断。3回戦終了の時点で既に優勝の可能性がなくなっていたことから、「優勝する可能性がなくなった解答者はその時点で明確にした方が視聴者にとって分かりやすい」と、「脱落」の文字スーパーを入れる編集を行いました。この時点ではまだ「存在を消す」編集は行われていませんでしたが、さらにその後のプレビューで、総合演出担当者が「3回戦で『脱落』した出演者が4回戦にも出ているのはおかしい」と、映像の加工を指示したとのことでした。他にも意見書では、出演者に告知なく得点ルールを変更していたことなども指摘されています。
BPOはこれら一連の編集について、バラエティ番組ではしばしばこうした編集が行われているのは承知しているとしつつも、「そのような編集によって出演者を無用に傷つけることにならないよう、慎重な検討が求められる」と指摘。「出演者に対する敬意や配慮を著しく欠いた編集を行った」とし、番組に対し「放送倫理違反」との判断を下したとしています。
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