漢字の「四」に隠された意外な秘密
意外と知らない漢字のトリビア。
「1」は横棒1本で「一」、「2」は「二」。だから、「3」も「三」。なのに、どうして「4」は「四」なのか――誰もが一度は、おかしいと思ったことがあるはず。
意外というかやっぱりというか、本当に存在するんですよ。一、ニ、三のように横棒の数で「4」を表現する「亖」という漢字が。
今回は、素朴な疑問に答える漢字トリビアをいくつかまとめてご紹介します。
横棒4本で「4」を意味する「亖」という漢字が存在する ※ただし、まったく使われない
古代中国では「四」は「4」を意味する「亖(シ)」の当て字として使われていたのですが、長い歴史の中でいつしか「四」のほうがメジャーに。残念ながら「亖」は辞典に掲載されているだけの、存在感のない漢字になってしまいました。
日本ではまったく使われなかったためか、辞書によっては「亖」の訓読みが書かれていないことも。「4」という意味があり、「シ」と読めるのに、「よん」とは読めないというわけです。不便な漢字だなあ……という気もしますが、そもそも見掛ける機会がないので、その弊害を感じることはなさそうです。
「点が1つだけのしんにょう」「点が2つあるしんにょう」がある理由
部首の「しんにょう」には、点がひとつしかない「一点しんにょう」、2つ打つ「二点しんにょう」があります。常用漢字に使われているのはほぼ「一点しんにょう」ですが、「謎(なぞ)」「遜(へりくだ-る)」「遡(さかのぼ-る)」の3つは、例外的に「二点しんにょう」。ただし、一点で書いても誤りではないとされることが多いようです。
こんなややこしい状況が生まれてしまった原因のひとつは、西暦650年ごろの中国では一点しんにょうが、1700年ごろには二点しんにょうが正しいとされていたため。このズレが、めぐりめぐって現代日本の漢字にまで影響しているのです。
難読漢字が生まれてしまった理由
難読漢字が存在する理由も、漢字が持っている長い歴史にあります。日本に初めて漢字文化が入ってきたのは、古墳時代。その後も奈良~平安時代には遣唐使、鎌倉時代には禅宗の僧侶が文化輸入の役割を果たしました。
しかし、それぞれが自分が学んだ当時の中国の発音を伝えたため、時代によって異なる漢字の読み方が日本に入ってくる結果に。ここから、1つの漢字に複数の音読みが存在する状態につながってしまいました。文化輸入の規模が小さくあまり影響力を持たなかったなどの理由から、読み方がピンと来ない難読漢字が生まれてしまうようです。
よく考えると理解できる「失恋」の対義語
「円安」の対義語は「円高」、「自立」の対義語は「依存」。では、「失恋」の反対は?
漢字の熟語は数えきれないほど存在し、中には聞き覚えのないマイナーな表現も。使っている人を見る機会はそうそうありませんが、「失恋」の対義語は「得恋(とくれん)」です。「失点」の反対が「得点」であることを思い出すと、納得できるのでは?
また、夢と現実が一致する「正夢」の対義語はなんでしょう。ほとんど夢が、現実とは違うのですから「普通の夢」……と言いたいところですが、ここは「逆夢(さかゆめ)」が正解。「現実とは反対のことが起こる夢」を意味します。
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