日本と台湾で異なる文化 異国で出会った2人が描くそれぞれの国の同人誌即売会:司書メイドの同人誌レビューノート
合作「AYO&HINATA 日本⇔台湾同人出展記」をご紹介。
日差しの強い日には「当日も熱中症対策をしっかりしなくては」と思い、涼しい日が続けば「当日もこんな気温がいいなぁ」と夢見て……何かにつけて思いをはせずにいられない。そう、年に2回の大きな同人誌即売会、コミックマーケットの開催が1週間後に迫ってまいりました。皆さまカタログは読みました? どんな方々がサークル参加されるかというサークルチェックの他にも、いろんな情報満載ですよ。準備万端整えて、もうすぐステキな同人誌との出会いを楽しみに……。
今回は、異国の同人誌即売会で出会ったのをきっかけに、ついに日本と台湾の合同同人誌を出してしまった! そんな、海を越えた同人誌活動をつづった本をレビューします。
今回紹介する同人誌
「AYO&HINATA 日本⇔台湾同人出展記」 B5 52ページ 表紙カラー・本文モノクロ
著者:阿油/木野陽
海を越えた! 日本と台湾でタッグを組んだ合同誌
近年、異国でも同人誌即売会が開催され、創作や二次創作など、活発に作成されていると聞きます。なかでも台湾の同人誌即売会は、「参加したよ」「イベントに合わせて台湾に行ってみた」という声もよく耳にします。
この本の著者のお一人、木野陽(きのひなた)さんも、どきどきしながら初めて台湾の同人誌即売会にサークル参加します。申し込みなどに手間取るものの、会場に入ってみれば、机の上に自作の同人誌を並べて販売するのは一緒。準備OK。
開場したら、台湾の参加者さんに同人誌を手に取ってもらえて……と、ここで立ちはだかったのは言葉の壁。せっかく自分の同人誌に興味を示してくれた人がいるのに、なんて言われているのか分からない! そんなとき、横から助けてくれたのが、この本のもう一人の著者、台湾のマンガ家である阿油(アヨ)さんでした。なんと阿油さんは、日本に留学経験もあるほどの事情通。「助かった……」と、こんな出会いを経て、日本と台湾でそれぞれに活動されていたお二人は出会ったのです。
海外イベントに参加するってどんな感じ? 日本、台湾、それぞれからの目線
本には、木野さんが台湾を旅して同人誌即売会に参加した様子、阿油さんが日本に留学していたときに参加した日本の同人誌即売会の体験などが、それぞれマンガで描かれています。台湾の同人誌即売会の様子が興味深いのはもちろん、異国の方から見た、日本の同人誌即売会との差異を発見されているのが面白い!「台湾の1スペースは机が大きい」とか「イベントの開催時間が違う」とか、本当に参加されてきた方だからこその、リアルな体験がエピソードのそこここに垣間見えます。
言葉の壁をクリアして、日本版、台湾版の2冊発行へ!
そして、交流を深めたお二人は、なんと1冊の同人誌で、それぞれ日本版と台湾版を作ることになります。中身は各言語で翻訳されているとか。これで現地の人たちにも、本を楽しんでもらえる可能性がぐっと上がりますね。
本を読んで、「すごい!」と思ったのは、異国の同人誌即売会にサークル参加するだけではなく、手に取ってもらった後のことを、お二人とも想像しながら活動されていることです。自分の大切な作品をいろんな人に届けようと、読んでもらえるように、作品を楽しんでもらえるように……と考えて、実行に移されているのは、本当にすごい!
あともう少しで、日本で……いえ、世界でも一番大きな同人誌即売会「コミックマーケット」が開催されます。よき同人誌との出会いがありますように!
サークル情報
サークル名:油*楽園/辺境屋
次のイベント参加予定:
【日本】辺境屋で頒布 コミックマーケット92 日曜日東つ-11b、COMITIA121 か01a
【台湾】油*楽園で頒布 CWT46(台北)1日目、2日目 M12、CWT T18(台中)1日目 B30
購入場所:
【日本版委託】COMIC ZIN
【台湾版委託】台灣同人誌中心
Webサイト:http://www.etheric-f.com
Twitter:@hinata_k(木野陽)
連絡先:yutaka8637☆gmail.com(阿油、☆→@に)
今週のシャッツキステ
私設図書館でのメイド語り「眼鏡」夜話が無事に終了して、眼鏡で集うメイドの図。さてさて、もう少しで夏コミですね! 当日まで体調を整えるのも大切ですよ。サークルチェックをしたら、しっかり睡眠、しっかり休養してコミケに挑みましょうー。ご健闘を!
著者紹介
司書メイド ミソノ:秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」でメイドとしてお給仕する傍ら、とある大きな図書館で司書としても働く“司書メイド”。その一方で、こよなく同人誌を愛し、シャッツキステでも「はじめての同人誌づくり」「こだわりの特殊装丁」の展示イベントを開く。自身でも同人誌を作り、サークル活動歴は「人生の半分を越えた辺りで数えるのをやめました」と語る
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