攻殻機動隊 S.A.C.「タチコマ」のリアルなロボットが結婚式でお祝いスピーチ! 新郎&開発者に聞いた“タチコマの可能性”
湊さん! 湊さん! ご結婚おめでとうございます!
「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズの人気キャラクター・タチコマを1/2サイズで精巧に再現した“動く”1/2タチコマが、海内(あまうち)工業取締役・湊研太郎さんとその妻・弘子さん夫妻の結婚式に出席しました。タチコマのお祝いのスピーチの様子や、1/2タチコマ出席の経緯などを取材しました。
「攻殻機動隊 S.A.C. 1/2サイズ タチコマ リアライズプロジェクト」の一環として、研究用ロボットの開発・販売、ロボティクスを応用したハードウェアデバイスの受託開発を行うkarakuri productsと、半世紀以上の歴史を持つ精密板金加工会社海内工業他、さまざまな企業がタッグを組んで製作された「1/2タチコマ」は、劇中での愛らしさはそのままに、自走などの動作が可能な他、人とコミュニケーションを取ることもでき、これまでにも東京・渋谷のIGストアなどで接客サービスの実証実験が行われるなど、ユニークな取り組みを行っています。
そんな1/2タチコマが2017年8月に訪れたのは、なんと結婚式場。海内工業の取締役・湊研太郎さんとその奥さま・弘子さんの挙式で「お祝いのスピーチを行う」という大役を任されたのです!
会場に1/2タチコマが現れると会場からは「待ってましたー!」「タチコマ!」などの歓声が飛び、大盛り上がり。ボディーを動かしながら「僕の名前はタチコマです。僕は海内工業で製造しているんだ」と自己紹介した後、「湊さん、湊さん、ご結婚おめでとうございます! 僕よりあの人を選んだわけだねぇ~」と新郎新婦を祝福しました。またユーモアあふれるあいさつの後にはタチコマならではのジョークも飛び出し、会場は暖かい雰囲気に包まれました。
さらに1/2タチコマからは新婦・弘子さんへのサプライズプレゼントが贈られた他、童謡「手のひらを太陽に」の歌唱もプレゼントされ、会場には手拍子の音が響くなど、会場一丸となってのお祝いムードが漂いました。
新郎に聞く、1/2タチコマ結婚式出席の経緯
――このたびはご結婚おめでとうございます! 史上初となる1/2タチコマの結婚式出席ですが、どういった経緯で決まったのでしょうか
湊さん:弊社(海内工業)ではロボット分野の部品製造を展開しているのですが、karakuri prodactsの松村さんが「攻殻機動隊 S.A.C. 1/2サイズ タチコマリアライズプロジェクト」を進めるにあたり、ロボット部品製造のPRにもなると3年前からご協力してきました。そんな折に私の結婚が決まったので、松村さんにもご報告したところ「結婚式にタチコマに参加してもらいましょう」ということになり、講談社さま・製作委員会にも許諾をいただいて実現となりました。
――1/2タチコマの参加が決まったときの率直な感想を教えてください
湊さん:自分自身が、「攻殻機動隊 S.A.C.」のファンであり、タチコマのファンでもあるので、本当にうれしくて、「結婚式自体も盛り上がるな!」と思いました。また私の両親に対して、自分が普段どんな仕事をしているのかを分かってもらえるいい機会になるなとも思いました。
――奥さまの反応はいかがでしたか
湊さん:妻は「あのタチコマがくるの? 結婚式に?」と驚いていました。普段からプロジェクトについて話したり、動画や写真を見せたりしていたのですが、実物を見るのは初めてだったので、ドキドキしていたようです。
――もっともうれしかったタチコマからの言葉はなんでしたか
湊さん:シンプルですが、「湊さん、湊さん、ご結婚おめでとうございます!」でした。1/2タチコマの製作に関しては、外装検討モデルから何度も何度も夜を徹した作業をしてきたので、コミュニケーションロボットとして動くこと、さらに自分の結婚を祝ってもらえるというのは本当に感激でした。
――出席された方からはどのような反応がありましたか
