「人として終わってる」――“情報弱者”を狙う「悪質ポイントサイト」ビジネス 手口や集客方法を関係者に聞いた(4/4 ページ)
悪質ポイントサイトだけでなく、広告代理店やまとめサイトも共犯、との指摘も。
依頼を出していた「出稿企業」の責任は
一方、悪質ポイントサイトに“依頼”を出していた企業側の責任を問う声もあります。前述の通り、編集部に寄せられた被害報告の中には「悪質ポイントサイト経由で有料サイトに登録させられた」といった声も多く、中にはTSUTAYA DISCAS(ツタヤ)やdwango.jp/ニコニコ動画(ドワンゴ)、コミックシーモア(NTTソルマーレ)といった有名企業やサイトの名前も挙がっていました。
では、これらの企業は、掲載先が悪質ポイントサイトであることを分かっていて依頼を出していたのか。あるポイントサイト関係者は「企業側は、自分たちの広告がどこに出ているかまでは把握していないと思います」と語ります。
これはインターネット広告全般に言えることですが、こうした広告を実際に掲載しているのは広告代理店です。
代理店は広告主から依頼を受けると、自分たちのネットワークを使い、さまざまなサイトに一斉に広告を掲載します。しかし、このとき広告主に対して「どのサイトに広告を掲載したか」を逐一報告したりはしません。このため広告主は、自分たちの広告が悪質ポイントサイトの客集めに使われていたとしても、気付かないことが大半だと言います。
実際、読者からの報告で名前があがった3社(ツタヤ、ドワンゴ、NTTソルマーレ)に問い合わせてみましたが、ドワンゴ、NTTソルマーレは「出稿されていたことを知らなかった」と回答。ツタヤは「出稿先のメディアについては把握していました」としつつも、それが悪質サイトだったことについては知らなかったとのことでした。またいずれも事態を把握した時点で全て出稿を取りやめており、今後も出稿する予定はないと回答しています。
今後改善はあるのか
「manekin」を運営していたメディアラスタライズは、騒動後の2月23日、新たに「運営ガイドライン」を公表し(関連記事)、若干ではありますが、改善に向けた取り組みを見せています。
しかし関係者は「本当に改善するつもりがあるかどうかは怪しい」とあくまでも厳しい見方を示します。
ポイントサイト関係者:
「ガイドラインは誇大広告や商標の取り扱いといった部分にしか言及しておらず、肝心の換金まわりについては一切触れていません」
また、サービス再開に伴って、“まとめ風広告”の出稿も再び増えてきています。再開後は単純な“2ちゃんねるまとめ風”だけでなく、キュレーションサイト風やNAVERまとめ風など新たなバリエーションも。騒動の余波を警戒してか、代理店側も広告だと見破られないような工夫をこらしているようです。
過激な広告でユーザーを呼び込み、ある程度稼げたら(広告をクリックさせたら)換金される前に離脱させる――。悪質ポイントサイトの手口は、言ってみれば焼畑農業です。しかし、ある関係者は「このやり方はまだ当分続くでしょう」と指摘します。
ポイントサイト関係者:
「法律で規制するか、被害者に対応するための社会的な仕組みとか、そういったものがなければ今の状況は変わらないと思います。あとは広告主やゲーム会社側がこれを黙認せず、何か行動を起こすか。スマートフォンのユーザー自体がまだ増加傾向にあるため、それと比例して新規ユーザーもやはり増えています。スマホユーザーが増えていくかぎり、彼らのビジネスが終わることはないと思います」
関連記事
ポイントサイト「manekin」が運営ガイドライン策定 “偽キャンペーン問題”受けて運営見直しへ
「嘘、大げさ、まぎらわしい表示、演出を行いません」などの項目も。ポイントサイト“偽キャンペーン”問題、利用者には返金も 代表に騒動の経緯と今後の対応を聞いた
問題となっていたポイントサイトの1つ「manekin」を取材しました。「金になるから増えている」「企業運営のサイトもかなりある」 元管理人が明かす「まとめサイト乱立」の背景
「進撃の巨人まとめ」「スーパーマリオラン速報」といったサイトはどのようにして作られているのか。「小規模まとめサイト」の運営実態について、元まとめサイト運営者に聞きました。吉野家をかたっていた“なりすまし”キャンペーンサイト、新規会員登録を停止
既存の会員へのログインページは残されています。「換金できない」「請求が止まらない」 相次ぐ「ポイントサイト」トラブルについて国民生活センターに聞いた
国民生活センターを取材。吉野家をかたる“なりすまし”キャンペーンに注意 「牛丼15,000円分食べ放題」でポイントサイトへ誘導
牛角に続いて吉野家も。「ポケモンGO」のニセアプリ43種類が確認される URL表示を偽ったニセキャンペーンサイトへの誘導も
遠隔操作可能にするバックドア型不正アプリも確認されています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.