湊さん:私の側の出席者は、仕事関連の方も多かったので、タチコマが好きな方や作品を知ってる方も多く、とても喜んでもらえました。妻側の出席者は、ロボットが突然出てきて動き出したので、驚いていましたが。タチコマを知らない人も多かったのですが、一緒に記念写真を撮ったりと喜んでもらえたようです。
開発者が語る、1/2タチコマの可能性
続いて海内工業と共同で1/2タチコマを開発したkarakuri prodacts代表取締役の松村礼央さんにも、お話を伺いました。
――1/2タチコマが結婚式へ出席したことについて、率直な感想をお聞かせください
松村さん:結婚式に限らない話ですが、現状、1/2タチコマは輸送コストが大きな課題になっています。海外や多くの自治体でのレンタル希望をいただいていますが、輸送コストで折り合いがつかず、その全てには対応できていません。今回の結婚式は開発者である湊さんのご協力もあって実現した特殊なケースです。開発者間で工夫して少しづつ数をこなすことで搬入・輸送に関しての最適化をすすめ、イベント対応の改善に生かしていきたいです。
――結婚式に出席させるがゆえの苦労などはありましたか
松村さん:結婚式ならではのNGワードを話さないようなプログラム上の対策は必要でしたね。
――一般の方の結婚式や特別なイベントに1/2タチコマを呼べる可能性はありますか
松村さん:前述の通り、輸送コストが大きな課題です。連携可能性については原作元・製作委員会と議論を進めており、「どのようなイベント形態であれば実施可能か」を今後も議論してゆきたいと考えています。
――1/2タチコマの可能性と今後の展望についてはいかがでしょうか
松村さん:コンテンツの面についてはまったく心配はない、と考えています。タチコマの声を担当した玉川砂記子さんの声で収録させていただいたフレーズは千数百種を超えるので、多用なイベントに対応可能です。実はIGストアでの導入実証やアプリでの利用に際し、ユーザーの方々へご提供したコンテンツは全体の1割にも満たないんです。攻殻機動隊 S.A.C.シリーズをこよなく愛するファンの方々に、1/2タチコマによってより良い体験を提供できるよう、積極的に努力していきます。
今後1/2タチコマは10月21日・22日に新潟市で開催されるイベント「がたふぇす vol.8」IGストアブースにて、商品を直接手渡すサービスを実施する予定。新潟市がアニメ作品とのコラボレーションに力を入れているという施策によって提案されたもので、市の担当者、1/2タチコマの開発チーム、アニメ制作会社・Production I.G、攻殻機動隊リアライズプロジェクトなどが協力し、新潟市が輸送コストを負担することにより実現となりました。
これまでにも1/2タチコマによる東京や大阪での商品お渡しイベントは期間限定で行われていましたが、今回は初の新潟登場ということで、ファンからも注目が集まっています。アニメの世界が現実となる日はそう遠くないかもしれません。
画像・動画提供:海内工業・湊研太郎さんとご親族(ご提供いただいた画像・映像は、写っている方のご了承をいただいて記事に掲載しています)
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊製作委員会
(Kikka)
関連記事
しょく~ん! 攻殻のタチコマがリアルで接客する実験がはじまるよー
控えめに言って、めっちゃかわいかった。アニメ「ジョーカー・ゲーム」関東再放送のメインスポンサーが新潟市!? ガチオタ副市長とProduction I.Gが史上初の取り組み
「この番組は新潟市とご覧のスポンサーでお送りします」「攻殻機動隊」のタチコマがPCセキュリティソフトに 2017年秋に実証実験モニターを募集
タチコマ「ボク、どうしてもたすけたいヒトがいるんだ」「攻殻機動隊」のタチコマ、走って話せて並列化もできる1/8スケールロボに
スマホアプリと連動し、遠隔操縦やネット連携を実現。しょくーん、超絶技巧だよー! GLAY・HISASHIが攻殻OPテーマをタチコマギター(75万円)で弾いてみた!
あなたが神か。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.